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虹の境界線を越えて 第3章

前回までのあらすじ(クリックタップで展開)

 地球から、地球とは似て非なる星「アカシア」に文明を築く世界に迷い込んだ少女、虹野にじの からは、世界の濃淡を感じる力とそれを応用した「空間転移」能力を手にする。
 空はこの能力で「カグラ・コントラクター」という民間軍事会社PMCの人間が同じような転移能力を使っている事に気づき、自らが元の世界に帰る手がかりを得るため、新技術の研究所があると言うIoLイオルに向かうことを決める。
 貧乏な家に生まれた空は自らが欲しいもののために「盗み」という手段に手を染めた。しかし、ある日、引退しようと決めた。
 だが、今ここに再び盗みの技能が役に立つ時が来た。自らの戦力拡大のため空は単分子ナイフを盗み出すことを決めたのだった。
 空は見事単分子ナイフを盗み出したが、アクシデントが発生、手に持ったナイフで一人の男を殺すことになる。

 しばらくして盗みに成功した高揚感が抜けていく。やがて思考が冷静さを取り戻し、空は唐突に嘔吐した。
 空は盗人ではあっても、強盗ではない。警備をすり抜け逃げる事こそが彼女の盗みであって、警備を殺して進む事は本来決して彼女の盗みではない。事実、彼女が直接的に人を殺したのはたったの二回しかない。二回目が今日。では一回目は?
 それは”あの日”。彼女がこの世界に来た日であり、この力に目覚めた日、その前日のお話だ。

 

 空は一人独白する。

 その日はなんて事ない日だった。私の誕生日の一日前ではあるけど、まさか前日から浮かれてても仕方ないし、そもそも祝ってくれる知り合いなんていないし。
 空の1日はそんなに複雑じゃない。と、空自身は思っている。
 朝起きて、仕事に出かける。起きるのはだいたい六時ごろ。
 まずは、八時から始まるビル清掃のアルバイトに向かう。六時に起きるのはしんどいので時折寝坊するし何度か首になっているが、似たような仕事はいくらでもあるのでこのサイクル自体はそこまで変わらない。
 次に10時から始まるメイド喫茶のホール担当。メイド喫茶は10時から23時までの営業でシフト制だ。空はだいたい10時から19時までのシフトである。
 20時からまたビル清掃のアルバイトに向かう。
 メイド喫茶にしてもビル清掃にしても、基本的にシフト制なので所々変動はあるが、概ね空の1日はこのように構成されている。

 

 本当はもっと前から兆候があったのに考えすぎだと油断していた。

 

 その日、確か19時ごろだった。警察がやってきた。空を名指しにして。空は上がる時間だったので着替えをちょうど終えたところだった。どこでヘマをしたのか分からないが、警察は逮捕状を持っていた。
 空は、とにかく裏口から飛び出した。  そこまで回想したところで、不意にくらりと視界が歪む。

 

■ Second Person (Kara) Start ■

 

「いたぞ!」
 飛び出した私の目の前に警察官の姿をした男が飛び出してくる。
 すでに回り込んでいたのか! 右も左も壁の狭い路地を警察とは反対方向に走る。
 大丈夫、この辺の地形はちゃんと把握してる。
 素早く三叉路を左に。ロッカーに隠しておいた逃走用の癇癪玉と紐がくっ付いた道具を取り出し、右手の壁のでっぱりに紐をぶら下げる。
「うわっ!」
 追ってきた警察達が空中で暴れる癇癪玉に思わず怯む。その間に目の前の柵に斜めに侵入、手を突き、障害物に近い方の足を振り上げて、もう片足を踏み切って、体を持ち上げ、柵についた手で身を引っ張る。そして、体が柵を超えたタイミングでもう片手を柵に置き、態勢を整える。所謂ヴォルトと呼ばれるパルクールのテクニックだ。魅せるためでも競技のためでもなく、ただ逃げるために磨き上げたものだ。あくまで自己流なのでオリジナルとの差異があっても許して欲しい。
「ま、許されなくても逃げ切るけど」
 その余裕は一瞬で消える。
「こっちにも!?」
 まるで逃走経路を見破られてるかのように警察が立ち塞がる。
 フラッシュライトで、ウォールランで、私の持ちうるあらゆる方法で一度は振り切っても、その先には警察がいる。
「なんで!?」
 大阪のビルに盗みに入って問答無用で発砲された時を思えばまだ気持ち的には楽だ。まぁ撃たれるというストレスを経験したあの時と比べればいつだってマシだが、それにしたって、こうも追いすがられるとまずい。

