Angel Dust 第17章

 

 曇り空の下。ボロボロにひび割れた道路の上をボロボロの姿で私が歩いている。
 雲間に切れ目が生まれ、私の元に光が差し込む。
《汝、何を望む》
 頭に響いてくる声。"私"はそれをデウスエクスマキナの声が聞こえる時みたいだ、と思った。
「望み……?」
 私が"私"の意思とは関係なく口を開く。男の声。どうやら、"私"は"私"ではない人間の視点を見ているらしい。
「望みなんて、僕はただ……」
《汝の願いが、我が力になる。願いを、言うのだ》
 私の逡巡を知って知らずか、声は続ける。
「望みなんて、僕はただイオルに帰りたいだけだ」
 私は心からの願いを告げる。"私"はこの光景と言葉には覚えがあるな、と思い出す。確か、大統領が殺された直後、メジヂと武器をぶつけ合ったときに、一瞬見えた光景だ。
《その願いは叶えられない。それは汝の大きすぎる宿命に縛られているが故に》
 それを聞き、私はやはりそうなのか、と落ち込む。しかし、すぐに顔を上げて言う。
「それが叶わないなら――」

 

◆ Second Person Out ◆

 

『フレイ、起きて、もうすぐ到着よ』
 ヘリコプターの中、メイヴさんに揺すられて目を覚ます。またあそこでストップか。
 結局あの男の人は何を願ったんだろう。そしてどうなったんだろう。
『見えてきたわ、見て』
 メイヴさんが指差す方向に視線を向ける。
『あれ、ケープカナベラルと同じ、打ち上げ施設?』
『えぇ。1957年にルシフェルが襲来して以降、ずっと沈黙を守り続けていたロシアの打ち上げ施設。カザフスタン共和国のチュタラムにあるバイコヌール宇宙基地よ』
『あのシートのかぶってるロケットは?』
『スプートニク1号って言うらしいわ。奇しくも1957年10月4日、ルシフェル襲来のその日に打ち上げられるはずだった。宇宙空間に人工衛星を投入するには十分な性能を持ってるわ』
 ま、厳密にはそれを再現したものだけど、とメイヴさんは続ける。
 奇しくも? 違う。
 あれを恐れてルシフェル達は侵攻を始めたんだ。自分達の救世主を殺した新たな人類がついに宇宙に進出してくる。それを恐れた。
『じゃあ、あれを打ち上げるんですね?』
『えぇ。まぁ、ボロボロだから回収に時間がかかったけどね』
「メイヴさん、ルシフェル反応です。こちらに接近中」
 ヘリコプターの無線から安曇さんの声が聞こえる。
『なんですって? こんな時に……』
『私が行きます』
 ヘリコプターのスライドドアを開ける。
『ちょっ』
 飛び降りる。
「来て! ヴァーミリオン!」
 虹の橋が私の元に伸びてくる。
 ビヴロスト。地上とアースガルドを結ぶぐらつく道。
 ヴァーミリオンの持つ武装の一つであり、自身を情報存在へと変換した後に、任意の地点に情報実体化する、正真正銘の瞬間転移。
 私の周囲を纏うように、ヴァーミリオンが情報実体化する。
「いくよ、ヴァーミリオン!」
《うむ。久方振りの戦闘じゃのう》
 ヴァーミリオンの視界を借りている"私"が地面に着地する。その衝撃で雪と土が空中に舞い上がる。
「《災厄の杖》レーヴァテイン」
 手元に赤い剣が出現する。剣の持つ熱量で雪が溶けて、土だけが地面に戻っていく。
 "私"の視界に白い球体の生物が映る。
「なにあれ!?」
《ルシフェルのようじゃの》
「フレイさん、それは小型ルシフェルです。昔、日本の『鋼』ユニットがルシフェルと戦闘した際、ルシフェルは『鋼』ユニットに対抗するために同サイズのルシフェルを無数に放つ方式を取ったそうです」
《偵察に応用ってところかの》
「って事は、所詮デウスエクスマキナの敵じゃないね」
《うむ、ウォーミングアップじゃの》
 三体の小型ルシフェルが空中をホバリングしながら、光弾を放ってくる。
 切り払う必要すらない!
 全ての光弾が体にヒットするが、それは全くと言っていいほどダメージにならない。
 レーヴァテインで切り裂く。
「ルシフェル反応、さらに増加!」
 さらに五体の小型ルシフェルが現れる。
「なら、手数を増やす。《権力の象徴》グラム」
 左手にもう一本の剣が出現する。
「さらにルシフェル反応!」
 さらに……十体!?
「なんなの!?」
「おそらくですが、神性エネルギーを感知して接近する仕組みなのではないでしょうか?」
 なるほど、これまでは私の微弱な神性エネルギーを感知していて、私がヴァーミリオンを呼んだことで、私のところにみんなが列をなしてやってきた、と。
『え、それって、私がここに引き寄せちゃったって事?』
『心配しないで、フレイ。この反応は予期していたことよ。最近の奴らはずっとあれを使って周辺を偵察してた。遅かれ早かれバレてたわ。まして打ち上げを行うならなおさら、ね。フレイも戻ってきて、そいつの対処は神性を使わない人に任せるわ』
『神性を使わない人?』
『今そっちに行ったわ」
 直後、白い斬撃が目の前の小型ルシフェルを襲う。
 それを放った本人が飛来する。人間が、飛んでる? 背中に小さな戦闘機みたいなものを背負ってるように見える。
『日本の討魔師よ。いつかルシフェルに復讐するために自衛隊から盗んだ『鋼』をずっと練習していたらしいわ』
 あれが、『鋼』。それにしても、なんだか若いような? いや、若さにかけては私の初陣も人のことは言えないのだが。
 直後、ヨグソトス回廊に入り、”私”の視界はどこかの地下格納庫に移った。

