常夏の島に響け勝利の打杭 第1章
分冊版インデックス
飛行機の中。
眼下に広がる青い海に、
『おー、南国って感じだね!』
匠海の肩にちょこんと座り、同じく窓の外を見ていた妖精も楽しそうに声を上げる。
「お前……気が逸りすぎだろ……」
呆れたような匠海の言葉、続いてつん、とつつかれる妖精の頭。
妖精はダイビングスーツにフィンとシュノーケルを完備、その上で浮き輪を腰に付けた姿で匠海の肩に腰かけていた。
現地に着いたら楽しむ気満々の妖精に、匠海は「遊びじゃないんだぞ」とため息を吐く。
「今回のハワイ行きは観光じゃない、れっきとした仕事だぞ」
『えー、「折角のハワイだから前日入りして楽しんでこい」って言ったのはとうふだよ?』
「それな」
今回、ハワイに向かっているのは長期休暇を利用した観光ではない。
窓から視線を外した匠海が、視界にAR表示で映し出されたUIを操作して動画を呼び出す。
映し出されたのは人の背丈ほどありそうな人型のロボットが互いにぶつかり合う映像。
ぼんやりと動画に視界を投げ、匠海ははぁ、とため息を吐いた。
「何が楽しくてコンテストの監視員しなきゃいけないんだよ……」
俺は
『仕方ないでしょ、タクミの情報分析能力を買われてるんだから』
世界に4本存在するメガサーバ「世界樹」、その一基目、「ユグドラシル」に勤めるカウンターハッカーである匠海が今回ハワイに向かっている理由。
それが、今見ている動画にあった。
『「
妖精がぶつかり合い、火花を散らすロボットを眺めながら呟く。
『人型ロボットでの格闘技の大会って、結構野蛮なことするのねー』
そうは言うものの、妖精としてもロボットのコンテストが嫌いとかそういった考えは持ち合わせていない。あるとすれば「本来人間が従事するには危険な作業に従事するのがロボットなのに、どうして戦わせたりするんだろう」という考えだろうか。
それな、と匠海が再び呟く。
「妖精は知らないのか? 知らないならロボット開発周りのコミュニティとか覗いてみるといいぞ。
『人間に近い動きをするロボット……』
ただの作業ロボットであるならその作業に適した形状にした方が効率はいいだろう。それなのに人間に近いものを、と求めるのは何故だろう、と妖精は思考プロセスを開始する。
様々データベースやアーカイブを参照し、出た答えが。
『やっぱり人型ロボットはロマンだから?』
「お前、
日本といえば人型ロボットアニメの聖地である、という匠海の認識も大概だが、実際のところ日本製のロボットアニメはアメリカでもかなりの人気を博している。
匠海はそのようなアニメにはあまり触れていないが、日本から移住した
それはさておき、今回、匠海がハワイに出張することになったのはこの動画で繰り広げられているロボットバトル、「Nileロボットアーツコンテスト」の決勝戦の監視をすることになったからだった。
匠海が勤めている
何故作業効率を求める大会が格闘技に変わったのかは匠海も何となく理解している。
その確認も兼ねて、匠海は妖精に事情を説明することにした。
「人型ロボットがロマン、もあるかもしれないが、大きな理由としては
現在、世界は大きく分けて三つの経済圏に分類されている。
アメリカ周辺を巻き込んだ
これらの経済圏はそれぞれの主義主張、経済的利権、各種資源を巡って水面下で火花を散らしている。
国家間の武力衝突である「戦争」という概念がなくなって久しいが、それでも各経済圏は武力衝突こそはないものの情報戦やそれぞれの主張を拡大解釈した過激派によるテロなどは頻発していた。
そんな三つの経済圏の中でも、
それが「自動人形」。
戦闘用の人型ロボットを
あれはもう一年と半年以上前のクリスマスのことだ。
匠海が勤めている、Nile社所有のメガサーバ「ユグドラシル」での上司、スクリーンネーム「とうふ」こと
四本の世界樹を核ミサイルで攻撃しようという大規模テロ、「
『ふーん、
なんで平和に済まそうとしないのー、とむくれる妖精に、匠海が仕方ないだろ、と呟く。
「世界なんてそんなものだ。今の平和は、その裏で開発された兵器が抑止力となっているから成立しているものだからな」
抑止力としての兵器。それが実際に使われないことを祈るしかない。そして、万一戦争が再び起こった時にはこの抑止力を使用しない限り国を守ることができない。
