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第六章
『”メイド喫茶のアルバイト”
  レインボー・エンプティ』

――己の立場を明確にできない者こそ、いざというときに一番頼りにならない。(藤堂家宗家初代・藤堂高虎)――

 

「なんで私はメイド喫茶にいるんでしょうか」
「いいじゃんいいじゃん、なんか知らないけど暇になったんでしょー」
 目の前のヒナタが上機嫌に笑う。
「ご主人様~、注文はお決まりですか~?」
 メイドさんが声をかけてくる。綺麗なグレージュの髪のツーサイドアップの少女だ。胸に「レインボー・エンプティ」と名札がついてる。
「ありがとう、プティちゃーん」
「プティちゃん、いいですねー。大体みんな、ニジちゃんって呼ばれるんですけどねー」
「えー、プティちゃんの方が可愛いよー」
 ヒナタがメイドにちょっかいをかけ始めた。どうにも居心地が悪い。
 私は注文を含めたメイドとのやり取りをすべてヒナタに一任し、なぜこうなったかを思い出していた。

 

◆ ◆ ◆

 

 目を覚ます。見覚えのない天井が姿を現わす。
「目が覚めた?」
「アキラ……」
 そして、横から声をかけられる。視線を向けると、アキラだった。あぁ、そうだった、私はアキラの前で抜刀して、瘴気と戦って……。
「瘴気は!?」
「覚えてないの? アンジェちゃんが白い何かを飛ばして倒したんだよ」
 そういえばそうだった気もする。あれ、最後にアキラは救急車を呼ぼうとしてたと思うのだが……。
「病院ではない? 救急車は?」
「うん、私の家だよ。なんか、仮面の白い髪の女の子が助けてくれたんだよ」
 仮面の女……。英国の魔女か。
「アンジェちゃん、いつもあんなのと戦ってるの?」
「えぇ……まぁ」
「そうなんだ……。あ、あの、私、誰にも言わないから」
「ありがとうございます、アキラ。あなたでよかった」
 もしヒナタだったら永遠に茶化されるし、それどころか人前でそれをしてくれるだろう。本当にアキラで良かった。
 そっと、体を起こして立ちあがる。
「もう大丈夫?」
「はい。不気味な話ですが、痛み一つありません。心配をかけないように、家に戻らないと」
「そっか、そうだよね。うん、その方が良いよ。案内するね」
「ありがとうございます」
 アキラに導かれながら、部屋を出て玄関まで移動する。
「あれ、アキラ、お友達か?」
「あ、お兄ちゃん。うん、アンジェちゃんって言うの」
 そこに、男性が現れる。
「へぇ。あ、鈴木コウキです。アキラがお世話になってます」
「あ、如月アンジェです。こちらこそ」
「今大学に行ってて、三年生なんだよ。将来は警察官になりたいんだって」
 ということは、5歳差か、などとあまり意味のないことを考える私。将来警察官になりたい、とは立派だなと思う。そういえば私はあんまり将来のこととか考えたことが無かった。まだ進学も二年先だし、そんなものかもしれないけれど。
「もう帰るところか? 学校のアキラの様子とか聞きたかったけど」
「はい。思ったより長く留まってしまいましたから。そろそろお暇しないと」
 と言いながら、私はアキラに導かれて玄関まで移動する。
「また来てねー」
 コウキさんが手を振る。
「また明日ね、アンジェちゃん」
「はい。また明日」
 そして、夜道を歩く。刀はいつも通り竹刀ケースにしまってあるが、この時間に歩いているのは流石に部活の練習が長引いたとしても不自然だ。まして補導されてつかまったりすれば、ちょっと面倒だ。最終的には討魔師に理解のある担当が現れて釈放はしてくれるはずだが。そういえばあのアキラのお兄さんは警察官になりたいのか。いつか、霊害関係の事件に関わる時も来るのだろうか。だとしたら、兄妹揃って霊害に関わる一般人になるのか。……いや、妹の方アキラを巻き込んだのは他ならぬ私なのだけど。