 

『お疲れ様です。メイヴさんが第一ミーティングルームでお待ちしてるとのことです』
 ヴァーミリオンを降りると整備士らしき人が教えてくれる。イシャンの訛りと似てる、インド人?
『ありがとう』
 とお礼を言って階段をのぼる。丁寧な案内板のおかげで場所はすぐに分かった。
『メイヴさん』
『早速の出撃お疲れ様、フレイ』
『いえ。それで、ここは? インドの人らしき人が多い気がしましたけど』
『えぇ。ここは今やインド領よ。私達がロケット打ち上げ手段を持つことを理由に新生アメリカと手を組んだことをイシャンの父ラーヒズヤに伝えて、その後、こっそりとアメリカのスパイが掴んでたここの情報をラーヒズヤに流しておいたら、裏で見事確保しておいてくれたってわけ』
『あぁ。「ヴィシュヌはヴォーロスを頼った」ってそういうことか』
 ヴィシュヌはインドの神、ヴォーロスはロシアとかスラブ系の神だ。インドの勢力がロシアの方に興味を向けた、って意味だったのか。
『あぁ。えてたの。えぇ、そういうことよ』
 しかしつまりメイヴさんはラーヒズヤを完全に自身の思い通りに操ったわけだ。あの時メイブさんは、権力者というものにいろいろなことを言っていたが、メイヴさんも彼らに劣らない才覚があるようだ。
 メイヴさんにその気はないのだろうけど、彼らなんかよりメイヴさんこそが国を治めるべきではないだろうか。なんならクラン・カラティンの戦力で旗揚げすれば誰もその独立を犯すことは出来なさそうだけど。
『30分後に最後の会議をするわ。月の落下を止めて、戦いを終わらせましょう』