そんな危うさの上で成り立つ平和なのに、平和を当たり前と思った人間が「兵器はすべて廃棄しろ、世界に軍隊は要らない」と声高らかに叫んでいるのが今のご時世なのである。
『平和って難しいねー』
妖精がぼやき、ストレージを開いてアイテムボックスからトロピカルジュースを呼び出す。
それをずずっと啜り、「でも」と呟いた。
『まぁ、「Nileロボットアーツコンテスト」が
「お前、話聞いてなかっただろ!」
妖精の発言に、匠海が声を荒らげる。
「とうふが言ってたよなァ? 『ハッキングによる不正を防ぐ』って」
『えー、そんなこと言ってたっけ』
あっけらかんとしてとぼける妖精。
それに脱力した匠海がずるずるとファーストクラスのシートに埋もれていった。
「……疲れた……」
『まだ離陸して一時間だよ? ねえねえ、折角のファーストクラスなんだからワイン飲も?』
そう言い、妖精がCA呼び出しコマンドを入力する。
「余計なことするな!」
『えーでももう呼んじゃった』
てへぺろ☆ と舌を出す妖精に、匠海の身体がどんどんシートに埋もれていく。
「……もう嫌だ妖精置いてこればよかった……」
『なーに言ってるのタクミ、「
やってきたCAに「ワインとおつまみよろしく~」と妖精がオーダーし、その声を聞きながら匠海は「もうどうにでもなれ……」とシートに埋まりながら低く呟いた。
サンフランシスコ国際空港からダニエル・K・イノウエ国際空港までは約五時間半のフライトである。
散々はしゃいだ妖精と、ワインと機内食は楽しんだものの、いささかげっそりしている匠海がオアフ島に降り立つ。
『わーい、ハワイだー! タクミ、早くチェックインしてご飯食べに行こ! 美味しそうなごはん処は色々チェックしてるから任せて!』
「……一応、聞いておこうか」
ずるずると手荷物受取所に向かう匠海。その匠海に妖精がえーと、と指を折ってチェックした店のデータを転送する。
『ステーキで有名なウルフマフィアでしょー? アサイーボウルがおいしいらしいアイランドアンティークコーヒーも捨てがたいし、コトリーは本格的な和食が食べられるみたいだよ! 日本の企業直営の本格和食とか、食べてみたいんじゃない?』
「……アア、ワルクナイナ」
『なんで棒読み』
妖精の言葉に、匠海は完全に無となっている。
燃え尽きて灰になった様子で手荷物受取所からスーツケースを受け取り、匠海は空港を出た。
『うーん、海風……?』
空港に降り立った瞬間、
「……そうだな」
妖精とは違ってリアルに風を受けた匠海も呟く。
仄かに香る潮の香りと、耳に届く店先のハワイアンミュージックに、「ハワイに来てしまったんだな」と実感する。
「Nileロボットアーツコンテスト」の監視のために来たとはいえ、
妖精が楽しみにしているのに自分一人が燃え尽きているわけにもいかない、と匠海は気分を入れ替えることにした。
「夕飯はウルフマフィアでステーキにしよう。アサイーボウルはどっちかというとおやつみたいなものだろう、だったら今からアイランドアンティークに行ってお茶でもすればいい」
『おお、タクミ分かってるぅ!』
だったら予約しておくねー! と妖精がウィンドウを開き、予約サイトにアクセスする。
それを見ながら、匠海はうーん、と一つ伸びをし、スーツケースを手にバスターミナルへと向かった。
ワイキキ行きの路線バスに乗り、揺られること約一時間。
ワイキキに到着した匠海は潮風を感じながら少し歩き、予約していたホテルのロビーに足を踏み入れた。
『ワイキキリゾートホテル、ワイキキビーチまで徒歩二分。なんだかんだ言ってタクミも泳ぐ気満々じゃない』
フロントに向かう匠海を妖精が茶化す。
「バカ言うな、予約したのはとうふだぞ?」
会場に近くて、値段も手ごろなところと聞いてたが、と反論する匠海だが、普段ワーカーホリック気味の匠海を休ませるにはこれしかない、ととうふが強硬手段に出た可能性は大いにある。
実際のところ、ワイキキビーチまでは徒歩二分とは言われているが、道を一本入ったところにあり、ロビーからビーチが見える、ということはない。
一応は「仕事」が名目なので、「観光目的ではない」と上に納得させるためか、と思いつつも匠海はチェックインを済ませ、予約した部屋に入った。
『うわぁ……』
窓から見える青い海に妖精が声を上げる。
「ほら、明日泳ぐから海なんていくらでも見れるだろ。とりあえずアイランドアンティークに行くぞ」
