三人の魔女 第14章

 

 深夜、人の寝静まった町の中を三人の魔女と一人の御使いが歩いている。
「で、その子は誰なの、アリス」
 歩きながらエレナはアリスに問いかける。その子、とはもちろん、新たに一向に加わった幼なげに見えて不思議に大人びた少年のことだ。
「あぁ、そうね。彼はサリ。《神の命令サリエル》よ」
「へぇ、サリエル! 天使の名前も魔女名になるのね。属性はやっぱり死?」
「魔女名? 属性?」
 エレナの問いにサリは首を傾げる。
「あら、魔女名を認識してないの? じゃあサリエルっていうのは本名?」
「うん。まぁそんなようなものかな。それで、魔女名って?」
「魔女名って言うのは、力に目覚めた時、頭に囁きかけてくる声があったでしょう? その声が名乗った名前が魔女名よ」
「囁きかけてくる、声?」
 怪訝な顔をするサリ。
「あら、覚えがない?」
「あぁ、聞いたことがない。繋がってる存在とは会ったことがあるけど、繋がった先から声が聞こえるなんて初めて聞いたよ」
「繋がってる存在……?」
「あぁ。君たち人間が魔法使いと呼んでいた人達さ」
「君たち人間? アリス、この子は……」
「あぁ……そうね。サリは魔女じゃないわ。……本物の御使い、天使よ」
「へぇー、すごい。実在したのね! ちょっと詳しく話を聞かせてもらってもいいかしら!」
「ちょっと、エレナさん。夜中に街中で大声を出すと」
 ジャンヌの静止は正しかったがひとしきり叫び終わった後に言っても遅い。
 なんだ喧しいな、とでも言いたげな一人の男がご丁寧にオーグギアをつけて窓の外を見た。
「まずい」
 周囲を見渡していたアリスとその男の目が合う。そしてアリスの視線はそこから右にずれ、オーグギアのカメラと目が合う。
「見られた!」
 三人はその言葉に一斉に駆け出し、遅れてサリも追従する。

 

 一方、その頃。
 新たに着任した時代ハズレの騎士の甲冑を見に纏った男に一人の魔女狩りの男が話しかける。
「隊長、オーグギア網に目撃記録が出ました。スーダンのニャラ都市内で目撃された模様」
 魔女狩り達の中央エジプト支部にて、その報告は即座に挙げられていた。
「空港で一気に逃げられては敵わん。速やかに空港を閉鎖するように手配せよ」
「はっ」
「初めて報告されたタイミング以降、目撃は北へ北へ向かっている。奴らの目的地は北にあるようだな。誰か、スーダンの地図を」
「どうぞ」
「……なるほど、これは良い。何人か、少数の部隊を率い、これから指示する道を封鎖する検問を実施せよ。そうすれば獲物は自ずとこの地へと踏み込むだろう。ここで待ち構え、魔法使いを捕らえるぞ」
 地図で指差した先はニャラの北東方面に広がる森。科学統一政府の掲げる緑化計画によって広げられている人工天然森林の一画であった。

 

「だめね。あっちにも魔女狩りがいるわ」
 視点は戻って三人の魔女と一人の御使い。いく先々で魔女狩りを発見し、迂回に迂回を重ねる。
「あそこに森があるわ。幸い森への道は封鎖されてない。あの森を通って奴らから逃れましょう」
 エレナ達は頷き、北東の方向に広がる人工天然森林へと駆け出す。
 幸いその道を塞ぐ魔女狩りはおらず、四人は当たり前のように森の入り口へと到達した。
「そうか。ここは統一政府の人工天然森林だわ。確かエジプトまで一直線に伸びてるはず。苦労はするだろうけど、この森の中を突っ切れば奴らにも見つかりにくい上、一気にエジプトまで行けるわ」
 看板を読んで閃いたエレナの言葉に三人は頷いて再び北を目指して歩き出す。

 