 ただ待っているのも暇なので、通路をウロウロしていると、メドラウドさんとグラーニアさんと話しているイシャンを見かけた。
『珍しい組み合わせだね』
 なにせ、イギリスといえば、イシャンからすると、自国をずっと占拠し続けてきた敵国のはずだ。
『おう、フレイも来たんだな、お疲れ』
『フレイさん、お疲れさまです』
『フレイ、よく来ましたね。あれから新しい武器の使い方など思いつきましたか?』
 一番、私の登場に喜んだのはグラーニアさんだ。まぁ私が神話の勉強を初めて以降、神話好きとして、一番喜んでいたのはグラーニアさんだったしな。
『一つだけ、案があります。メジヂと戦うときに使ってみようかと』
 まぁ、それだけでは決め手にならないだろうけど。あともう一つの手は……どうしようかな……。
『で、三人は何を? 珍しい組み合わせだけど』
『あぁ、主に俺のことだよな、イギリスって国について聞いてたんだ。イギリスって国は民主主義で、インドみたいな階級制度カーストがなくていい国だって、イギリスに留学してた兄貴から聞いてたからな』
『そういえば、イシャンは階級制に反対の立場なんだよね。それもお兄さんの影響?』
『まぁ……本当の影響元はまた別にいるんだけどな』
 端切れが悪く呟くイシャンに首を傾げると、
『彼は昔、城の中は退屈とばかりに、城を飛び出した事があったらしい。そこで、庶民と一緒に遊ぶようになり、庶民の生活を知ったらしい』
 メドラウドが教えてくれる。
『あぁ。だが、結局アニクに最後はバレちまってな。二度と来るな、とまで言われたよ』
 アニクというのが庶民の友人の名前か。私の家もソ連の中では豊かな方ではなかったから、なんとなくイメージはできる。私と同じ立場を装っていた友人が、ある日実は自分よりも裕福な生活をした恵まれた人間だったら? 裏切られた、とか、実は内心で見下してたのか、とか、考えてしまうだろう。
 あるいはイシャンの方だってもう庶民のことを嫌になってもおかしくない。けど、イシャンはそうではなく、今もアニクと立場的に並べる社会を実現しようと考え、信じてるわけだ。
『かっこいいですよね、まるでゴータマの四門出遊みたいです』
『まぁあの話はむしろ親が外を見てこいって言ったらしいけどな』
 グラーニアさんは嬉しそうだ。神話の体現、みたいな話が好きだから、気持ちはわかる。
 四門出遊というのは、仏教の開祖であるゴータマ・シッダールタ、所謂お釈迦様が出家したきっかけとなる出来事とされているエピソードだ。
 城の東西南北の門からでかけて遊びに行くと、それぞれの門から見えたのは、4つの苦しみ、「四苦」だった。というようなものだ。そして、ゴータマはそんな世界からの救済のため、とか、衆生を救うためとか、色々言われているが、まぁともかく、出家を決意することとなる。
 インドの王子様がお城を出てショックな現実を知るって言う点では同じだね。
『ただ、イギリスは密かな俺の中の目標でありながら、同時に憎き占領国でもあったから、実際にはその実態をよくは知らなくてな。ほら、ケープカナベラル防衛戦の直前にユピテルのおっさんが言ってた話があったろ? あれを聞いて、ちゃんと向き合わないとな、と思ったんだ』
『なるほどね。それでどうだったの。あこがれの国の実態は』
 イシャンも前に進もうとしているんだな、と感心する。
『結論から言うと、イギリスも完全に階級社会から脱した社会とは言いにくいようだった。イギリスにも貴族や王室などの上流階級、実業家や専門家などの中流階級、そしてそれ以下の労働階級の概ね3つの階級に別れてるらしい。まぁヴァルナと違って固定されているわけではないから、すごく頑張れば上の階級に行ける可能性もある。例えば、そこのグラーニアがそうらしい』
『えぇ。私は労働者階級ワーキングクラスの生まれでしたが、中層中流階級ミドルミドルクラスに分類される仕事についています』
『簡単に言いますが、これは大変難しいことです。生まれがいい人ほどたくさんのお金を持っていますから、たくさんの教育を受けられます。すると必然的にたくさん教育を受けているから就けるいい仕事につけるわけです。そうではない家の出でいい仕事につくというのは、とんでもない努力の賜物ですよ。本人はもちろん、そのためにたくさんのお金をためて使ったであろう両親もね。まして彼女はアイルランド人ですから娘をイングランドに送るために両親はとても苦労したのだと思います』
『アイルランドって、えーっとイギリスのグレートブリテン島じゃないほうだっけ?』
『あぁ。イギリスだとアイルランド人の方が地位が低いと見られてるらしい。エリートはだいたいイングランドにいるらしい』
『そうですね。アイルランド人で有名になった人間はもちろんそれなりにいますが、その多くがイングランドで学んでいます。ちなみに、グレートブリテン島の中も、イングランドの他に、ウェールズとスコットランドがあって、やはりイングランドとは多少なりとも区別されている傾向にありますね。私の所属していたリチャード騎士団も少しずつイングランド人以外の騎士も増え始めていましたし、本当なら今頃はリチャード騎士団の中で派閥争いのような事態になっていたかもしれませんね』
 どの国もいろんな問題があるものなんだな。
 全てが終わったら私はどこに住もうか、考えておいたほうが良いかも。

 