 

 それから途中何度か振り切ったタイミングで休憩を挟みつつ、しかしやはり必ず見つかって、そんな逃走が4時間続いた。私はなんとか廃墟のホテルの中に身を潜めることに成功した。
 今話すことでもないかもしれないが、私は廃墟は嫌いだ。だから、廃墟を逃走場所に使うことなんて普通はない。その縛りも今日、破ってしまった。
「あのメイド喫茶にはいられないなぁ。いや、それどころか東京にさえいられないかも」
 ため息をつきながら、スマートフォンを見る。ちょうど今日更新された新作、楽しみすぎて着替えながら読んだ小説の冒頭が表示される。
「いっそコーンウォール、イギリスってのも良いなぁ」
 台風の日、公式アカウントが言っていたことを思い出す。
「安全を確保を最優先して下さい。然る後、我々のエンターテイメントが心の余裕の一助になればと思っています」
 心の余裕か。確かに今の私には余裕がない。ちょっと読もう。

 

 面白かった。とりあえず感想ツイートを送ろう。細かい色々はまた後にしよう。
「見つけたぞ、動くな!」
 警察の一人がこちらに拳銃を向ける。迂闊だった。まさか小説を読んでたせいで、接近に気付けなかったなんて。
「……23時55分、逮捕だ」
 嫌だ。咄嗟に、泥棒用のマルチツールナイフを取り出して、首を掻き切る、そんなイメージが浮かんだ。このラインをなぞれ、とでも言うかのように、男の首に赤いラインが見える。そして次の瞬間、そのイメージは現実となった。
「え……」
 人を殺した。その事実がもう私に逃げ場のないかのような思考の袋小路に追い詰めていく。私は泥棒である。けれど決して殺人者ではない。誰にも理解してもらえない事なのは分かってはいるけれど。”私”にとって泥棒は生活の一部だった。だけれど、殺人は明確に罪の一つなのだ。
 5分ほど、私はずっと塞ぎ込んでいた。スマートファンが震える。見ると、私の誕生日を祝うリプライが来ていた。
 でも、私はもう、ここには戻れない。
「どうして、こんなことに」
 誰もがきっと泥棒なんてするからだ、と言うだろう。”私”もそれくらいの想像はつく。けれど、”私”にとって、それは全てだったんだ。それがない世界はもうあり得ないんだ。
 車の止まる音がする。サイレンが聞こえないことに違和感を覚えるが、なんとか逃げないと。
 男の体を漁ってみる。死体を漁ると言うその行為にどうしようもない嫌悪を覚えつつ。
 あれ、警察手帳が見当たらない。せめて、せめて殺してしまった人の名前くらいは覚えておきたいかったのに。どうして。
 スマートフォンが震える。通知設定にしていた公式アカウントが昨日公開した作品の続きが公開された事を告げている。
 けれどもう、そこには戻れないんだ。
 足音が聞こえてくる。逃げ場はない。
「こんなところから、消えていなくなりたい」
 そんな呟き、さっきのようなイメージが頭に浮かんでくる。今度は相手ではない、地面を切り裂く、そんなイメージ。そしてそれは私の動きとは一切関係なく、現実となる。地面に虹色の〝裂け目〟が生まれる。あ、これ、クロスオーバー企画第二弾で見たやつ。なんて思ったのは後になってからの話。

 

