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異邦人の妖精使い -第4章-

「次こそは覚悟しておけ」
 そう言って、アーサーとか言う教区騎士を中心とする騎士達は撤退していく。
 彼らから襲撃を受けるのは五度目であるが、また相手に大きなダメージを与えられなかった。こちらも大きな被害は無いが、妖精弾は使うし、何より捜査が進められないというのは大きな問題であった。
「もう来なくていいよー」
 ウェリィが騎士達の背中に向けて変顔をし、挑発しながらそんな事を言う。私もやりたい気持ちが無い訳ではなかったが、流石に恥ずかしさが勝った。
「そろそろ大打撃を与えて、捜査に集中したいですね」
「あっちもプロだしねぇ。引き際の見極めが上手いよ」
 足腰が立たないのではないかと思うほど疲れた様子の鈴木さんと、もう二、三戦はできるという雰囲気の中島さんを見るのももう慣れてきた。
 そんなフラフラでも、次の日になれば復活する鈴木さんを見て、中島さんは若いのはいいねぇ。といつも呟いている。そういえば、中島さんは何歳なのだろうか。
「まあ、そろそろ決着は付けたい所だね。アーサー君達は長期戦にも備えているだろうけど、こっちにはそんな準備は無い。ジリ貧になる前にどうにか決戦と行きたい所だ」
 リチャード騎士団は戦闘組織であるが、霊害捜査班は戦闘組織ではない。この差が長期戦になればなるほど響いてくる。という事だろう。
「しかし、私には派閥は良く分かりませんが、実際に妖精銃が大量流出している状態で、容疑者に過ぎないフェアさんを追い続ける理由はあるのでしょうか」
 確かに、派閥出身の騎士団長候補が暗殺されたというのは、派閥の騎士にとって、大きな問題だろう。だが、リチャード騎士団の使命は人を霊害から守る事である。妖精銃を用い騎士団長候補を暗殺したというのも霊害に分類される事件ではあるが、それ以上に多くの妖精銃がどれだけの規模で、何者に渡っているのか分からない状況と言うのは大きな霊害となりうる物だ。
「そうだよねぇ、こんなニュースもあったし」
 中島さんがパッドを取り出し、ニュースサイトを開く。そこには、中国でマフィアが検挙、大量の旧式銃が押収されるたというニュース。端にある英駆逐艦、横須賀に親善訪問、という記事へのリンクに少し目が引かれたが、すぐに記事の写真に目が吸われた。
 押収された写真に写っている銃の大半がSMLE小銃。つまりは妖精銃の原形、もしくは妖精銃かもしれない。
「まあ、元々中国の周辺にある、旧英領の国では主力として使われていた物だし、そこから流れてきた物かもしれないけどね」
 妖精銃の特徴を確認できればよかったのだが、大量の銃がまとめて写されていて、一つ一つを細かく確認する事はできなかった。
「まさか、流出に気付いてないって事は無いですよね」
 鈴木さんが疑問を発し、中島さんが答える。
「本部は把握してないかもね。日本、中国はリチャード騎士団の担当範囲じゃない。だけど、彼らは私達が何を追っているか、見えないって事は無いと思うんだよね」
 リチャード騎士団が霊害から守らなければならない国は、そのほとんどが英連邦加盟国だ。日本と中国には活動する為の拠点も無ければ、これは噂だが、暗殺事件以来の混乱によって、諜報員を英国本土に戻っているらしい。
「告発しちゃえばいいんじゃない? フェアに拘り過ぎて、妖精銃を見逃す無能野郎って」
 その言葉の汚さはどうかと思うが、確かに告発と言うのは効果的かもしれない。事実の確認の為に送還されるかもしれない。
「そうですね。中島さん、リチャード騎士団に一応知り合いがいるって言ってませんでした?」
 鈴木さんが中島さんの方に視線を向けながら言う。国外との繋がりもあるとは、やはり中島家というのは、こっちの方では有名な家なのだろうか。
「一応っていうのは、親しい知り合いはロンドン派が多くてね。今回はあまり頼れないかな。お義父様を頼れば、中枢に近い所まで繋がれるんだけど、そもそもお義父様とはなかなか会えないからねぇ」
 ロンドン派は、第二次大戦以降のリチャード騎士団再編の中で生まれた、かつての国と血筋といった、伝統にこだわらない自由な派閥である。イングランド派からは、物の分からぬ新参者と嫌っているし、彼らもイングランド派を頭の固い騎士馬鹿と嫌う傾向があるというのは聞いた事がある。
 そんな対立しあっている派閥であるから、暗殺事件以降の混乱が続いている現在の状況で、告発があったとしても、派閥対立から生じたデマだと一蹴されてしまう可能性もある。
「あ、そうだ。いい人がいるじゃないか。今日本に居を構えていて、英国に強い影響力を持つ人。そう、“英国の魔女”という異名を持つ彼女が」
 いい事を思いついた、と言わんばかりに手を叩きながら中島さんが言う。
「彼女なら、何かルートを持っているんじゃないかな? 連絡先、持っているって聞いたよ?」
 中島さんは、ニヤッと笑った。この人は、さっき思いついたのではなくて、ずっと考えていたんじゃないだろうか。