 そして、会議が始まる。
『まずは新しく私達に協力してくれるメンバーを紹介するわ。フレイやイシャンのように、今日初めてここに来た人もいるからね』
 なるほど、イシャンもヴィシュヌに近づいているらしいから、私のように神性を発してしまうというわけか。
『あぁ、頼むぜ、レディ』
 イシャンが居心地悪そうに応じる。イシャンは父であるラーヒズヤの事を好ましく思っていないはずだから、内心複雑なのだろう。
『まずはイギリスから、英国の魔女のソフィアさん』
『初めまして、イギリスを裏で守護する魔女。英国の魔女、ソフィアです。これまではイギリスをルシフェルから守るための結界展開に全力を注いで参りましたが、地球規模の危機ということで、こちらに馳せ参じる運びとなりました』
『ソフィアさんにはイギリスからの支援の仲介と、実際の戦闘では複座式に換装したラファエル に乗ってもらうわ』
『そうするとどうなるんですか?』
『元々ラファエル は英国の魔女たちが整備してきたものなの』
『要は後ろの席でずっとラファエル を最適化し続けるわけですね』
『最適化……?』
『あー、ラファエルは実は人工的に作られたデウスエクスマキナなの。マラカイトもそうなんだけどね』
 やっぱりそうだったのか。
『ラファエルとマラカイトって白く光るパーツがついてるでしょう? あれは放熱……熱じゃないから放神性エネルギー用の板なの』
『放熱……? わざわざ神性エネルギーを捨ててるってこと?』
『そう。というのもコアの生み出す神性エネルギーの総量は同じでも、デウスエクスマキナを構成する神性記憶合金の量が違う。だから、許容量が違いすぎるの。だから溢れ出る神性エネルギーをあそこであえて浪費することでバランスをとっているの』
 なるほど。だから威力が大きい技を出すときにはあの光が弱くなるのか。
『つまり、そのソフィアさん? は、神性エネルギーをただエウスエクスマキナの中で循環させるだけじゃなくて、効率よくエネルギーを無駄なく分配出来る?』
『簡単にいうとそういうことね。他に質問はない?』
 メイヴさんが周囲を見渡す。誰も何も言わない。
『ありがとう。ではソフィアさんはメドラウドの隣に座ってね』
『はい。失礼致します』
 ソフィアさんがメドラウドさんとグラーニアさんがの間に座る。
『メドラウドさんの足を引っ張らないでくださいよね』
 とか、やけにグラーニアさんがソフィアさんに突っかかっている。
『はい、そこ静かに。それじゃあ次を紹介するわね。ここの責任者ということになっている、インド、スヴァスラジュのラオさん』
『初めまして、スヴァスラジュの王、ラーヒズヤの侍従長をしております、ラオと申します。この基地とバイコヌール宇宙基地はスヴァスラジュの所有物ですので、これらに何かがある場合は必ず私を通すようにと仰せ使っています』
『要は親父との連絡役か。一番の忠義者をあえてそばから離してここに置くとは、俺たちも信用されてないってことか。防衛の要である英国の魔女を派遣してくれたイギリスを見習うべきだぜ』
 イシャンがインドの言葉で何かを言ったが、誰もそれに反応はしなかった。イントネーションや態度から嫌味の類だと思うが、ラオさんは鉄壁の笑顔を崩さなかった。
『はいはい。時間がもったいないから次を紹介するわよ。日本のなださん』
『あぁ。日本で討魔師をしてる如月きさらぎ なだだ。そしてこっちが』
『初めまして、月夜つきや 衛志郎えいしろうと申します。同じく日本で討魔師をしております』
 二人の日本人が挨拶する。
『待て待てお主ら、年はいくつじゃ、フレイの初陣より若く見えるぞ』
 ユピテルが口を挟む。私も同じ見解だ。
『私が15で、衛志郎が13だ。だがどちらも刀も『鋼』も使える。先ほども十分に小型ルシフェルを討滅した。歳は関係ないだろう』
『そうは言うが……』
 ユピテルさんは若い人間が前線に出ることが嫌なのだろう。ましてデウスエクスマキナにすら乗らないことが分かっている。
『二人は廃墟となった自衛隊の基地から『鋼』ユニットを回収して、独自に鍛錬を続けていたらしいわ。そしてついに独自にここを知ってやってきた。ユピテルの気持ちも分かるけど、彼らの覚悟を止める事は誰にもできないわ』
 それは……そうかもしれない。ここに押しかけるだけの覚悟だ。それを止めることなど、そう簡単ではないだろう。
『流石に彼らも下級ルシフェル以上の相手は無理。だから、基本的に偵察スカウトに徹してもらう。小型で機動力もある『鋼』にはうってつけの任務よ。今回の防衛任務は広範囲に展開した戦闘を行うことになる。必要でしょう?』
 ユピテルはううむ、確かに。と唸ったのち、黙ってしまった。
『ハードポイントにはスモークなどの支援装備を搭載しておく。もし必要そうな時にそばを飛んでたら呼んでくれれば即座にデリバリーさせてもらう』
 なるほど。そう言う細々とした小細工も、今回は求められるかもしれない。
『じゃ、基本的な紹介はこれで終わり。あとは新生アメリカや残存ロシア、その他アジア諸国なんかから支援の部隊なんかも到着してるけど、流石に兵士一人一人を紹介はできないから、一応資料にリストアップしておいたわ』
 確かに。覚えのある名前は一つもないが、みんなこの戦いに関わる大切な命だ。
『ならいよいよ作戦だな? どうする?』
『まず大前提として、パツァーンが操るデウスエクスマキナ・ヴァイスの相手はフレイにしか出来ないわ。イシャンがやったみたいな無理をすれば私達でも対処可能かもしれないけど、それよりは私達はフレイが万全にヴァイスと戦えるようにして頂戴。それを前提に、図のような円形の防衛陣を敷くわ。各自、ゾーンディフェンスで進行を防いで頂戴』
 あれ、図に私がいない?
『フレイはひとまず遊撃隊として、暫時敵の多い場所に移動して。もちろん、ヴァイスが現れたらそこに急行。最低でも、これを足止めして。勝利条件はロケットを打ち上げて、あなたのグングニルで月を破壊すること。これはあなた以外の誰にも出来ない。なるだけ壊されないように、でもヴァイスの足止めだけは確実に。難しいけど、頑張って』
 なるほど、そう言うことか。
『はい。分かりました』
 私が頷くとメイヴも頷いて話を再開する。
『それから、今回の作戦は長期戦になる。基本的に遠距離武器は使わないで。原則近接武器で戦うこと。エンジェルオーラを無駄遣いしちゃダメよ』
『なるほど。それで俺の配置が若干内側なのか必要に応じて俺のパドマでフォローってわけだな?』
『そう言うこと。イシャンのパドマは遊撃向きだから、敵の動き次第では、配置をこのように変更して、パパラチアにはもっと本格的に遊撃に回ってもらうかもしれないわ。逆にピンチの場合も、パパラチアはここまで下がって、ロケットと打ち上げ設備が破壊されないように守って』
『任せとけ。俺と相棒で守り切って見せる』
 イシャンはやる気十分なようだ。
『確認事項は以上ね。長期戦になるし作戦展開地域はこれまで似ない広さだけど、やる事はシンプル。ロケット打ち上げを成功させる。これだけよ』
『おっと、待ってくれレディ、確認したいことがある』
『何?』
『俺たちに協力してくれてるルシフェル達のことだ。情報通りなら奴らは月のコアが破壊されればそもそもの基盤が失われて死んじまうんだろ? せっかく協力してくれたのに、どうしよもないから死んでくれ、って言うのか?』
『イシャン……』
 イシャンは殲滅派だったはずなのに。趣旨変えだろうか。
『結論から言えばそうなるわ。フレイと一部のルシフェル達でコアに寄らない生存方法も色々と検討はしたけど、とても時間が足りない。月が落ちれば、全人類が死に絶える。もはや動力源たる月を破壊して私たちだけでも生き残るしかないのよ』
 メイヴさんが事実を伝える。
 残酷だが、事実だ。彼らのリーダーであるドルムの言葉を思い出す。
「元より我らは故すら知らぬモノの慈悲によって生きながらえた古き人類。全ての人類が滅ぶと言う時、どちらが残るべきかと言われれば、間違いなく新しき人類だろう。汝らに祝福を。そして全滅か自らの生存かを問う邪悪なるメジヂに呪いあれ」
 食い下がるイシャンに私はその言葉を伝えた。
 しばらく黙った末に、イシャンは口を開いた。
『そうか。ならオレ達だけでも生き延びないとな。旧人類と言う存在がいたことを忘れさせないために』
 その言葉に何人かが頷いた。頷かなかった人も、同意はしたと信じている。
 誰もそれで納得はしていないだろう。ただ、これは古くからずっと起きてきたこと。私達は旧人類を蹴落としてこの世界を生き続ける。ある意味では最初の人類とルシフェルの生存闘争というシンプルな形に戻ってきたと言える。
「ルシフェルの降下反応多数! 敵の襲撃です」
『行きましょう。クラン・カラティン、最後の出撃よ!』
 全員が高い士気を持って立ち上がる。何にせよ苦しかった長い戦いがこれで終わるのだ。
 皮肉な話だが、メジヂの月落としは旧人類との和解という可能性によって月破壊に二の足を踏んでいた新人類を月破壊という一択に結束させる結果となったと言える。