「ただいま……」
「アンジェさん! どこにいたんですか!!」
「ひっ」
 そんなことを考え落ち込み気味に力なく扉を開けた私を出迎えたのは、アオイさんの怒りの声であった。
「瘴気討伐の形跡はあっても、アンジェが帰ってきていない。と守宮殿から報告を受けて、私がどれだけ心配したと思うんです? 帰りが遅くなるなら守宮殿に一言くらい連絡するべきでしょう」
 もっともな主張だ。しかし、アオイさんも心配してくれるとは。
「それで、何があったんです? 単にどこかで夜遊びしてきたというわけでもないんでしょう?」
 ひとしきり怒った後、アオイは椅子に座って、こちらの話を聞いてくる。私はアキラの事を隠してすべてを話した。
「そうですか……。また英国の魔女に救われましたか……」
 ギリッと歯ぎしりが聞こえた気がするのは気のせいだと思うことにする。
「しかし、拳銃に後れを取るとは……。いえ、拳銃持ちは厄介です。遠距離攻撃装備を持たないあなたでは、確かに厳しいでしょう。私も今は持っていませんし」
「持ってるときもあるんですか?」
「えぇ。父上の戦い方を真似た拳銃を左手に持つ戦い方を私も再現できます」
「流石に拳銃の携行は認められないからね。宮内庁や警察が特別に指定した地区、作戦以外では使えないわけだ」
 と、私の疑問に、アオイと守宮殿が答えてくれる。
「ちなみに拳銃が使えないとき、アオイさんはどうやって拳銃持ちに対処するんですか?」
「相手の一挙手一投足に気を配っていれば、相手が射撃するタイミングは分かります。射撃のタイミングで一気に接近して、その隙に腕を切断します」
「なるほど、相手の攻撃をしたタイミングこそが最大の隙」
 アオイさんが得意とする活人剣の理念だ。
「しかし、アオイ殿。聞けばアンジェも最初は拳銃持ちの攻撃を回避できていた。相手の動きを見ての対処はすでにマスターしていると考えてもいいのでは?」
「そうでしょうね。そうでなければこれまで魔術に対処する訓練をしていた意味がありません」
 守宮殿のフォローにアオイさんが頷く。なるほど、最初、拳銃持ちを視界に入れているうちはしっかり避けられると思ったけど、あの訓練がちゃんと役に立っていたのか。
「だとすれば次は集中力、注意力の問題です。他の敵との戦闘に夢中になり警戒が必要な相手への警戒を怠るなど、言語道断です。本来対処可能な攻撃を己の意識一つで対処不可能になるなど、愚かにもほどがある」
 もっともな指摘だ。
「しかし、バール持ち相手に、活人剣の実践が出来たとのこと、それはよくやりました。もちろん、それで他への注意が疎かになっては意味がありませんが、新しく覚えた技を試すのに注意を持っていかれるのは、私にも経験があります」
 珍しくアオイさんが褒める。そういって、しばらく悩む。
「そういえば、今日は金曜日で、明日から三連休ですか」
 アオイさんが、カレンダーを見てふと気づいたように呟く。私もカレンダーに目をやると、今日――もう0時を超えている――は9月12日で、金曜日。来週の月曜日、9月15日は第三月曜日だから敬老の日で、祝日だ。
「よし、アンジェさんも働きづめです。この週末は休んではどうでしょう。この土日が終われば次の土日は文化祭。中々ゆっくりはできないですよ」
 言われてみれば、安曇と戦った9月9日以降、ずっと気を張っていた気もする。
「その間は私に任せてください。あ、毎朝の鍛錬は怠らないでくださいね。訓練を怠れば、それだけ腕が鈍りますよ」
「分かりました」

 