 

= = = =
 
 “英国の魔女”と呼ばれる彼女とは、一度あった事がある。
 日本に密入国してすぐだろうか、向こうからこちらを訪ねてきたのだ。友好的な感じではなく、警戒した様子で。
 英国の、と言われているが、彼女はリチャード騎士団や国教会魔術師団のような英国の組織に属している訳ではない。ただ、そこで生まれ育ったというだけで、英国と言う国が好きな訳では無いと本人が言っていた。
 敵対している訳でもないが、味方と言う訳でもない、そういう微妙な関係である、リチャード騎士団から、良く分からない者、つまり私が自分のテリトリーである日本にやってきた。それはどういう意味で、どういう目的なのかと探りに来たらしい。
 数時間の会話と、おそらく魔術的な調査で、私は彼女を害する存在ではないと信頼されたようで、一応、同郷のよしみで少しだけだったら助けてあげる。と連絡手段を受けて取っていたのだ。
「ここで良いの?」
 連絡を取って、待ち合わせ場所に指定された所に来てみると、下校中の学生が友人と喋るのに使う、と言った雰囲気、というか実際に制服を来た人が多い喫茶店で、密会と言うのに向く雰囲気では無い。
「あってる、入ろう」
 もう一度確認してみても、場所は間違っていない意を決してドアを開けて中に入る。
 それなりに賑わっていたが、指定されていた席は空いていたので、そこに座り、注文すると良いと書かれていたパンケーキセットを注文する。
 そのパンケーキが届き、一口目を口に運んだ所で、彼女がやって来た。
「お待たせ―、二人とも。元気?」
 周りの学生と同じ制服を着た彼女がそこにいた。店員さんに私と同じ物を注文すると、私の前に座る。
「あ、ここではヒナタって呼んでね。さて、パンケーキはどうだった?」
 ニコニコととても良い笑顔で私を見つめてくる。あまり目を合わせるのは得意ではないから、目を逸らしながら答える。
「美味しいです」
「うん、おいしー」
 いつの間にか、パンケーキをちぎって口に詰めていたらしいウェリィも答える。
「うんうん、それは良かった」
 満足そうに頷きながら、ヒナタさんは学生鞄から何枚かの紙を取り出す。
「んで、本題ね。告発に協力するってのは流石に重いよー。できる事なら関り持ちたくないしー」
 いきなり本題に入ってきた。流石に少し驚く。複雑な立場の人だというのは何となく分かっているから、快諾されるとは思っていない。
「まあ、流石に何もしてあげないっては引っかかっちゃうから、条件付きでお手伝いしちゃう」
 そう言いながら、一枚の紙、地図を指さしながら話を続ける。
「屋敷が一つあるだけの無人島があるの。あ、無人になった理由とかは気にしちゃダメだよ」
 地図を見ると、断崖絶壁に囲まれて、上陸が難しそうな島の真ん中に、ポツンと立派なお屋敷が立っている。この場所は、おそらく魔術関連の何かで、穏やかでない何かがあったのだろうと納得して、特に聞いたりしない。知らない方が良い事もあるはずだ。
「見ての通り、波止場からしか上陸できなくて、入ったら出にくい島なんだー」
 ヒナタさんが指を指している波止場以外に上陸できそうな地点は無い。そこさえ警戒すれば島への出入りはコントロールできるだろう。