 統一政府の人工天然森林。人工と天然と同時につくそれは矛盾しているが、しかしそこから想像される統一政府の欺瞞とは正反対に、そこは人工のものとは思えないほど美しい天然のそれにしか見えない深い森林が広がっている。
 ほぼ一面荒野のスーダンの地にこれほどの森林を芽吹かせ、今、エジプトの砂漠にさえ侵食させようとしている人工天然森林は、スーダンへの水の定着率を高めており、スーダンの水不足の解消に一役買っている。科学統一政府の用いる他の追随を許さない高い科学力が人々に恩恵をもたらしている例であった。
 そしてさらに驚異的なのは、一見天然のものにしか見えないアトランダムに生えた木々により構成される迷宮、科学統一政府はその全てを計算づくで植樹しており、その完全な地図を常に科学統一政府は保有していると言う事だ。
 流石のエレナも知らなかった事実。魔女が夜歩く魔女のテリトリーのはずの夜の静かな森は、その実、魔女狩り達のテリトリーだったのである。

 

「奴らが森に入ってきた」
 鋭い感知力でサリが警告する。
「どこかで見られてた? けれど先に森に入ったアドバンテージはこちらにある。とにかく進みましょう。向こうは大所帯。不整地での進む速度はこちらが上のはずだわ」
 そう言いながらエレナは先頭でペースを早める。
「大丈夫なの? 私が罠を張ってもいいけど」
 と遠慮がちに言うアリス。
「いえ、平気よ。このままリードを保った方が良い。下手に足を止めたら、そこで追いつかれて負けるわ」
 エレナはそれを却下して歩き続ける。
 その判断は決して間違ったものでもない。相手がこの森と何の縁もない軍隊であれば、森は魔女の友、魔女達の逃走に味方したことだろう。
 しかし悲しきかな。この森はその軍隊、魔女狩り達の森。エレナの判断は容易に覆される。
「追いついてきてる。左右に回り込んでるよ」
「そんな、いくらなんでも早すぎる」
 しばらく歩いていると、サリから警告が飛び、エレナが驚愕する。
 エレナ達が凸凹した不整地を歩かざるを得なかったのに対し、森林の完全な記録を持つ魔女狩り達は正確に歩きやすい場所を選んで進むことができる。それがこの速さの理由の一つであり、魔女狩りのリーダーがこの場所を"狩り"のフィールドに選んだ理由である。
「追い抜かれる。回り込むつもりだ」
「ありえない、早すぎる。突破するしかないか……」
「やれるの?」
「この速度から考えて恐らく相手は少人数の部隊にすることで機動力を上げているはず。やりようはあるわ」
「そう言うことなら僕に任せて」
 サリの手元に巨大な大鎌が出現する。
「それじゃ、出鼻を挫くためにも、走りましょう」
 エレナはフィルムケースを取り出しながらそう言うと、すぐさま走り出す。
 そこにサリが並走し、アリス、ジャンヌと続く。
「キャッ」
 ジャンヌが根に足を取られ転倒しかけ、アリスが慌てて支える。
「あ、ありがとうございます」
 これまで少し邪険にされてると思っていたアリスに助けられて嬉しい反面、困惑するジャンヌ。
 アリスの方は自分の出奔の理由について言い当ててくれたらしいジャンヌについての認識を変えつつあるのだが、特にそれを口にすることはない。
 そのままアリスはジャンヌの手を握り、手を引く。
 直後、先頭を走るエレナの足元に矢が刺さり、歩みが止まる。
「そこまでだ、魔法使い!」
 正面には馬に乗った騎士装束の男と魔女狩り達。
 これがもう一つの理由。彼らは騎馬を駆っていた。
 そして騎士装束の男の手にはイギリス式の長弓。
「魔女狩り、じゃない?」
「我が名はメドラウド二世!」
 騎士は馬から降り、弓を馬に預けて腰に二本刺さったうちの片方を抜く。
「リチャード騎士団筆頭騎士にして異端審問官。父メドラウドと母グラーニアの名と名誉にかけて」
 銀の剣がエレナに向けられる。
「貴様達を拘束する!」
 木々の隙間から漏れる月の光が銀の剣により反射され輝く。
 直後、いつから隠れていたのか、木々の隙間から魔女狩り達が姿を表す。右にも左にも後ろにも。
「囲まれた!?」
「囲まれていた、でしょうね」
 ジャンヌの驚愕にアリスが答える。
「けど前方左辺りには魔女狩りがいないわ。突破しましょう」