「ここ……は?」
「あら、目が覚めたのね。あなた、海岸で倒れてたのよ」
 目を覚ますと、女性が迎えてくれた。その風貌から、日本人ではないとわかる。家の様式も日本とは何か違う。
「ここは、日本じゃ、ない?」
「日本? ここはコーワルよ」
「コーワル? えっと、国、は?」
連合王国UKよ。大丈夫?」
「連合王国? って、イギリスですか?」
 まさか本当にイギリスに来てしまうなんて。と言うか、なんで言葉が通じるんだろう。
「イギリス?」
 あぁ、英語だとイギリスとは言わないんだっけ。
「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、ですよね?」
「……? 何を言ってるの、グランドアルビオンとアーソナ、ユリゼン、ルヴァ、サーマスによる連合王国、それがこの国だけど……」
 知らない国、だった。

 

◆ Second Person Out ◆

 

「何、今の」
 その感覚に再度、嘔吐する。あの日を思い出そうとした瞬間、まるで、あの日をもう一度体験したように、全ての感覚を鮮明に思い出した。

 

■ Second Person (Citizen市民) Start ■

 

 いつも通り、息子達を起こして、朝食を食べさせて、幼稚園に見送り、夫の帰りを待つ。いつも通りの生活だった。
 今日も、いつも通りの朝だった。しかし、インターホンが鳴る。いつもと違う朝。夫の何かのサプライズかしら。
「はい、今行きますよ」
「奥さん、朝早くにすみません。ヘッジホッグ・セキュリティのものです」
 ヘッジホッグ・セキュリティ、それは夫の勤める職場の名前だ。この二人も、何度もホームパーティーで顔を合わせた。
 その報告を聞いて、私は目の前が真っ暗になった。けれど、あくまで確認をしなければならないと言うので、私は夫の同僚の二人と共に、警察署に向かい、そして対面した。
「あなた……」
 そこにいたのは、無残に首を掻き切られた 〝私〟に殺された 夫の姿だった。
「どうして……」
 危険な仕事なことは勿論承知していた。しかし、だからと言って最愛の人の死など、到底受け入れられるものではない。
「誰なんです、いったいどこの誰が?」
「それが、分からないんです。犯行声明も今のところなく、残された痕跡からDNA検査などをしてみましたが、データベースにも該当ありませんでした」
 そんな……、夫を殺した罪を償わせることも、仇が打たれる事もない、なんて……。
 ならばせめて、一生かけて恨んでやる。私の夫を殺したその誰かを。

 

◆ Second Person Out ◆

 

 その鮮明すぎるイメージに、三度嘔吐する。
「なに、今の」
 全く覚えのない記憶のはずの出来事を、想いを、完全に”思い出した”。昨日、このナイフ達を得るためにやむなく殺した、彼、その彼の妻による、自分に対する強烈な恨みを感じる。

 