「んで、この島がどうしたの?」
 ウェリィが言う。確かに、あまり話が見えてこない。
「追いかけまわされるのが嫌なんでしょ? だったら決闘しちゃえばいいんだよ。ここなら、騎士団は不利になったからと言って離脱できないし、ここで決闘だー! って伝えるくらいの事は条件付きでしてあげられる」
 なるほど、イングランド派は騎士である事にこだわっている以上、しっかりと決闘を申し込まれたら断れない。逃げ道が無いような場所で戦えば、こちらか向こうに致命傷が入るまで戦い続ける事ができるという発想は無かった。
「なるほどー、その条件って何?」
 ウェリィが話を進めてくれて助かる。決闘のお膳立てをしてくれるというのは助かるが、条件が無理な物だと困る。
「ただの掃除だよー。ちょっと縁あって、霊害関係の不法者を懲らしめたんだけど、彼らの持っていた物品を回収するとめんどくさくてさ。誰かが悪用する前に、フェアちゃんと協力している霊害捜査班とかに回収してもらえないかなって。丁度追っている事件関係だと思うし」
 つまり、妖精銃関連という事だろうか。確かにそれくらいなら中島さんと合流して作業をすればすぐにできそうだ。
「んー? 何がめんどくさいの?」
 ウェリィがいきなり掘り返す。
「直ぐに首を突っ込みたがる知り合いがいてねー。妖精銃なんて見たら絶対に何かしようとするし。手元に置いておきたくないのよ。流石に銃は怖いね」
 確かに、ヒナタさんの知り合いとなると霊害関係の知識がある人だろう。そんな人が、日本国内に銃、しかも霊害関係の物が持ち込まれているとなればアクションを起こさないと考える方が難しい。
「あ、それから。私の名前は出さないでねー。掃除が終わったら、フェアちゃんに場所とか詳細を送ってから、私は果たし状を叩きつけてくる。これでいい?」
 他に解決手段も思いついていない、同意するという意味で深めに頷く。
「よーし、商談せいりーつ。じゃあお願いね。何か質問は?」
 丁度届けられたパンケーキを高いテンションで受け取り、食べる用意を始めながらヒナタさんが言う。
「ここで密会ってどーなの?」
 ウェリィが尋ねる。確かに、学生で賑わっているにも関わらず、霊害の話や決闘という物騒な話もしてしまっている。
「ふっふーん、私は場作りのプロだからね。対策はばっちりしてあるよー」
 ヒナタさんはルーンを刻むように指を動かす。彼女の得意とするルーン魔術の使い方の一つとして、場等に刻んでおき、簡単なワンステップで発動させるという使い方がある。そして、彼女の生活圏であるのだから、様々な所にルーンが刻まれていて、必要に応じて発動できるようにしてあっても何ら不思議は無い。
「まあ、万が一注目されても、女なら誰でもベタベタするって思われているらしくて、新しい犠牲者なのかなって思われるだけだよー。私は一途なのにねぇ」
 口には出さないが、話していて距離感の近さというのは感じる。これがデフォルトなら、そのような誤解をされていても不思議では無いのかなと、短い時間であるが思う。
 その後、パンケーキを食べながら近況などの雑談をして、先に食べ終わった私が退出する形で、会談は終わった。

 

 = = = =

 