 エレナが木星のエネルギーの入ったフィルムケースの蓋に手をかける。
 皆が頷いたのを確認して、エレナは駆け出し、先ほどと同じように一同がそれに続く。先程と違うのはサリが一番後ろにいる点だ。
rabiu奪え vidkapablo視界を
 エレナがフィルムケースの蓋を開けて投擲する。膨大な雲が視界を奪う。
 エレナ、アリス、ジャンヌと順に雲に飛び込んでいき、サリが雲に飛び込む前に、魔女狩り達がサリの前に槍を突き出す。
「三人は逃したか。だが、その御使いはここで仕留める」
「白々しい。僕が最後尾じゃなけりゃ、そこの木の裏に隠れてた二人が飛び出して僕より後ろの子ごと捕まえてただろうに」
 騎士の言葉にサリが知ってるぞ、とばかりに反論する。
 その言葉の通り、木の裏からさらに二人、魔女狩りが現れる。
「使われてると分かってさえいれば認識阻害は僕には効かない」
「おっと、言いがかりはよしてもらおう。私は魔法使いを狩る異端審問官。神秘など使っていない」
「ならこれもカガクとやらだとでも?」
「その通り。最もこれ以上の議論は意味を感じない」
「僕を倒せるつもりかい? ただの人間如きが。それが無理だからカガクなんて嘘を使ったんだろうに」
「貴様、誇り高き騎士を侮辱するのか!」
 サリの言葉に反論したのは騎士ではなく騎士に伴って騎馬を駆っていた側近の魔女狩りの一人だ。
 欺瞞を口にする罪悪感を僅かに抱く騎士の目と違い、側近の目は純粋な尊敬に満ちていた。
「側近にさえ真実を伝えていない。罪人はどちらかな」
「前衛は前へ! 構え!」
 騎士はその言葉を無視し、号令を放つ。
 騎士の指示に従い、魔女狩り達がいつもの二叉の槍を構える。
「バラバラな動きだ。こいつらは君の部下じゃなくて元からここにいた連中。そんな奴らに相手させるつもり? 無駄死にするだけだよ!」
 ただ振るだけで周囲の命を刈り取れる恐るべし大鎌が振り上げられる。
「受け止めろ!」
 2000年を超える長い期間溜め込まれた神秘による圧倒的な優先度。
 もはや現代に存在する非神秘的万物には止められはしないその一撃は、あっさりと、二叉の槍に静止される。
「なに!?」
「動きを封じろ!」
 四方向から槍が突き出され、向こう側の兵士が突き出した槍の先端を保持する。
 槍の柄がサリを封じ込める。いつもなら大鎌を振り下ろせば終わるちゃちな拘束を、しかし振り上げた大鎌を封じられたサリは外せない。
「今だ、攻撃開始!」
 四方八方から、今度こそサリを狙って槍が放たれる。
「ぐっ、がっ、くそっ。僕の神秘プライオリティと神性を純粋に上回った……?」
「魔女狩りの持つ槍がただの物理的な武器だとでも思ったか? 前任者は愚かしくも知らなかった様だが、これなる槍はトゥクルの槍。貴様ら御使いすら上回る人智の結晶よ!」
 騎士は馬に跨り、長弓を手に取って、奇妙な矢を手に取る。
「行け、シャルウル!」
 引き絞られ、放たれたそれは速やかに騎士の弓を離れ、サリに突き刺さった。
「がっ!」
 サリの頭頂で輝く天使の輪が砕け散る。
「最大の障害は片付いた。あとは我々だけで魔女を追う。お前達は退け」
 そういうと同時、騎士は拍車をかけて馬を走らせる。
 同じく馬に乗った魔女狩り達もそれに続く。
「縺ォ繧?k繝サ……s?√??縺ォ繧?k……@繧?s縺ェ?√??縺ォ……サ縺励e縺溘s?√??縺……繝サ縺後@繧?s縺ェ?」
 しかし、サリは諦めていなかった。
 最後の力を振り絞り、その呪文を唱える。
 それはこの世界を見捨てた神にこの一時だけ視線を戻させるささやか過ぎる意味しかなかったが、しかし神は彼に寛大な運命を与えた。
 曰く「じゃ、せめて最後に盛大に暴れておいで」。少なくとも人間の認知ではその様な意味に聞こえる呪詛ギフトを吐き出した。
 次の瞬間、サリの身体全てが黒く染まっていき、そして異常な膨張を始める。
「ひっ、し、審問官殿!!」
 部下からの通信に手綱を引いて馬を止めて振り返る騎士。
「下がれ! それは危険だ! 私の部下はシャルウルの矢を準備! ……やれるな、お前達」
「はい。堕天使の相手も初めてではありません」
「よし、なら頼んだぞ」
 魔女は私一人で捕まえる。そしてすぐに戻ってくる。そう決めて騎士は再び馬に拍車をかけて駆け出す。