 

 ――本当に、皮肉な話なのか?
 私の心に一抹の疑念を残し、戦いが始まる。

 

 基地中央で待機しながら無線に集中する。
 ふと空を見上げると、かなり近づいてきているのだろう。大きな月が私の視線を迎える。
「紫水晶、交戦開始」
 お、ユピテルさんだ。そういえばついぞ一緒に戦うことがなかったな。普段、どんな風に戦ってるんだろう。

 

■ Second Person (Yupiteru) start ■

 

「ついに長い戦いもここで終わり、か」
 いやはや、本当に長い戦いだった。
「さて、覚悟を決めなくてはな」
 操縦桿を握り直し、覚悟を決める。
 近く敵に対し、ケラウノスを横薙ぎに払って牽制する。
 もはや思い残すことはない。この地を死守するためなら、命すら惜しむまい。
「美琴嬢ちゃんには先走られたからの、命を投げ出すのは、ワシのような老体の仕事じゃ」
 上空からこちらを狙う有翼型ルシフェルにケラウノスを向けて放電させる。
 紫水晶の武器はケラウノスしか登録されていない。フレイ嬢ちゃんが乗ったらどうだかは知らないが、少なくともワシに扱えるのはケラウノスのみ。
 しかし、何一つ恐る理由はない。
 何せ、ケラウノスはその元ネタたる万能の大神と同じように、万能の武器なのだから。
 単純な打撃と刺突、そして切断の全てが出来、遠くへの放電、周囲一帯への落雷、あるいは、ルシフェル相手にはあまり効果がないが、広範囲への電磁波攻撃。
 正直、兵器としてこれほどまで使い勝手のいいものはない。
「あの頃これがあったらの」
 思い出すのは、第二次大戦のロンドン、その空爆の日々。あそこに戻ってケラウノスで電磁波を放つ。たったそれだけで多くの悲劇から人々が救われるだろう。
「おぉ、これは……」
 ワシの眼前に広がるのはまさに空爆が始まろうとするロンドンだった。
 ちょうど自分のいる位置の背後から、爆撃機どもはやってきた。あぁ、覚えておる、覚えておるとも。
 ワシは速やかに回れ右して180度その場で回転。ケラウノスを構える。
 ケラウノスの電圧を高める。超強力な指向性電磁波で、全て撃墜してくれる。