「ここですね」
 鈴木さんが運転する車に乗って、ヒナタさんから掃除を頼まれた場所に到着した。
 見るからにボロボロの廃倉庫で、錆び付いたトタンが風に煽られて、バタバタと音を立てている。
「一応、中島さんが来るまで待ちましょうか」
 二人がヒナタさんとの会談の為、私を送り届けた後、彼女に警戒されないように距離を取って待機しているのだと思っていたのだが、中島さんは用事があるからと何処かに行ってしまったらしい。
 敵はいないという話だったから、中島さんを待たずに始めても良いとは思うのだが、相手の拠点に踏み込む以上、人は多い方が良いし、中島さんの知識と感じ取る力は頼りになる。
「そういえば、スズキには妹がいるんだよね。可愛い?」
 暇を持て余したのか、ウェリィが鈴木さんにそんな事を尋ねる。
「ええ、写真見ますか?」
 やはり、鈴木さんは妹の話をする時が一番生き生きしている気がする。見せてくれた写真は、妹さんの入学式の写真で、親が撮ったのだろうか、鈴木さんも一緒に写っている。
「この制服って」
 そして気が付いた、妹さんが着ている制服、ヒナタさんの着ていた物と同じだ。
「ああ、この辺りにある学校なのでこの制服を見たかもしれませんね」
 どうも、鈴木さんはヒナタさん、“英国の魔女”が同じ学校に通っているとは知らないようだ。前の中島さんの意味深な笑みの事もあるし、もはや、巻き込まれているという状況を超えて、鈴木さんよりも深く関わっているのではないかと思えてきた。
 憶測だし、どういう反応か予想ができないし、やはり黙っておく事にした。
「やっほー、待たせたかな?」
 どう話題を変えるか悩んでいた所に、中島さんがやって来た。その後ろに、中島さんから全くイメージできないような白いバンが止まっている。
「遅ーい、何してたの?」
「ちょっと娘とお義姉さんに相談をね。それでここに何かあるんだって?」
 中島さんの事だから、単なる家族会議では無いのだろうが、聞いても明確に答えてはくれないだろう。特に気にせず話を進める。
「妖精銃関係の何かって聞いたよ? ちなみに、私は人工妖精の気配は感じない」
「うん、いないんじゃないかな?」
 ヒナタさんは霊害関係と言っていたから、人工妖精もいるかと思っていたのだが、ウェリィも中島さんも何も感じないのだったら、何もいないのだろう。
「微かにオートマタの感じがあるけど、放置されて暫く経っているんだよね。この様子なら、電池切れじゃないかな。龍脈も通って無いから供給源も無いし」
 自律稼働型オートマタの魔力を蓄える機構は、バッテリーと同じように待機しているだけでも、魔力を消費していく。
 人がおらず、魔力の補填が無い状況が続いていたなら、機能不全に陥っていても不思議では無い。
「じゃあ、罠とかに気を付けて探索を始めようか。私が先頭、フェアさん、鈴木君の順番で行こう」
 その通りの順番で、倉庫の中に侵入する。人はおらず、入口を守る位置にいたオートマタもピクリとも動かない。
「このオートマタのボディ、この前のマネキン工場の奴と同じですね。関係があるんでしょうか?」
 鈴木さんがオートマタだった物の表面を触りながらタブレットを操作して写真を表示させる。オートマタは定型がある訳では無いから、作る者の数だけバリエーションがある。体系などの外見的な特徴が完全に一致する事は少ない。
 だがこれは、鈴木さんがタブレットに表示させた前のオートマタの写真と一致点が多く、同じ物のように見える。
「気になるね。後で本当に同じ物か分析しよう」
 中島さんはそう答えながら、雑に机の上に置かれている、蓋が開きかけた木箱を開ける。中にはSMLE小銃が丁度納められるように間仕切りが施されていた。
「これ、正規の箱じゃない?」
 ウェリィの言う正規の箱、と言うのは妖精銃の工房から出荷される際に用いられる箱の事で、私も初めて妖精銃を手に取った時は、この箱から取り出した。
 これまで見てきた密輸妖精銃は、木箱に収められていても、他商品の箱に似せた物だったし、銃そのものだけである事が多く、このようにしっかりとした箱はずいぶん久しぶりに見る。
「なるほど、下手に自分で対応するよりも私達に捜査させた方が彼女の目には届かない、か」
 不意に中島さんが呟いた言葉の意味を確認しようと思い、そちらを見たのとほぼ同時だった。中島さんが刀を抜いた。
「まだ動けるのがいたみたいだね」