荷物を確認した匠海が、スーツケースからTシャツとハーフパンツを取り出し、着替える。
着替えて身軽になったところで、匠海は自分に背を向けて顔を覆っている妖精を不思議そうに眺めた。
「? 何やってんだ?」
『いや、タクミが着替えるなら見ない方がいいかと……』
はぁ? と匠海が声を上げる。
「何言ってんだいつも『普通ねー』とか言いながらガン見してるだろお前!!!!」
そう言いながら匠海が妖精の首根っこを摘まみ、ポンと左肩に乗せる。
「ほら、行くぞ」
『食べる前に
わたしも食べたーいと言う妖精に「はいはい分かった」と言いつつ、匠海が部屋を出る。
明日はビーチでくつろぐか、と思いつつ、匠海は
翌日。
外は日光が燦々と降り注ぐビーチ日和。
元々がインドア派の匠海は「外に出たくねえ」と一瞬は思ったものの、折角ハワイに来ておいてビーチに出なかった場合、カウンターハッカー仲間にどうどやされるか分からないと思った匠海は意を決してワイキキビーチに足を踏み入れた。
青い海、白い砂浜、燦々と降り注ぐ太陽。屋台から聞こえてくるハワイアンミュージックに、ビーチに並べられたビーチベッドで談笑するカップル。
よくひとまとめにされるが、実際には八つのビーチに分けられたワイキキビーチの中の中でもほぼ中央に位置するプリンス・クヒオビーチが現在地だと、オーグギアの地図情報が示している。
少し視線を巡らせると、ハワイの英雄的なサーファーとして知られるデューク・カハナモクの像が建立されており、幾つもの
匠海は別に泳ぐつもりもなかったし、当然、サーフィンの体験をするつもりもなかった。とりあえずビーチでのんびりとしよう、とホテルから出てきたが、ビーチに行く限りは、とサーフパンツにTシャツ、さらにその上にUV加工が施されたラッシュガードという出で立ちでいる。
妖精もセパレートタイプの水着に
『タクミ、早く行こ!』
「まあ待て、準備が必要なんだよ」
そう言いながら匠海は近くのレンタルショップに立ち寄り、ビーチパラソルとビーチチェアのセットのレンタルを手配する。
はじめは1時間20ドル程度のプランにしておくか、とスクリーンのそのプランをタップしようとするが、妖精が「半日だったら30ドルだって」とボタンをハイライトしたため、「じゃあそれにするか……」と半日のセットを選択する。
レンタルしたビーチベッドの場所を確認し、近くの屋台でフルーツ盛りだくさんのココナッツミルクを購入、サンオイルを塗り合うカップルや友達連れの人々の合間を縫い、目的のビーチチェアに向かう。
二つ並んだビーチベッドの片方に腰を下ろし、匠海はココナッツに差されたストローに口を付けた。
穏やかな波が押し寄せては引いていく海岸を眺めながら、ふぅ、と息を吐く。
『泳がないの?』
「泳げないことはないが、一人で泳ぐのもむなしいだろ……」
そんなやり取りをしながら、匠海は二日後に控えた「Nileロボットアーツコンテスト」本戦に向けて、他の地域で行われていた予選の動画を再生した。
匠海の仕事としては本戦の最中に誰か、敵味方関係なく参戦ロボットに対して回線介入してのハッキングを防止するもの、その可能性を考慮して予選の動画を確認し、もしハッキングするとすればどのような環境で行うか、などを頭の中でシミュレートするつもりだった。
しかし、匠海が
『また仕事してる! 今日は休みってとうふに言われたでしょ!』
「他にやることないんだよ」
それに、対策の手は多いに越したことない、と複数の動画を同時に展開し始めた匠海。
ああもう、と妖精が匠海の眼前に移動し、ウィンドウを払いのけるように手を振った。
その瞬間、匠海の前に展開された動画ウィンドウがすべて閉じられる。
「あ! 妖精!」
『休めと言われたらちゃんと休む! このワーカーホリック!』
ほら、泳ぎに行くよ! と妖精が匠海の腕を掴む。
実際のところ、妖精はAR体なので実際に匠海の腕を掴んで引っ張ることはできないが、匠海の視界、いや、他の人間の視界では腕を引っ張ろうとしてうんともすんとも言わない状況に四苦八苦しているように映っている。
ビーチにいる周りの観光客も様々な容姿のサポートAIを引き連れ、バカンスを楽しんでいるので匠海と妖精もそのうちの一人、として溶け込んでいるが。
そんな匠海と妖精が泳ぐ泳がないで揉めていると、そこに一人の女性が歩み寄ってきた。