 

 少し時間は遡り、三人の魔女。
「なんだったの、あいつら」
「リチャード騎士団、って名乗ってたわよね」
 エレナの疑問にアリスが返答する。
「知ってるの?」
「少しだけね。確かイギリスにあった組織よ。討魔師……幽霊退治とかを引き受けてた騎士団よ」
悪魔祓いエクソシスト?」
「厳密には違うけどまぁその理解でも良いわ。多くのそういう組織は自身の神秘を使ってたから、魔女狩りに潰されたんだけど、彼らはほとんど使ってなかった。だから見逃されて、魔女狩りに吸収されたのね」
 厳密には人に取り憑いた悪魔を人から取り祓う悪魔祓い(エクソシスト)と悪魔そのものの討滅を行う討魔師は違う。だが、そこに拘る理由は何一つなかったので、アリスはそこを説明せずに受け流した。
「いまだに白馬に跨って剣と弓を使う騎士なんて実在するんですね」
「しかも甲冑まで来てたわね」
 感心するジャンヌにエレナも続く。
「舐めない方がいいわよ。あれも神秘と戦うための装備。私達の魔法も防がれる可能性があるわ」
「そうね。それに金属の鎧は純粋に攻撃を受け止める点で厄介だわ」
 その時、森が大きく蠢き、遠くから轟音が響き出す。
「サリが負けたんだわ……」
「そんな……サリエル、もう少し話したかったわ……」
 エレナが残念そうに呟く。
「まだよ。サリは堕天してまで私たちを守ろうと時間を稼いでくれてる。私達も急ぎましょう」
 アリスの言葉にエレナは頷き、ジャンヌを連れて再び走り出す。

 