 しばらくして、ようやく落ち着きを得た空は、先ほどの現象について考察する。
「フレイちゃんが経験してたよなぁ、こう、サードパーソンスタート、セカンドパーソンスタート、って」
 彼女が思い出したのは自分が読んでいたロボットもの小説のワンシーン。その登場人物は、自分のいない場所の様子を鮮明に知ることが出来た。鮮明に感じる、らしい。今の私と似たようなものかもしれない。
 その登場人物は随分便利に力を使っていたけれど、自分のはなんだか変な追い討ちをかけてくる。
「落ち着け、どうせいつかはこうなってたんだ」
 自分に言い聞かせる。空はこう考えている。泥棒を生業とする自分が最終的に罰を喰らうことは至極当然のことだ。だからきっとどうあっても、こうなる事は避けられなかったのだ、と。
「そして、それでも帰りたいからには、あれもまた、避けられなかった」
 それでも、彼女は帰りたい。それこそ、イギリスにでも高飛びすれば流石に助かる気がするし。けれど、そのためにはカグラ・コントラクターとぶつかる事は必至だ。敵も容赦はしてこないだろうから、その時は命を奪うことになるかもしれない。いや、そもそも、あれは本当に二度目なのか? 湖の基地からの逃走中、誰か一人か二人、死んでいてもおかしくはない。
 あくまで精神安定のための自己暗示だ。それで人を殺す罪悪感が消えるわけではない。
「さて、次の方針を考えよう」
 ひとまず忘れた振りをして、話を次に進める。
 調査の結果、私が湖の基地に侵入した翌日に、個人航空機がIoLに飛んでいるのが分かった。
 あの日感じた転移の気配、ずばりあれは転移装置の実験とかでは無いだろうか、と空は考えた。
 転移装置はIoLの基地にあり、あの日、あの場所に転移してきたのだ。だから、次の日、IoLに戻った。あとはどの基地に入ったのか、た。
【RE111>それで、その研究所ってどこなの?】
【mirror>あぁ。今座標を送る】
 その情報は、御神楽財閥一強の状況を嫌う活動家集団、自称「レジスタンス」のネットワークで得ることができた。
 ちなみにRE111とは空がよく使うハンドルネームだ。REは彼女が好きな現代ファンタジー小説のメイドキャラクターから取っていて、111は彼女の誕生日だ。ちなみにTwitterのアカウントやメールアドレスもこの要領で取得している。
 例えばメールアドレスなら、そのキャラクターの名前のうちRの単語の最初4文字とEの単語の最初3文字、それに111で、Googleのドメイン名をつければ完成だ。

 

「楽勝、楽勝」
 意外にも基地の警備は大したことがなかった。警備の兵士の立ち話を盗み聞きした感じ、大規模な作戦に出払っていて、戦力が少ない状態のようだ。
「ここは、資料室か」
 まずカラが向かったのは地図のありそうな部屋。管理室か資料室か兵舎辺りを探していたのだが、見つかったのは資料室だった。
「ちょうどいい、レポートとかないかな」
 パラパラとめくっていくと、見つけた。
「転移実験レポート」

 

転送実験レポート EV067号

P.B.R.355年6環15巡2日

特殊第四部隊隊長 御神楽 久遠 様

 

報告者:ハーヴェイ・ピットマン  


 昨日の淡海湖基地への転移実験をもって、同一世界内の転移技術は完成したと判断できます。この技術を量産出来れば、本実験の希望副産物bである強襲用転送装置の開発が可能になるものと思われます。
 一方、本実験の本来の目的である異世界への転移及びそれによる異世界植民地化計画については、現状足踏みをしている状態と言えます。この原因について以下にまとめました。

 

a)異世界の座標指定問題

 同一世界内の転移では相対的な座標の指定は容易でした。その場所が見えているからです。しかし、異世界に転移するとなると、その場所が見えません。このため座標の指定が困難となっているのです。

 

b)虹の境界線問題

 異世界へのゲートを開いても、極彩色の壁が見えるのみで、それを超える方法が確立できません。この壁は虹のように七色で構成されているように見えますので、虹の境界線、と呼称しております。

 

 a.bの解決策として、異世界を転移できる存在である「コード・アリス」、「コード・メリー」と呼ばれる存在がいる事が判明しております。彼らを捕縛し調査する事が叶えば、いずれの問題も解決するかと思われます。

 

 さらに朗報として本実験の影響か、コード・アリスと特徴の一致する能力を持った敵性戦闘員が淡海湖基地に侵入してきた事を確認しました。その所属は不明ですが、それを捕縛出来れば、さらなる飛躍は間違いないと思われます。

 

以上  

 