「ハロー? 隣、空いてる?」
その声に、口論をやめて女性を見る匠海と妖精。
長いグレージュの髪をツーサイドアップにした、まだ少女と言ってもいいくらいのあどけなさの残る女性。年齢は二十代前半くらいだろうが、女性に年齢を尋ねるのは
黒のベースに白いレース生地をふんわりと被せたセパレートタイプの水着を着用し、首にはプルメリアでできたレイをかけた女性は、引き締まった健康的な肉体で、匠海が思わず見とれてしまう。
体型や顔つきだけを見ればアジア系、いや、日本人に見えるが、声をかけてきた言語は明らかに英語。
アメリカ生まれアメリカ育ちの匠海からすれば英語は聞きなれた言語だが、この女性が話す英語には日本訛りは一切なく、ネイティブに聞こえる。
もしかして、俺と同じ日系人なのか、と思いつつ、匠海が女性を眺めていると。
「んー? カラちゃんの顔に何か付いてる?」
と、女性が首を傾げた。
「あ、いやすまない」
慌てて女性から視線を外し、匠海が謝罪する。
「別にいいよー? ほら、カラちゃんかわいいし」
てへっ、と笑う女性。
自分のことを「カラちゃん」と呼んでいることから、名前はカラというのかと匠海が考えていると、妖精が匠海の髪を引っ張り始める。
『折角逆ナンされてるのにそっけなーい!』
「なっ」
妖精に言われて「そういうこと」だと思ったのか。
「そ、そうなのか?」
恐る恐る訪ねる匠海。
「あっ、そのサポートAI、妖精ちゃんでしょ? ってことはキミがあの
「えっ」『えっ』
タクミと妖精が同時に声を上げる。
「俺のこと、知ってるのか? ってか、ジジイのこと知ってんのか?」
女性が匠海のことを知っているのは匠海としては認めたくないが心当たりがないわけではない。
Nile社のプロモーションで時折メディア露出があるため、知っている人間がいたとしてもおかしくはない。むしろユグドラシルサーバの隠れアイドルとも言われているらしい、と
だが、匠海だけではなく白狼のことを知っているとなると話は別だ。
白狼など、恋人を追ってアメリカに移住したただの元日本人、一般人から見た認識はそれだけだ。
匠海の目から見れば白狼はハッカー界のレジェンド、
そう考えると、女性が白狼の名前を口に出したことで若干の不安を覚えざるを得ない。
どこで白狼を知った、いや、どうして俺がジジイの孫であることも知っているのか、と匠海が疑念を女性に向けた。
対する女性はえー、知ってるよー? とこともなげに言う。
「だってカラちゃん、白狼の知り合いだし」
「マジかよ!」
思わず匠海の声のトーンが上がった。
白狼といえば恋多き人間、恋人のために国を捨てた後、その恋人に先立たれてからも多くの女性と付き合ってきた。
最終的には匠海の祖母に当たる女性、日系人の奈緒美と一緒になって女性遍歴はひとまず落ち着いた……と思っていたのだが。
「ジジイ……俺よりも年下の女にコナかけてたのか……」
頭を抱え、匠海が唸る。
これはあまりにも悪夢すぎる。もう犯罪だろこれ……。と呟く匠海に女性は首をかしげてみせた。
「カラちゃんは本当に白狼の知り合いだよ? 何なら電話して聞いてみる?」
「……確認してもいいか……?」
流石に信じられなくて、匠海がそう確認すると、女性は「どうぞどうぞー」と頷いてくる。
そこで匠海は空中に指を走らせ電話帳を呼び出し、白狼に回線をつないだ。
数コールの後、白狼が通話に応じる。
《おお匠海、ハワイはどうだ?》
開口一番、ハワイでの匠海の様子を訊いてくる白狼。
「そのハワイでちょっとな……ジジイ、あんたの知り合いだって言う女に会ったんだが」
《儂の知り合い? ナンシーちゃんかな、それともナディアちゃん……いや、エリザベスちゃんという線も……》
「……じ、ジジイ……?」
次から次へと女性の名前を挙げる白狼に、流石の匠海もドン引きである。
どんだけ女と付き合ってんだよばあちゃんで最後とか言ってただろこのエロジジイ、と匠海のこめかみに青筋が浮かぶ。
しかし、通話の向こうの白狼は、「冗談はここまでにして」と突然真面目な顔になった。
《そこにいるの、カラじゃろ?》
「え?」
匠海が驚いて女性を見る。
そう言えば、この女性、さっきから自分のことを「カラちゃん」と呼んでいた気がする。
え、まさか、といった面持ちで自分を見ていることに気付いた女性が、にっこりと笑って人差し指を立てた。
「はーい、カラちゃんでーす!