 

◆ Second Person (Yupiteru) Out ◆

 

 いや、おかしい。途中でおかしなことになった。
 幻覚? だとしたら……。
 ユピテルに限らないが、防衛部隊は皆、打ち上げ場を背に戦っている。そこから、背後にいる爆撃機部隊を叩こうとすればどうなるか。
『イシャン! パドマを紫水晶に飛ばして、今すぐ!』
『お、おう!』
 私の必死の叫びにイシャンが事情を聞くより早く、パドマを飛ばす。
『もし紫水晶が基地に向けてケラウノスを構えてたら、直ちに突き飛ばしてバランスを崩して、電磁波が来る』
 そうなればロケット打ち上げは失敗だ。
 嫌な予感がする。他のみんなの様子も見たほうが良さそうだ。北のユピテルさんはもう見たから、西の三人を見に行こう。

 

■ Second Person (Gráinne) start ■

 

「このっ、なんのつもりですか。そもそも、あなたは労働者階級ワーキングクラスのアイルランド人の分際で、軽々しくメドラウド様に近づきすぎです」
「このっ、あなたこそ、生まれがイングランドだからと調子に乗って。魔女っていうくらいだからどうせおおもとの生まれは……!」
 自分でもなぜこんなことをしているのか分からない。
 ただ、ラファエルの後席に座っている女が憎くて仕方がない。
「きれいにコックピットの後ろだけを穿いてやる!」
「落ち着くんだふたりとも! ルシフェルが迫ってるぞ」
 メドラウドさんが叫ぶ。たしかにその通りだ。その通りなのだけど。
「けれど! その女が憎い!」

 

◆ Second Person (Gráinne) Out ◆

 

 やばいやばい。あの二人を一緒に配置したのはやばすぎるよ。あんなに仲悪いのになんで一緒にしちゃったんだ。配置を変えるように進言しなきゃ。
 でもあとの二人はどうだろう?

 

 確認したが普通だ。その代わり上級ルシフェルが結構な数向かってる。
 なるほど、多人数相手が得意なメンツを精神攻撃ができる上級、もしくは超級ルシフェルで動きを封じ、一体多数が得意ではないメンツに集団で攻める、という作戦か。
『イシャン、グラーニアさんとメドラウドさんのチームもやばい、なんか仲違いさせられてる!』
『なんだと? くそ、こっちはパドマだけじゃ止めきれないから、今、ユピテルのところに急行中だ』
『安曇さん、私が西を担当するから、グラーニアさんとメドラウドさんはそれぞれ東と南に支援に行かせて』
 通信がつながらない。おそらくは敵、メジヂの妨害工作か。くそっ、徹底してるな。
「偉大なる翼、《メギンギョルズ》!」
 結晶の翼を展開し、飛翔する。目標は西。
 見えた、紫の巨人と黄色の巨人だ。
「災厄の杖、《レーヴァテイン》!」
 二体の巨人の間に降り立ち、周囲のルシフェルを撃破する。
「よし。あとは二人をビヴロストで飛ばせば!」
《いかん、フレイ。適性の無い人間は情報変換に耐えられん》

 

■ Third Person Start ■

 

「マザデ、統計が出ました」
 ヂヨユがマザデにレポート用紙を見せる。
「ふむ。情報適性障害を持つ者がこんなにいるとはな」
「はい。このままでは擬似神性計画自体が立ち行かなくなるのでは?」
 情報適性とは、この社会に普遍的に存在する技術である情報操作を行えるかどうかの適性を持つかどうかを意味する。
 情報操作というのはこの世界と重なるように存在し、この世界を形作っている情報空間を直接制御する技能のことを言う。

 

 "私"は情報空間のことを、プラトンが提唱するイデア界のようなものだと認識した。
 つまりこの世界には情報空間イデア実体空間エイドスの二つのレイヤーがあり、私たちが日頃目にしているのは、真実たる情報空間イデアの影法師である実体空間エイドスなのだ。
 そこで、旧人類達は直接、情報空間イデアを制御する術を得た。
 これはつまり、何も無いはずの場所の情報空間イデアに剣の情報を入力する事で、実体空間エイドスに剣を出現させる。と言うような事。つまり、デウスエクスマキナやルシフェルが武器を出現させるのは全て情報操作によるものだ、と言う事になる。

 

 そして、情報適性を持たないものが情報操作を続けると、やがて自身に流れ込む情報量に体が許容量を超え、肉体が破裂してしまう。

 

 "私"はつまり、これこそがフォールダウンの正体だ、と考察している。

 