「アンジェー」
 後ろからヒナタが声をかけてくる。
「な、なんで距離取るの?」
「不意打ちの機会を逃すなんて怪しいですから」
 私はヒナタの方に体を向け、後ろに少しずつ下がって距離を取る。
「いや、何もしないって、本当。だって……」
 と、ヒナタが言いかけて止まる。
「だって、なんですか?」
「あ、いやー、何を言おうとしてたんだったかなー。あ、ところでさー、今日の放課後も生徒会の手伝い?」
「いえ、今日は特に予定は……」
「本当? じゃあどこか遊びに行こう!!!」
「え、あー。そうですね」
 確かに最近、ヒナタと遊びに行っていない。せっかくのお休みだし、たまにはいいか……。

 

◆ ◆ ◆

 

そして、今に戻ってくる。
「それじゃあ一緒に呪文を唱えましょう~」
 ヒナタ曰くプティちゃんが、そんなことをオムライスに向けて言っている。
「ほら、アンジェも~」
 一人でやれ、と言いたいが、プティさんに気を使わせてしまうかもしれないので、一緒に呪文を唱える。
「ニジちゃーん」
「あ、はーい、今行きまーす」
「正直食事をするにはちょっと高価ですし、何のためにここに?」
 プティさんが他の人の方に行ったのを見て、声を潜めてヒナタに問いかける。
「え? みんな可愛いでしょ? 見てるだけで楽しくない? おしゃべりもできるし、ゲームもあるよ?」
「申し訳ないですが、私はヒナタと違って、そういう趣味はないので……」
「んー、そっかー。じゃあこれ食べたら別のところいこっかー」
「はい」
 ちなみにオムライスは案外おいしかった。まさか、呪文が効いた? そんなわけないか。
「あ、いってらっしゃいませー、ご主人様―」
 プティさんに見送られてメイド喫茶を出る。
「で、これからは?」
 おそらく計画を立ててくれてるであろうヒナタに次を訪ねる。
「んー? ゲーセンかカラオケ? 映画はなんか面白いのあったかなぁ……」
「定番ですね。ヒナタならゲームセンターでしょうか」
 カラオケはアキラも交えた方が楽しい。
「じゃあゲーセンで―。何する? ガンシュー? 格ゲー?」
「どちらも久しぶりですね。個人的にはエアホッケーの決着をつけたいところです」
「おー、いいねぇ。じゃあまずはエアホッケーにしよっかー」
 
 エアホッケーはなんだかんだゲーセンで毎回ヒナタと対決している演目だ。戦いはかなり互角。昨日は銃持ちに後れを取ったとはいえ、動体視力に自身がある私と戦って互角というところにヒナタの強さが現れているように思う。
 しかし、私は前回の戦いで気付いていた。ヒナタは強さにムラがあるのだ。基本的に序盤は攻撃を通しやすい。しかししばらくすると、すごい集中力を発揮して確実に攻撃を撃ち返してくるようになる。そこからまたしばらくすると、集中力が切れるのか、攻撃が通しやすくなる。つまり、この戦いは、序盤と終盤でいかに攻撃を通すか、中盤でいかに防御するか、がカギになる……!
 序盤、やはり、こちらの攻撃に合わせきれてない。このまま頂く!
「いやー、負けちゃってるなぁ……」
 と言いながら、ヒナタが目を細める。何かのアニメの影響なのか、ヒナタは集中する時、いつもこの動作をする。もしかしたら自己暗示の一種なのかもしれないが、実際、この動作の後は強い集中力を発揮する。先ほどまでなら十分に通用していたはずの攻撃を難なく捌き、反撃してくる。円盤が私のゴールに落下する。
「ふっふーん、一点! ここから逆転するよー」
 ここでカッとなってはいけない。守りに徹して点を取られないようにする。現在、得点は私の方が上。防御さえできればこっちが勝てるのだから。
「ふぅ」
 ヒナタが息を吐く。まだ得点はこちらが上。これは、勝った!
「なんてね」
 全力で攻撃に振り分けた次の瞬間、その攻撃が的確にこちらの死覚に打ち返される。相手の攻撃の隙こそが一番の攻撃のチャンス。これは……活人剣!! そうか、この勝負も刀の修行となりうるのか……。思えば先の戦闘の緩急の切り替えも相手を見極めて行う大事な戦術の一つ。……って、しまった。
「どうした、アンジェ? 隙だらけだぞ☆」
 セリフに星が付いているのが見える。まずい、逆転される……! 残り時間はあと数秒。この攻撃を捌ければそれで、勝てる!!
 円盤がネットをくぐり、右の壁に当たって反射し、ゴールに接近してくる。
「捉えました!!」
 力を入れる必要はない。軽くはじくだけでいい。ゴールに入りそうだった円盤が私にはじき返されて、ネットの向こうに帰っていく。しかし、もう時間切れ、私の勝ちだ。
「ふ、なんとか同点ですか。悪くない勝負でしたね」
「えいっ」
 次の瞬間、私がスマッシャーを手放したことによりがら空きになっている私のゴールに、円盤が一直線に投入される。得点表が切り替わる。
「え」
「このゲーム、時間切れの状態でゴールに入ったら試合終了だよ。知らなかった?」
 知らなかった。得点はヒナタが私より一点上……。
「相手が武器を捨てる前に自分が武器捨てちゃだめだよ、アンジェ」
 得意げに笑うヒナタ。とても悔しい。
「次どーする?」
「格闘ゲームでいきましょう。そっちで勝ちます」
「おっけー、でもそっちは私の方が普段勝ってるよー」
 その通り、ヒナタはコンピュータを使ったゲームは強い。だが、自分も刀の鍛錬を積んできたし、実戦も重ねてきた。負けるわけがない!!