そう言い、空と名乗った女性は満面の笑みをその顔に浮かべた。
それから、くるりと匠海に背を向け、まるでそこにカメラがあるかのようにポーズをとる。
「なーんかカメラが回ってる気配! はーい、読者の皆さん、みんな大好き空ちゃんでーす! 今回はたまたまハワイに流れ着いたからバカンス楽しんでるけど、これもしかしてなんかイベントあったりするのかな?」
突然、虚空に向けて語り出した空に、白狼と通話を続けながら匠海が「配信でもしているのか?」と考える。
きょうび配信機材も小型化が進み、配信用のウェブカメラも虫型と呼ばれる超小型ドローンに搭載されるものが主流となっており、アングルの自由度が高い配信が行えるようになっている。
そのような配信機器が普及しているから、配信していてもカメラが見つけられないということはよくある話なので、匠海は「配信している」と認識した次第である。
匠海と白狼の会話をよそにひとしきり喋った空は妖精を見て「よろしくねー」などと声をかけている。
それを見ながら、匠海は白狼と空の馴れ初めを聞かされる羽目に会うのだった。
「……マジでジジイの口説いた相手だったとは」
数分、白狼と通話して空のことを話した匠海がげっそりとしたようにビーチチェアに身を預ける。
「……世の中狭い……」
ってか、ジジイ流石に犯罪だろと呟きながらも匠海が隣に座った空を見た。
《若い頃の話だぞ》
「若いって、ジジイ何歳の話だよ! それともこいつ……空が子供の頃の話だっていうのか?」
だったらマジで犯罪だ、通報するぞと匠海が凄む。
《そうさな……儂が二十代の頃かなあ……》
「ぶっ!」
白狼の答えに匠海が吹き出し、それから隣の空を改めて見る。
白狼の年齢に関しては既に百歳を超えているのは先日確認したところ、二十代の頃と言えば八十年は昔の話である。
ちょっと待てこの空という奴、実はとんでもない美魔女なのか、いや、百年近く生きた人間がどう見ても二十代前半まで若返るのはあり得ない、まさか義体? などと匠海の中で考えがぐるぐると回る。
ちなみに、匠海の中で「義体」という単語は出たが、そもそも妖精を義体制御OSとして開発しようとした
と、なるとやっぱり美魔女……と考えている匠海に空がむぅ、と頬を膨らませる。
「匠海ー、レディの年齢考えるのは野暮だよー? 空ちゃんはちょっと特別なのだ」
「……はぁ」
考えるのはやめよう、と匠海がため息を吐いてココナッツミルクを一口飲む。
「……で、なんで俺に声かけたんだ」
空が妖精について言及していたこと、そこから白狼の孫だと断じたことを考えるとはじめはたまたま空いてたから声を掛けただけで、声を掛けたら匠海だった、というだけの話である気はするが訊かずにはいられなかった。
匠海の質問に、空が「んー」と呟き、
「大体匠海が考えてる通りじゃないかなあ。たまたま見かけただけだってば」
「そうか」
空がそう言うのならそうなのだろう。
それならこちらから話すことはもうないとばかりに匠海が再び動画の再生を始めようとする。
それを妖精が阻止しようとじたばたし始めたところで空が匠海に質問を投げた。
「ところで匠海はどうしてハワイに? 休暇?」
「いや、仕事だ。明後日開催の『Nileロボットアーツコンテスト』の不正監視員として動員されてな」
「Nileロボットアーツコンテスト」自体は別に非公開の大会でもなく、それにスタッフとして参加することも別に
これが、空が参加者であるなら重大なインシデントであったかもしれないが匠海が記憶している参加者リストに空の名前はなく、また、質問の仕方から仲間が参加する、というわけでもないだろう。
その匠海の読み通り、空はふむふむと頷き、くつろいでいる様子の匠海になるほどと呟く。
「流石カウンターハッカー。ってことは、折角のハワイだしで前乗りしたの?」
「まぁ……俺は別に必要ないって言ったんだが、上司に『折角だから前日休暇にしておいてやる』と言われてな」
おかげで一日休む羽目に遭ってな……。と匠海がぼやくと、空の顔色が目に見えて変わった。
どちらかというと呆れ果てた顔。
ゆっくりと空の唇が動く。
「また!?!?」
「また、って知ってるのかよ」
約二年前の苦い思い出が匠海の脳裏に蘇る。
あの時はユグドラシルサーバ出禁にされた上に世界的テロに巻き込まれかけたんだよな……と思いつつ、空にそう言うと、空は知ってる知ってる、と首をぶんぶんと縦に振った。
「『ランバージャック・クリスマス』のことはなーんか知ってるんだよなーこれが。ま、でもあんな事件がまた起こることなんてないって」
「……まぁな」
いささかの不安を覚えつつも匠海が頷く。
そうだ、今度は何もない。ただの休暇で、明日は会場のチェックで明後日は大会。それが終われば今まで通りの業務に戻れる。
そう、自分に言い聞かせ、匠海はもう一口、ココナッツミルクを喉に流し込んだ。
「そう、思っていたのでした、ってね。カメラ回ってるなら、さっきの発言がフラグじゃないわけないんだよなぁ、みんなもそう思うよね?」
◆◇◆ ◆◇◆
