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Vanishing Point / ASTRAY #02

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ここまでのあらすじ(クリックタップで展開)

 「カタストロフ」の襲撃を逃れ、キャンピングカーでの移動を始めた三人はまず河内池辺で晃と合流、それぞれのメンテナンスを行うことにする。
 途中、河内池辺名物の餃子を食べる三人。その後、「カタストロフ」の襲撃を受けるものの撃退し、RVパーク池辺で一同は一泊することになる。

朝、辰弥は晃と話しながら朝食を作る。

全員で朝食を食べながら、辰弥は馬返東照宮へ行きたいと改めて口にする。

晃から生体銃を受け取り、三人は移動を開始する。

馬返に到着した三人は馬返東照宮までの道で食べ歩きを始める。

食べ歩きをしながら歩く三人だが、鏡介は日翔に辰弥が無理をしている、と告げる。

馬返東照宮に到着した三人は三猿を眺める。

お参りを済ませた三人はおみくじを引く。辰弥が引いたのは東照宮でしか引けないという上吉だった。

東照宮からキャンピングカーへ戻る途中、三人は「カタストロフ」に狙われていた少女を助ける。だが、その少女は「ツェンテ」と名乗るLEBだった。

保護したツェンテをどうするか話し合う三人。殺せと言う鏡介とそれは駄目だという日翔にはさまれつつ、辰弥も連れていけないから、とツェンテを殺そうとする。

ツェンテを刺そうとした瞬間蘇る千歳の最期の瞬間。フラッシュバックを起こした辰弥は殺せないと判断、それを見た日翔も殺したくないのか、と判断する。

 

「へえ、この子がツェンテ! うわー、かわいいなぁ……」
 合流場所、かつ辰弥たちの宿となるオートキャンプ場で、晃が目を輝かせてツェンテを見た。
「白い髪に紅い目、顔つきとか私のどストライクだよ。所沢博士も粋なことしてくれるなぁ」
『主任!?!?
 すっかりツェンテにメロメロな晃の様子に、ノインが目を丸くする。
『主任、そいつやなやつ! 騙されないで!』
「第一世代、ってことはトランスはできないのかな?」
「はい、生成しかできませんし、私には物質の知識をあまり埋め込まれていないので大したものは作れません」
 質問によどみなく答えるツェンテに晃はそうかー、と笑った。
「いいよいいよ、LEBだからって何でも作れなきゃいけないことはない。まぁ、どうしてもと言うなら多少は資料見せるけど」
「晃、調子に乗らないで」
 新しい個体を目の当たりにしたことで興奮している晃に、辰弥が冷静に注意するがそれに耳を貸す晃ではない。
「ツェンテ、お腹空いてない? わたしもとんぼ返りしなきゃいけないからエルステの料理はお預けだけどエナジーバーは色々取り揃えてるから好きなの食べていいよ」
「ありがとうございます。永江さんのラボに行く間にいただきます」
『主任!!!! それははにーとらっぷだ!!!!』
 地団駄を踏むノインに、辰弥は「ノインってもしかしてハニトラって言葉を使いたいだけじゃないのかな」とふと考える。
『このしょうわるおんなー!!!!』
(ノイン、駄目だわ……)
 両腕をガトリングにして発砲するノインを諦めの面持ちでなだめながら、辰弥は晃に声をかけた。
「晃、ツェンテのこと頼むよ」
「おう、任された!」
 ツェンテを抱き上げながら晃がテンション高く頷く。
「っても、御神楽にツェンテのことがバレると、色々面倒なことになりそうだ。目を離すわけにはいかないから合流の時に連れてくるけど、それでいい?」
「まぁ、それくらいは仕方ないかもね。誰かの目が光っている方がいい」
 辰弥が頷き、それじゃ、とツェンテを見る。
「ツェンテ、晃の指示には従って。それなら安全なはずだから」
「分かりました。エルステさんも気を付けてくださいね」
 ツェンテが頷き、晃と共に車に乗り込んでいく。
 走り去る車を見送り、辰弥はほっと肩の力を抜いた。
「いやー、あの子優しい子だなぁ。遠くからはるばる逃げて大変だっただろうに、俺たちの心配までしてくれるなんてさ」
『ほだされるな、あきとのバカー!』
 ノインの絶叫が辰弥の聴覚を揺さぶる。
(ノイン、うるさい)
 脳内にわんわんと響くノインの声に顔をしかめながら、辰弥は日翔と鏡介を見た。
「とりあえずご飯作るよ。キャンプオーブンで白身魚とハーブのオーブン蒸しとかどう?」
「すげぇ! 食いたい!」
「……いや待てキャンプオーブンって……」
 日翔が目を輝かせ、鏡介がまさか、と青ざめる。
 辰弥がもちろん、とキャンプオーブンを持ち上げた。
「生成した。今」
「バカかお前!!!!
 浮かれてるんじゃない! と鏡介が声を上げるが、辰弥はさっさとキャンプオーブンを抱えて調理場へと向かって行った。

 

to be continued……

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おまけ
ばにしんぐ☆ぽいんと あすとれい
第2章 「しょくよくが☆あすとれい」

 


 

「Vanishing Point / ASTRAY 第2章」のあとがきを
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