「コード・アリス……」
 ほぼ間違いなく、自分のことだ。と空は感じた。そして、気になったのはもう一つ。
「虹の境界線……」
 それは空にも覚えがあった。前に一度……。
「そこでなにをしているのかしら」
 空の後ろから女性の声。明らかに空に向けてかけられた声だった。
「まったく、LEBレブを一人取り逃がしただけでも大変なのに、同じ日に厄介ごとが二つだなんてね」
「!」
 相手は何やらぼやいている。それは油断しているということ。そう判断した空は振り返りと同時に単分子ナイフを投擲し、そのまま本棚の裏に隠れようと駆け出す。
 声をかけたセミロングの女性は、左腕を振って、左腕の中のウェポンベイ武器庫に格納されていた単分子ナイフを取り出し、飛んできたナイフを打ち払う。
 さらに右腕のウェポンベイから拳銃が飛び出し、その腕から拳銃が生えている状態のまま、逃げる空を先回りするように発砲する。
「だったら!」
 空は不利を理解し、取って返して、今度は女性の足元目掛けて滑るように突進する。
「腕が機械なら狙うは脚、悪くない判断ね。けど」
 女が足を振り上げ、足の先からナイフを展開し、空のナイフを吹き飛ばす。
「なっ!?」
 さらにもう片足からブーストが吹き出し、女が高く飛び上がる。もう片足の脛に電気をまとったブレードが出現し、そのブレードを空にぶつけるべく、空中回転キックを繰り出す。
「くううっ!」
 止むを得ず、足元に〝裂け目〟を生成して距離を取る。
「あら、あなたが噂のコード・アリスだったの。なら、殺しちゃうわけにはいかないわね」
 そう言うと、全ての武器がウェポンベイに戻り、そして、二つの握り拳と腕が電撃を纏い始める。
「だったら!」
 なりふり構わないならやる事は一つ。後ろに転移し、おそらく唯一生身であろう胴体か頭を狙う。
 転移成功。頭を見る。カメラがついている。
 ――文字通り後ろに目がついてる!?
 ――なら胴体に!
 しかし、胴体から飛び出した3本目の腕が、その一撃を受け止める。そして電撃が飛び出し、空の体がびくんと震え、そして、倒れる。
「甘かったわね。あなたの武器は鋼鉄さえバターのように切り裂く単分子ナイフ。大人しく頭でも狙っておけばよかったのに」
「まさか、全身が、義体……」
「あら、私のこと、知らない? 特殊第四部隊トクヨンの狂気、御神楽みかぐら 久遠くおん。それなりに有名だと思ったけど、まだまだかしら」
 久遠が肩に刻まれたワッペンを見せつけながら、空に近づいていく。
 黄色を基調色とし、中央には花弁が一舞い散った四枚の桜の花びらとそれを取り囲む薄紫の花の意匠が特徴的だ。確かにSpecial 4th Unit特殊第四部隊と書かれている。久遠の言葉によれば世界的に知られた部隊のようだが、空は知らなかった。
「くっ……」
 ここで捕まるわけにはいかない。力が抜けそうなのを振り絞り、地面を指で引っ掻く。
「! させないわ!」
 久遠が銃撃を放つが、それよりほんの僅かに空の動きの方が早かった。
 空の足元に〝裂け目〟が出現し、空がその中に消えていく。
「あらら、転移が自在ってのは、なかなか厄介ね。対処法を研究させないと」
 エルステに続き折角のコード・アリスまで逃すなんて、トクヨンの名が泣くわ、と久遠は嘆いた。

 

 基地から少し離れた森の中、空は倒れていた。
「ぐっ……、くぅ……」
 空が右脇腹を抑えながら呻く。久遠がこちらの逃走を阻止するために放った弾丸、それは逃走の阻止には寄与しなかったが、空の脇腹を確実に貫通していた。
「治療……しないと。そして、御神楽 久遠…………、あれに勝てる力がないと……」
 カグラ・コントラクターが転移技術を開発しているのは間違いない。しかもIoLから桜花まで飛べるほど、今の空の能力より圧倒的長距離を移動できる。ならば、空の能力と合わせれば、あるいは、元の世界に帰ることができる、のかもしれない。
 しかし、そのためには、あの圧倒的過ぎる強さをもった全身義体のサイボーグ女、御神楽 久遠に勝てなければならない。
 その方策、それは戦う仲間。カグラ・コントラクターと戦うレジスタンスと協力すること、それくらいしか思いつかない。だが、今はまだ動けない。今はただ、しばしその体を休めるばかりである。

 

To Be Continued…

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