空と別れ、ホテルに戻り、翌日の会場チェックは何の問題もなく一日が終わった匠海はやや緊張した状態で大会当日を迎えた。
早めに会場に顔を出した匠海はもう一度ざっくりと会場を回って不信な通信が行われていないかを確認し、それから匠海や他の監視員メンバーのために作られた監視センターに移動する。
会場はワイキキビーチより少しだけ島の内部に位置するハワイコンベンションセンター、その展示ホールをまるまる使った大規模なものである。
「こちら監視センター、回線及び各カメラのチェック」
監視員のリーダーを任された匠海が各エリアに配備された他のメンバーに声をかけ、さらに監視カメラの映像を確認する。
視界に映る十数台のカメラ映像のそれぞれに視線を投げると該当のカメラ映像がズームされ、より細かい確認が問題なく行えることを確認した匠海はふぅ、と傍らに置いたコーヒーの入った紙コップを手に取った。
「ハワイに行ったらコナコーヒーは飲んどけ。お前、コーヒー好きだろ」
そう、ハワイの観光ガイドをチェックしてくれた健のアドバイス通りに、近くのコーヒーショップで購入したコナコーヒーは爽やかな酸味と花のような芳醇な香りが特徴で、一口飲むと癖になりそうな香りが鼻を抜けていく。
これは監視室メンバーのお土産はコナコーヒーで決まりか、と匠海が思いつつチェックを進めていくと、周りも徐々に騒がしくなり、会場のボルテージも上がっていく。
《イベント開始。全員、気を緩めるな》
時計が十一時を指したとき、本部から一斉通信で声がかかる。
「よし、ここから決勝終了まで誰も気を抜くなよ」
匠海もぱん、と両手を合わせ、監視センターで匠海と同じくハッキング監視を行う面々に声を掛けた。
人の背丈ほどある人型ロボットの拳がぶつかり合い、火花を散らす。
観客席がわっとどよめき、時には歓声が、時には嘆息が漏れる会場の熱気が監視センターにも届いてくる。
「今年のレベル、高いな」
匠海の隣で監視作業に勤しんでいたメンバーがほう、という呟きと共に匠海に声をかけてくる。
「そうだな」
モニターから目を離すことなく匠海も頷いた。
今年の大会は例年に比べてレベルが高いのは事実だ。各チームのロボットの動きは洗練されており、また、重い一撃を受けても踏みとどまるほどの防御や安定性を備えている。
そんな試合の数々を監視しながら、匠海の隣のメンバーは面白そうに声を上げた。
「なあ、今年はどのチームが優勝すると思う?」
話を振られた匠海がそうだな、と頷いた。
「今のところお互いソロだがエイヴァリーと南雲が頭一つ抜きん出ているように感じるな。お互いトーナメントの左右グループだし、決勝で当たるんじゃないかな」
監視カメラからの映像を眺めているだけだが、匠海の目にはこの二人は特に洗練されたロボットを作っているように映った。高価なパーツを使っているわけでもないのに動きに無駄がなく、また、対戦相手の攻撃を巧みに回避すらしている。
他の参加者のロボットはなかなかそこまでは至らない。回避を捨て防御に全振りしているパターンがほとんどだ。
これは面白いことになるぞ、と匠海が呟くと仲間もああ、と頷いた。
「まぁ、今のところ特に不正もなさそうだから今回は行儀がいいな」
今年は匠海が当番となったが、過去の大会には悪質なハッキングの不正が行われたこともあったという。それが現時点で兆候すら出ていないのだから今年の参加者はかなり行儀のいいチーム揃いである。
時々雑談を交えつつも警戒は怠らず、試合がどんどん進んでいく。
匠海が決勝で当たるのではないかと予想した二人も順調に勝ち進み、決勝戦のカードは下馬評通りフィラデルフィア代表のアンソニー・A・エイヴァリーと日本代表の
癖のある赤毛の高校生と、神経質そうな雰囲気の大学生がステージの両端に立ち、互いを見る。
アナウンサーによる二人の紹介の後、ロボットの紹介が始まったタイミングで全てのスタッフの緊張も高まる。
今まで何もなかったからといって、決勝戦も何も起こらないとは限らない。むしろ決勝戦を狙って不正や外部からの妨害が行われることは大いにある。
気を引き締めてかかれ、と本部からも連絡が入り、監視センターにも一気に緊張が走る。
ゴングと共に動き出すアンソニーと光喜のロボット。
先手を打ったのはアンソニーの方。
脚部に備え付けたローラーを利用して光喜のロボットに急接近、強烈なパンチを繰り出す。その拳から杭が飛び出した瞬間、あちこちから声が上がった。
『おおーっと、アンソニー選手必殺のパイルバンカーが初手から発動!!!!』
実況担当のアナウンサーが興奮気味に叫び、周りからもざわざわと声が上がる。
今までの試合では、アンソニーはパイルバンカーをここぞという時にしか使っていなかった。それを初手から使ったということは、アンソニー側は短期決戦で終わらせる、というつもりなのか。
パイルバンカー、といっても相手の装甲を撃ち抜くような威力はない。当てたついでに追撃して相手を吹き飛ばす、といったものだったが、光喜のロボットはそれを受けつつも踏みとどまり、反撃を試みる。
激しく殴り合う二機のロボットに、観客席からも本部からも監視センターからも声が上がった。