 中島さんの視線の先には、剣を持った二体のオートマタ。例のポリカーボネート製の固い奴だ。
 しかし、先ほどの動かないオートマタと比べると、腰に膨らみが増えている。まだ動いている事を考えると追加の魔力蓄積装置だろうか。
「心臓部よりも、腰回りの方が弱点になっているかも。鈴木くんと私でひきつけるから、止めはよろしく」
 それだけ言うと、中島さんは刀を、鈴木さんは警棒を抜いて二体のオートマタと正対する。
「カティ、バレットエンチャント」
 妖精弾が追加で手に入る事を祈って、出し惜しみをせずに妖精弾を装填する。中島さんはともかく、鈴木さんが警棒でオートマタと長時間戦えるとは思えない。
 中島さんに言われた通り、腰の膨らんだ部分を狙い、射撃のタイミングを計る。
 活動を停止していたオートマタがいた事を考えると、魔力不足で動きが鈍っていてもおかしくないはずだが、動きは前に戦ったオートマタよりむしろ滑らかに感じる。
 中島さんと鈴木さんが剣戟の中で、相手の動きを止めようとしてくれているのは感じ取れるのだが、狙えるほどの隙が現れない。
 後方から狙い撃つのではなく、着剣による格闘戦と近距離射撃で仕留めるという手段を検討し始めたその時、状況が動いた。
 まさかの鈴木さんがオートマタを、逮捕術の要領だろうか、床に組み伏せた。オートマタの力強さによって拘束は長く続かなさそうだったが、狙うには十分な時間だった。腰の膨らみに向けて引き金を引く。
 銃弾は貫通し、ガラス容器が弾ける様な音が聞こえ、オートマタは停止する。あっさりと貫通した為、一度試しに通常弾で撃っても良かったかもしれないと思いつつ、帰ってくるカティを迎える。
 手の空いた鈴木さんが援護に入るより先に、中島さんが相手の手から剣を跳ね飛ばし、そのまま体術で相手の動きを止める。
 腰の膨らみは狙える。ボルトを操作して通常弾を撃ち込んだ。
 体と同じ素材で守られているが、中に収められているガラス容器が大きいのかそこまで厚くないようだ。通常弾でも貫通し、ガラスの砕ける音が響く。そして、少し違和感を覚えた。少し、人工妖精の気配を感じた気がしたのだ。妖精弾を使っていない為、そんな感覚は無いはずなのだが。
「ん?」
 ウェリィも同じ事を感じたのか、少し首を傾げている。
「どうしたの? なんか違和感があった?」
「分からない。けど、ちょっと気になる」
 魔術関係という繋がりはあるのだから、偶然破壊時に似たような感覚を感じただけかもしれないと思ったが、聞かれると気になってくる。
「とりあえず、掃除を終わらせよう。鈴木くん、バンから段ボール持ってきて。」
 疑問は浮かんだが、鈴木さんと中島さんが作業を始めてしまったので、考えるのを止めてそれを手伝う。
 しかし、テレビで見るような光景を自分がやる事になるとは思わなかった。こういうのはもっと大人数でやる物なのでは無いだろうか。
 念のために妖精銃を背負いながらの作業で、重い物を持つのは大変だろうと、段ボールを組み立て、証拠となる物を詰め込む作業を割り当てられたが、これも意外と大変な作業だった。疲れる。
 作業が終わった頃には、私も、魔術関係かそうでないかを区別していたウェリィも床に倒れようかと思うほど疲労が溜まっていた。
 バンのバックドアを閉め、そのままそっちに乗ってと言われたので、私が座席に乗り込むと同時に、ヒナタさんから連絡が来た。
 ありがとー、これが場所だよ。頑張ってね。という短い内容と、場所の情報だった。何処から見られていたのだろうか。
「うちの娘もここに通っていたんだよね」
 そんな事を言いながら、中島さんが運転席に座る。鈴木さんは私達が乗ってきた車に乗り、こちらを先導するように先に出発する。
 中島さんの娘も通っていたとなると、鈴木さんの妹さんが霊害に関わっていないという話は中々想像できなくなってくる。
 むしろ、彼女が巻き込まれていたから鈴木さんが霊害捜査班に配属されたのではないだろうか。
「さっきのオートマタ。しっかり分析できたら報告するよ。今は決戦に集中しよう」
 気になる事ではあるが、中島さんの言う通り、今は決戦に集中したい。騎士団に妨害されていたら、いつまでたっても真実にたどり着けない。
 絶対に勝つ、その決意を固め、動き始めた景色を見つめた。
 

 

~第四章 終~

 

 

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