「……適者生存、と言う言葉があるな、ヂヨユ」
「? はい。そうですね」
 適した者が生き残る。それによりあらゆる存在は進化してきた、と言う考え方だ。
「我々にはもはや擬似神性計画以外に頼る術はない、それは分かるな、ヂヨユ」
「! まさか、マザデ。情報適性障害を持つ人類を見捨てる気ですか?」
「早まるな。擬似神性計画を進める傍ら、彼らを助ける術ももちろん探す。だが、擬似神性計画で救える命があるのに、それをしない理由はない、そのはずだろう?」
「……はい。そうですね」
 それは結局、多数派を生かせる方法を優先すると言うことなのだが、しかし、ヂヨユはそれを否定出来なかった。
 残された時間は有限だ。目の前に存在する救いの道を少数派のために閉ざす判断もまた、彼らには出来なかったのだ。
 もちろん、"私"は既に知っているように、擬似神性計画はこのあと、絶対数の不足という暗礁に乗り上げるのだが。

 

◆ Third Person Out ◆

 

「なるほど。情報適性がないと、自分の体を情報化出来ないのね」
 なら、ビヴロストはダメか。
 そういう点ではヨグソトス回廊は優れてるんだな。あれは文字通り世界中に張り巡らされた通路を進む方式だから。若干のタイムラグはあっても誰でも利用できる。
 とりあえず比較的話のできるメドラウドさんを借り受けよう。グラーニアさんは暴れそうだから飛ぶのは大変そうだ。
 メギンギョルズの翼をはためかせ、ラファエルを掴んで飛び上がる。
『フレイまで、メドラウドさんを狙うつもりですか!』
 え、これ、そういう話になるの。
『ご、ごめん、そういうわけじゃないけど、借りるよ!』
 まっすぐ東に飛ぶとロケット打ち上げ場を破壊してでもついてきそうだ。南へ飛ぶしかない。

 

 南ではメイヴさんが、地面に突き立てた何本もの武器を使い戦闘している。
 確か、玉鋼を刃の部分に追加した新型って言ってたっけ。みた感じ、いい感じにやれてるように見える。
『メイヴさん、グラーニアさんの足止めも頼みます』
『へ?』
 メイヴさんに頼みながら、そのまま東へ。

 

 しばらく飛ぶともう一機の黄色い巨人が見えてくる。
『二人とも、増援を連れてきたよ!』
 ラファエルを投下する。
『ありがとう、フレイ。助かった』
『フレイさん、グラーニアの事、頼みます』
 スジャータとメドラウドからお礼を貰い、今度は南へ引き返す。
 その傍ら、イシャンの様子を確認する。

 

■ Second Person Start (Ishaan) ■

 

 そこは、インドだった。
 1950年のインド。インド憲法の17条はカーストによる差別を禁じた。
 俺がずっと望んでいた差別の廃止、それが出来たはずだった。

 

 だが、スヴァスラジュの王座に座るのはいまだにラービズヤで、アニク達の住む街並みの様子が改善されることはなく、未だに貧富の差は決して埋まらない。
 の俺なら分かる。メドラウドが言っていた通りだ。結局、権利だけ平等になっても、労働者階級シュードラの得られる収入では、商人階級ヴァイシャ支配者階級クシャトリアのような生活など出来るはずがない。

 

それをするには、法律の条文でただ定めるのではなく、支配する王マハーラジャが変わらねばならないのだ。人々の生活が変わるように、働きかけねばならないのだ。
 それなのに、我らのスヴァスラジュの王は! 俺の親父は!

 

 まずい、と"私"は思った、イシャンは前にあった時よりさらにパパラチアとの絆が強まり、私のような直接操作する可能な域に至っていたらしい。
 そして、それが仇となっている。
 つまり、イシャンが今殴りかかろうとしているその自身の体はパパラチアであり、その相手はラーヒズヤなどではなく、紫水晶だ。

 

◆ Second Person Out (Ishaan) ◆

 

 今から止めるのは間に合わない。そもそも、グラーニアの事もある。
『偵察組の近い方! 北西の方角を探して! みた事ないタイプのルシフェルがいるはず!』
『了解だ』
 灘さんの声だ。
 よし、私はパパラチアと紫水晶を止める。
『メイヴさん、ごめんなさい、私が元凶を止めるまで』
『任せなさい、厳しいけど、頑張るわ』
「Atlachu-Nacha」
 蜘蛛の糸が張り巡らされ、ヴァイオレットが動きを止める。
『安曇さん!?』
『安曇!?』
「いや、どうも。本部からここまでの魔術通信が妨害されているようですから、直接来ましたよ」
『いや、あなた、本部の魔術供給がないと!』
「どうせあったって、戦えなければ意味がないですからね。それに、最後のお祭り、はしゃがずしてどうしましょう?」
『そうよね、あんたはそういうやつよね』
「とはいえ、私はグラーニアさんを抑えるので手一杯です。フレイさんは後のお二人をお願いします」
『了解』

 