「やべえな」
匠海の隣で仲間が声をあげ、匠海もそうだなと頷く。
アンソニー側のパイルバンカーが決まった瞬間、勝負がついたかと周りは思った。
だが、それでも倒れなかった光喜のロボットの安定性や装甲は並ではない。
これは分からないぞ、と呟いたのは誰だろうか。
試合目前、監視センター内でコナコーヒーを賭けた勝敗予想が展開されたが、匠海は下らない、と言いつつもちゃっかりとアンソニーに票を投じている。
表面上では公正に中立の立場で試合を眺めていたが、内心ではアンソニー行け、負けるなと拳を握りしめている。
一進一退の攻防、しかしアンソニーのロボットがジリジリとフィールドの隅に追い詰められていた。
初手でパイルバンカーを使ったことで、光喜側はすぐに対応したのだろう。アンソニーの攻撃がなかなか決まることなく、光喜のロボットがパンチを当てに行く。
「っそ、こんなところで負けられるかっつの!」
フィールド端の操縦者エリアでアンソニーが叫ぶ。
「こうなったら奥の手だ!」
そう叫んだアンソニーの言葉はマイクで拾われ、会場全体に中継されている。
その声を聞いた瞬間、匠海の背筋にぞわりと悪寒が走った。
危険だ、という本能の囁き。
ハッカーとしての勘が、やめさせろと匠海に叫ぶ。
「おい、あいつ、なんか――」
匠海が周囲に伝えようとしたその時、会場全員の目の前で信じられない出来事が発生した。
追い詰められたアンソニーのロボットがパイルバンカーを放ったその後に〝裂け目〟が発生する。
それは空間が「裂けた」としか言えないような状態だった。
その〝裂け目〟にアンソニーのロボットが突入する。
次の瞬間、アンソニーのロボットが光喜のロボットの背後に出現した。
まるで〝裂け目〟を使って瞬間移動したかのような動きに、会場が一瞬静まり返る。
「――っ、」
咄嗟に匠海が監視システムに目を走らせる。
会場全ての電波状況、量子通信のログ、その他各種ログを確認、会場内で異常が発生していないか確認する。
しかし、匠海が観測できる全てのログは正常値を示しており、何の異常も発生していない。
一体何が起こった、と匠海はモニター越しにアンソニーを睨みつけた。
瞬間移動技術が過去に発明されたことは知っているが、あれはコストに見合わないため使われないもののはずだ。何かしらの不正をおこなったのではないか、と匠海は踏んだが、データを見る限り何も起こっていない。
フィールドを見ていると、アンソニーのロボットが〝裂け目〟を利用した瞬間移動を繰り返し、相手の死角から攻撃を繰り返していた。
追い詰められていた状況から一転しての攻勢。
会場は一気に盛り上がり、目の前の信じ難い光景に興奮している。
「く――、なんなんだ、こいつ……!」
優勢だったはずの光喜が逆転され、信じられないと呻いたその時。
突然、アンソニーのロボットのそばに開いた〝裂け目〟が大きく広がった。
5、6メートルほどの高さにまで広がった〝裂け目〟の奥から二つの赤い光がまるで目のように輝き、こちら側を見据える。
そして、その〝裂け目〟をさらに引き裂くかのように巨大な金属の手が〝裂け目〟の縁を掴み、両横に広げた。
なんだ、何が起こっている、とざわめく会場。
引き裂き、広げた〝裂け目〟から、全高六メートルはあろうかという巨大なロボットが三機、姿を現した。
『Fine, la faztransira eksperimento estis sukceso.』
現れた三機のロボット、その先頭の機体のスピーカーからそんな言葉が聞こえる。
明らかに英語ではない言語に、周囲の人間がざわざわと騒ぎ始める。
「何言ってるんだ……」
首を傾げる匠海に、その肩で匠海のサポートをしていた妖精が即座に検索する。
『タクミ、これエスペラント語だよ。ええと……「ついに位相転移実験は成功だ」って言ってる』
「な――」
匠海もエスペラント語の存在は知っている。一応は母語の異なる人々の間で意思伝達ができるように、と開発された人工言語だが、その普及率はお世辞にも高いとは言えない。まだ英語の方が話者は多いくらいだろう。
そんなエスペラント語を口にするとは、一体何者だ? と匠海が通信ログを解析する。
第一声はスピーカーから聞こえたのは、恐らくは会場にいる人間へのアプローチだろう。そう考えるとそのあと何かしらの会話がロボット間でされているはずで、それは通信のはずである。
だが、量子通信のログには何のデータもなく、匠海はまさかと思って電波通信のログも確認した。
『ビンゴ! あのロボット、無線通信してる!』
「了解。妖精、翻訳頼めるか?」
『任せて!』
匠海が指示と同時に
数分も経たずに匠海がロボットたちの無線通信に割り込み、その会話を傍受する。
《ここにはまだ星条旗がはためいている》
《あぁ、管理帝国の名の下に、自由主義は葬り去らねばならない》
匠海が傍受したロボットたちの無線を妖精が同時通訳し、伝えてくる。
「……管理帝国……?」
聞いたことのない名称。一体、どこの勢力だ。それとも、別の経済圏が?