 

「いやー、今日は私の連戦連勝だねぇ」
 その後、ガンシューティングなどで対決し、私はそのほとんどで負け越した。
「じゃ、ドリンクでも買ってきてよー。私ちょっとお花積んでくる―」
 そして私はパシリに使われることとなった。ヒナタと別れて、自動販売機に向かう。……いや、ゲームセンターでかなり使ってしまったし。少し歩いてコンビニに行こうか。多少は安い。
「泥棒―――!」
 宝石買取を歌う看板を掲げたお店から一人のフードを被った男が出てくる。それを追って、店員が叫ぶ。
「宝石泥棒か!」
 私は男を追いかけ始める。
「きゃっ」
 男が角で女性とぶつかる。女性が転ぶ。追跡を停止し、女性に駆け寄る。
「プティさん?」
 それは私服ではあったが、プティさんであった。
「あ、アンジェ様。いたた、なんですか?」
「宝石泥棒のようです。見過ごせないので追っていたのですが」
 と、視線を向ければ、そこで白い髪の女性に行く手を遮られ、足を止める男が目に入った。
「ごめんなさい、また後で。私は彼を捕まえるのに手を貸します」
「はい、私はちょっと擦りむいただけですから、お気になさらず」
 プティさんが笑いかけてくれるのを見て頷いて、私は駆け出す。
「それはご主人様の命を受けて売り払おうとしているものです、あなたに渡すためのものではありません」
 白い髪の女性が突然腕からハルバードを出現させる。まさか、魔術師!?
「ちっ。דֵלֵשֹׁפ展開せよ
 フードの男の足元から巨大な魔法陣が出現し、その内部に見覚えのある化け物が複数出現する。
「剛腕蜘蛛悪魔!」
 それは学校の屋上で何度となく戦った学校を狙う悪魔の手勢だった。見過ごせないと追ってきただけの私だったけど、まさか霊害絡みとは。
verteidigen守れ beenden完了
 白い髪の女性が半透明の球体に覆われる。アニメとかで見るようなバリアーの類か。
「そこまで!」
 私は声を張り上げ、抜刀……できなかった。私の腰には刀が無かったのだ。
 二人はどちらも一度こちらを一瞥し、すぐにお互い向き直る。いや違う、剛腕蜘蛛悪魔だけはこちらにも向く。そりゃそうか、向こうもこちらを覚えていても不思議ではない。しかし、ということは、あのフードの男が上級悪魔?
「くぅ……」
 剛腕蜘蛛悪魔がこちらに向かって動き出す。私は何もできずただ、後ろに下がるしかできない。
「もう、危なっかしいなぁ」
 と、上空から火の玉が出現し、迫る三匹の悪魔を撃破する。そして、上から現れたのは。
「英国の魔女」
「イエス。せっかちだねぇ、学校の討魔師。得物もなしに悪魔に挑むなんて危ないよ」
 赤い髪が白に変化する。指を振ると、そこから、刀が一本飛び出してくる。
本庄正宗ほんじょうまさむね、良い刀でしょ? ちょっと貸してあげる」
 15cmほど私の普段の刀より短いけれど、立派な太刀だ。
Verknallt砕け
 白い髪の女性の呪文に合わせて、ハルバードに重なり合うように半透明なハルバードが出現する。
「じゃ、ばいばい」
 英国の魔女がどこかに飛び去って行く。
「いつもと少し勝手が違いますが。やりますよ」
 刀を悪魔に向かって振るう。何か不思議だ。いつもより刀の通りは悪い気がする。もしかしたら神秘プライオリティが私の刀より低いのかもしれない。しかし、これまた不思議なことに、攻撃を当てたときの切断力そのものはいつもより高い気さえする。明らかに矛盾した話だが、私の体感はそうなっていた。
beenden完了
 白い髪の女性も確実に剛腕蜘蛛悪魔を倒していく。
「くそ、逃げるか……דֹנֵשִׂדֵנפֵנ開け
 下に再び魔法陣が出現する。
「させない。Verknallt砕け beenden完了
 再び白い髪の女性のハルバードに重なるように半透明のハルバードが出現し、女性の突く動作に合わせて打ち出される。
「くっ」
 腕から宝石が飛び出す。それを見逃さず、白い女性がそれを回収する。
「ちっ、覚えていろ」
 そして、推定上級悪魔が消滅する。
「完了」
 白い髪の女性がハルバードを消滅させ、宝石買取店に向かう。
「大丈夫?」
 私はプティさんの元に駆け寄る。
「あはは、はい。本当に擦りむいただけなので」
「ならよかったです」
「それにしてもさっきの宝石、綺麗でいいですねぇ……」
 どうやら本当に大丈夫そうだ。
「それでも、出血しているようですから、消毒はした方が良いですよ。少し待っていてください」
 ちょうどコンビニに行くところだ。ついでに消毒の薬なんかを買ってくればいいだろう。
「はい。ありがとうございます」