 メギンギョルズを全開にしてパパラチアと紫水晶の間に割り込む。
『なんだ、止めてくれるな、ラオ!』
『新しいナチ公か! お前も死ぬが良い!』
 戦友二人から敵扱い、泣けるな。
 紫水晶がその雷、ケラウノスを揺らす。放電が来るか。
 パパラチアを突き飛ばす形で、距離を取る。
『邪魔するな、ラオ! こいつは! 本当はどうすれば本当の平等か実現できるかわかっていて!』
 パドマが足にくっつき、移動を封じられる。まずい、ケラウノスを避けられない。
「がぁぁぁぁっ、くっ」
 強力な電流が"私"と私の体を駆け抜ける。きっついな、これは。
「だから、武器は封じさせてもらうよ!」
 手元にレーヴァテインを出現させ、ケラウノスと鍔迫り合う。
 本当はゲイ・ジャルグがあればいいんだろうけど。あれなら、ケラウノスの雷も無効化できる。

 

■ Third Person Start ■

 

「うむ。この擬似神性には神格は入っていないが、擬似神核が7つ搭載されている」
「つまり、ほかの擬似神性の神格の許可を取れれば」
「あぁ、7つの神格を搭載した、単純計算で通常の7倍の出力を持った擬似神性となる」

 

◆ Third Person Out ◆

 

 なんだ、今の記憶。マザデとヂヨユだったとは思うけど。
《フレイ、後ろからパパラチアの攻撃が来るぞ》
 うそ、パドマで殴るつもりなの!? イシャン、それは流石に親父さん死んじゃうよ。
 止む無く、メギンギョルズで受け止める。
『いいお知らせだ。おそらく対象を見つけたぞ。でっかい貝だ。おそらく蜃って奴だな』
『そのまま観測してて、狙い撃つから』
 メギンギョルズを展開し、二体を吹き飛ばす。
「拘束の魔銃、《グレイプニル》」
 両手にグレイプニルを装備して左右二人を地面に縫い留める。
 そして飛び上がる。
「神の一筋、《グングニル》!」
 第三視点からの攻撃、これはある意味予行演習だね。

 

■ Second Person Start (Nada) ■

 

 "私"は灘の視界を借りてそれを見た。
 マジでデッカイ二枚貝だった。
 "私"はグングニルを放つ。

 

 空に白い筋が見えたと思うと、その白い筋はまっすぐ落下してきて、貝の殻に正面から激突。
 しばらくの拮抗の末、弾かれた。
『弾着したが、弾かれたぞ』

 

◆ Second Person Out (Nada) ◆

 

『うん、見えてた。これはまいったな。今からそっちに急行して、こじ開けるよ』
『いや、それには及ばん。俺がなんとかするから、待機してろ』

 

■ Second Person Start (Nada) ■

 

 さて、一仕事やりますか。
 刀、如月一ツ太刀きさらぎひとつのたちを構えて、一気に接近する。
 見たところこいつは、時たま、殻を開けて白い塊を吐き出す。
 蜃って怪物は、気を吐き出して楼閣を作り出す、って事で要は蜃気楼を作ると言われてる存在だ。
 おそらくこの白いのが仲間を惑わせているんだろう。

 

よし、また殻を開けた。今がチャンスだ。
 エンジン全開。背中のゼネラル・エレクトリック J47J47-GE-27のエンジン音が一際高く音を立てて加速する。
 殻の開く幅は小さい。おそらくあの巨人の手は入らないだろう。だが、人間サイズの俺なら、入れる。

 

内部の中心にコアらしきものが見える。だが、俺に壊せるか分からん、壊すのはもっと確実なものだ。
 蜃はハマグリの別名で、蜃って怪物も当然ハマグリだ。
 ハマグリは二本の貝柱で殻を閉じている。つまり、それさえ切断してやれば、OKってわけだ。
 ルシフェルは神性なしでは普通切れない。だが、この如月一ツ太刀は例外だ。
 この刀はかつて邪神である八岐大蛇の子供に当たる神性を切ったという刀の写しであり、神殺しの伝承効果を持つ。ゆえに、ルシフェルに対しても有効打を与えられる。
「せやっ!」
 叫ぶと同時に刀を一閃。
 貝柱が失われ、殻を大きく開く。
 エンジンを吹かして、いっきに飛び上がり、距離を取りつつ、無線機に叫ぶ。
『今だ、頼む!』

 

"私"は貝柱の破壊を確認すると同時にもうグングニルを放っていた。
 グングニルがコアを貫通し、破壊した。

 

◆ Second Person Out (Nada) ◆

 

『わ、わしは何を……』
『ここは、そうだった。インドな訳ないよな……』
 いや、インド領ではあるんだけどね。

『こっちもグラーニアが大人しくなったわ』
「そして、向こうも策が破れたのを理解したからでしょうね、降りてきましたよ、最後の敵が」
 レーダー上に無数のルシフェル反応が表示される。そして一際強いルシフェル反応。
 否、それはルシフェルではなく、デウスエスクマキナ・ヴァイス。

 

To be Continued...

 


 

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