情報が少なすぎる、と情報収集をしようとする匠海だが、管理帝国も突如現れたロボットもどのデータベースにアクセスしても情報がない。
そうしているうちに、先頭のロボットが会場奥に掲揚された星条旗に銃を向けた。
無数の銃弾が撃ち出され、星条旗をズタズタにする。
「なっ」
星条旗を撃ち抜くとは、明らかに
ということはこいつらは敵か、と匠海は周囲が止めるのも構わずに監視センターを飛び出した。
『異世界の民よ。我らはこことは異なる世界よりこの世界にやってきた。我々の目的は諸君らの幸せである。直ちに自由主義を捨て去り、我らが管理主義に恭順すれば、諸君らの幸せを保障しよう』
スピーカーから聞こえる宣戦布告に、匠海がふざけるな、と歯軋りする。
あの〝裂け目〟から現れたということは、「異なる世界から来た」というのは事実だろう。しかし、それであったとしても管理帝国とやらの主張はめちゃくちゃだ。
何が「諸君らの幸せ」だ、と匠海が走りながら吐き捨てる。
そんな押し付けられた幸せなどクソ喰らえだ、と思いながら試合会場に飛び込む。
試合会場に匠海が行くと、ちょうどNile社の所有軍がハワイコンベンションセンターに到着したところだった。
複数の装甲車と戦車が会場にそれぞれの兵装を向けたのがセンター外の監視カメラの映像で確認できる。
『所属不明の敵性勢力に告ぐ! 今すぐ武装を解除し、投降しろ!』
スピーカーから発せられるその声に、匠海は多分無理だな、と悟った。
そもそも、あの未知のロボットは「Nileロボットアーツコンテスト」に参戦したどのロボットよりも精巧、正確に動き、武器も自由に使っていた。
健に以前見せられた侵略者系ロボットアニメの一話を思い出す。
このような状況で、主人公勢力の戦車の類は大抵敵勢力に一掃される。
駄目だ、勝てるわけがない、と匠海が思っていると、三機のロボットのうち二機は会場の壁を撃ち抜き、外に飛び出した。
そのままNile軍に襲いかかり、圧倒的な機動力で装甲車と戦車を破壊してしまう。
通常の車を相手にするのとはわけが違う。いくら装甲が薄い部分があるとは言えども圧倒的な装甲を持つ軍用車両を、二機のロボットが装備したショットガンは容易く撃ち抜いた。
異世界からの来訪者とはいえ、一体どのような技術が使われているのか。
この技術があれば
技術を入手するにしてもまずはこれらのロボットを無力化しなければいけないだろう。しかしNile軍があっさりと打ち破られた時点で自分達に対抗する力など、ない。
突如始まり、あっという間に味方が殲滅されたという事実に恐慌状態に陥る観客たち。
我こそはと会場から逃げ出そうとする観客たちで会場はパニック状態となる。
さらに〝裂け目〟からは戦車の履帯部分が四つ足になったような人間サイズの四足歩行ロボットが次々と飛び出してくる。
「まずい!」
四足歩行のロボットの目とも言えるカメラと目が合った気がした。
銃身が匠海に向けられ、無数の銃弾が放たれる。
「まずい!」
咄嗟に匠海が横に跳ぶ。一瞬前まで匠海が立っていた場所を銃弾が穿つ。
他の四足歩行ロボットも逃げ惑う観客に向けて機関銃を連射し、人々が次々に倒れていく。
これはまずい、と思いながらも銃弾を避けて遮蔽物を探す匠海。
まさか二年前のあのテロでの経験がこんなところで役立つとは思わなかった。
少なくとも、あの時の経験が今回の匠海を生存に導いているのは事実だろう。
とはいえ、多数の四足歩行ロボットを前にいつまでも逃げ切れるわけがない。
見つけた遮蔽物の横から、別の四足歩行ロボットが匠海を狙う。
「っそ!」
万事休す。遮蔽物が邪魔となってこのロボットの攻撃は避けられない。
だが、その匠海の前に躍り出た人影があった。
「異世界からのロボット大侵攻? やりすぎでしょ。プロットは誰、アモルさん?」
空が匠海の前に立ちはだかり、〝裂け目〟を展開して攻撃を防ぐ。
「さぁ、ここからどうするか……。こういう時は……」
空が何かボードのようなものを〝裂け目〟から取り出す。
「次回の空ちゃんに、任せる!」
そこには「To Be continued…」と書かれていた。
To Be Continued…
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