 数分後、後ろから馬の駆ける音が聞こえてくる。
「この不整地を馬で駆け抜けるっていうの?」
 驚愕するエレナ。
「追いつかれるわよ、エレナ!」
「一人なら、ジャバウォックの相手でもしてもらいましょう!」
 木星のカメラフィルムを開けるエレナ。
rabiu奪え vidkapablo視界を
 不整地をものともせず駆け抜けてくる馬を雲が覆う。
Twas brilligあぶりの時, and the slithy tovesそしてしゅるりとしたトーヴ  Did gyre and gimble in the wabe遥かな場所で廻り穿つ;」
「させんっ!」
 雲から大ジャンプした騎士が飛び出す。
「アリスさん!」
「シャルウル!」
 アリスと騎士の間にジャンヌが壁を生成するが、それを読んで先んじて騎士が放った矢がその壁を破壊する。
「そんなっ!」
 騎士はアリスの前に着地して腰から抜刀した銀の剣の切先をアリスの首筋に向ける。
「それ以上歌えば、斬る」
「っ!」
 ――どうする、私に攻撃手段はない。けどジャンヌの壁ではこの局面を突破できない。何か、攻撃に使えそうなもの……  エレナは考える。この状況の打開策を。
 ――そうだ! 攻撃にさえ見えればいい! 「Rotacii回れ!」
 使ったのは土星のエネルギー。
 土星のリングの様なものが出現する。これは触れた軽いものを回転で投げ飛ばす程度の力しかないが、知らずに見ればチャクラムくらいには見えるはず。
 生成したリングをブーメラン投げの要領で騎士に向けて射出する。
「なにっ!」
 騎士は体を前に倒してリングを回避するが、ギリギリ避け損ねてオーグギアにリングが接触する。
 リングは速やかにオーグギアを投げ飛ばし、木にぶつけてオーグギアを破壊した。
「チッ、やってくれる!」
 しかし雲はすでに霧散した。アリスが歌ってももはや何も起きないだろう。
 しかし、だからこそ、アリスは声を張り上げた。
「騎士メドラウド二世!」
 エレナの方を警戒し、視線をエレナにやっていた騎士は驚いてアリスの方を見る。
「リチャード騎士団はかの獅子心王により作られて今代まで続く誇り高き騎士団と聞きます。ましてあなたはその最も優れた騎士、筆頭騎士でしょう。その仕事が統一政府の言いなりになって森の中少女を追い回す事か! それで本当に父と母に、そして獅子心王に誇れるのか!」
「なっ! 神秘を用いて統一政府を仇為す罪人が、騎士の誇りを語るか!」
「罪人?」
 騎士の反論に今度はエレナが反応する。
「私達が何の罪を犯したと言うの? ただ魔女として生まれただけ」
「何をふざけた事を。わざわざ私が動員されたのだ。大方その魔法で何かの罪を犯したのだろう」
 やはりそうか。とアリスは思った。エレナもそれを理解した。
 この高潔ぶった騎士は何も知らない。なら、揺さぶる余地はある。
「いいえ。魔女狩りはただ私達魔女であると言うだけで魔女を狩っている。何かに誓ってもいい。私は他に何の罪も犯していない」
 本当はアリスの「砲台」が最低でも器物破損を犯しているのだが、ここは勢いだ。「私は」なら嘘ではない。
「な、なら、魔法使いとは発覚すまい。神秘の隠匿を破り人々の前で魔法をひれかしたのではないか?」
「それはこの子が、自分の魔法を制御出来なかったからよ。けれどそれで誰も傷つけてはいないし、私が教えてからはさっきみたいに制御出来るようになった。それをせずただ自分の力に困惑する人間を槍で追いかけ回すのがあなたの言う騎士の誇りに基づく行為なの?」
「ぬ……」
 騎士は悩んでいた。
 正直、違和感を持っていた部分ではあったのだ。
 統一政府は神秘の隠匿を徹底している。それは病的なほどだ。
 本来隠匿に有用なはずの認識阻害の術の使用さえ魔女狩りの徒には伝えることが許されず、あくまで全ては科学技術に由来するものだと説明しなければならなかった。
 そして統一政府の支配確立と同時に神秘基盤の多くは失われ、神秘に依存する多くの組織は滅んだ。
 本当に偶然だろうか。その疑問はずっと尽きなかった。
 そんな彼らが実は魔法使いを魔法使いというだけで迫害していた?  それを嘘だと断じられるだけの政府への信頼は騎士にはなかった。
「……」
 騎士は黙って踵を返し、馬に飛び乗った。
「良いだろう。騎士の誇りを賭けた問いだ。私も確認せねばなるまい。もし私を謀っていたことが分かったときには。その時こそ」
「ええ。そうして頂戴。嘘なんてついてないもの」
「ふっ。せやぁっ!」
 騎士は堂々としたエレナの態度に笑ってから、手綱を引いて馬を反転させて、拍車をかけて走らせる。
 三人はそのみるみる小さくなっていく影を見送るのもほどほどに、また北に向けて歩き出すのだった。

 

to be continued...

 

断章1へ

 


 

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 AWsの世界の物語は全て様々な分岐によって分かれた別世界か、全く同じ世界、つまり薄く繋がっています。
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   劇場版風アフロディーネロマンス feat.神秘世界観 クリスマス・コンクエスト
 なんと言う事でしょう。本作『三人の魔女』がフィクションとして楽しまれている世界です。
 フィクションの登場人物とシンクロしその力を使えるようになる謎の不思議なアイテム「アフロディーネデバイス」と「ピグマリオンオーブ」を巡る物語です。
 主人公の成瀬 太一は本作の主人公、エレナと本当の苗字が一致しており、かつ使うオーブは本作の魔女ムサシ。
 少なくとも何かしらの関係性があるのは疑いようがありませんね。

 

 そして、これ以外にもこの作品と繋がりを持つ作品はあります。
 是非あなたの手で、AWsの世界を旅してみてください。

 


 

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