 ようやくヒナタの元に帰ってきたとき、ヒナタはUFOキャッチャーに挑戦していた。
「あ、おかえりー、なんか遅かったねー」
「はい。怪我したプティさんに会いまして」
「ふーん。あ、そのポケットからはみ出てる割引券がそのお礼?」
「えぇ。まぁ」
「ふーん、じゃあまた行こうねー」
「それは……考えさせてください」
「うん、いーよー。次は何する?」
 飲み物を受け取りながら、ヒナタが尋ねてくる。ぬいぐるみのUFOキャッチャーのようだが、とくにぬいぐるみを手に持っている様子は無い。なるほど。
「とりあえず、これ、ですかね」
 私はUFOキャッチャーにコインを投入し、サクッとぬいぐるみを取る。
「おー、アンジェすごーい。ありがとー」
「ふふん」
 ようやく一矢報いることができた、気がする。
「いやー、私はなかなかあぁいう掴むのって苦手だなぁ。あ、ってかどや顔のアンジェ可愛い」
 ほっぺたをむにむにしてくる。ほっぺたを指で掴むのは苦手ではないようだ。
「やめなさい。次はレースゲームと行きましょう」
「あー、確かに得意でもないなぁ、あれは」
 椅子に座る。レースゲームが始まる。ふと思う、なぜあの悪魔は宝石を狙っていたのだろう。なぜあの刀はあんな不思議な感覚がしたんだろう。休み明けにでもアオイさんに聞いてみようかな。
「アンジェー? 考え事にふけりすぎ―、もうスタートしてるよ」
「しまった!!」

 

続く

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