光舞う地の聖夜に駆けて 第1章
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アラスカのフェアバンクスで、匠海は妖精とオーロラを見ていた。
アラスカに来たきっかけは
ツアーの自由時間、ぶらついていた匠海は軍用車両に雪を掛けられる。
文句を言おうとハッキングして車両を特定した匠海だったが、その車両は偽物で、基地から何かを持ち出したらしい。
持ち出された何かを調べた匠海は、それが核弾頭であることを突き止める。
核弾頭を持ち出した車両を止めようと信号機にアクセスする匠海、しかし同じく別の魔術師が信号機にアクセスしていた。
妨害してくる魔術師と交戦する匠海、凍結能力を有する
妨害してきたと思った魔術師は匠海と同じくテロを阻止するため動いていた。
匠海がホテルのロビーに戻ると『皇帝』は既に到着しており、コーヒーを飲んで待っていた。
接触する前にざっと相手を観察する。
左肩の辺りに
見たところ二十代半ばで、何故か自分がスポーツハッカーになった時のことを思い出す。
あの頃の俺も二十代半ばだったなあ、と感傷に浸りながら匠海はコーヒーを飲む人物に歩み寄った。
「お前か、さっきのは」
ああ、と答えて相手はコーヒーカップをソーサーに戻し、それから匠海を見て、
露骨に嫌そうな顔をした。
「
「あ、俺国籍アメリカなんで」
生まれも育ちも
「てっきり就労ビザ取って世界樹来てるのかと思ったぜ」
こいつ、そこまで強くはないがそれなりの
「そんなことはどうでもいい、現時点でテロに対抗できるのは俺たちだけだ。情報交換したい」
匠海がそう言うと、相手は若干嫌そうな顔をしているもののそうだな、と頷く。
「分かった、だが呼び方が分からんと色々とめんどくさい。オレはピーター・ジェイミーソン。スクリーンネームは……『ルキウス』」
名乗るまでに間があったことが気になったが、というか
「タクミ・ナガセだ。スクリーンネームは『アーサー』」
『アーサー』の名を聞いた瞬間、相手――ピーターはがたん、と立ち上がり、
「てめえかーーーー!!!! お前のおかげでオレは『ルキウス』なのに『イルミンスールのアーサー』って呼ばれてんだぞ!!!! っていうか勝手にセキュリティパッチ当てやがって、後で整合性チェックするの大変だったんだぞ!!!! 天才だかなんだか知らんが勝手なことすんな!」
匠海の胸倉を掴みそう叫んだ。
「落ち着け。ってか、お前、イルミンスールにいるのか」
アメリカに存在する四本の世界樹のうち、二番目に建設された『イルミンスール』。FaceNote社の所有でその膨大なストレージとSNS技術を利用して大規模な
サービス開始時に匠海も何度か
匠海に諭され、ピーターが手を離す。
「まさかユグドラシル最強のカウンターハッカーが……こんな日系人のおっさんだったなんて……」
そう、ブツブツと呟いているところを見るとどうやら彼の幻想を打ち砕いてしまったらしい。
悪かったな、こんなおっさんでと思いつつも匠海はウィンドウを開きピーターと共有した。
「早速だが話を始めよう。お前はどこまで把握している?」
ウィンドウを共有されたことでピーターも気持ちを切り替え、手持ちのデータを表示させる。
「分かった。オレが把握しているのは……」
そう口を開き、ピーターは自分が持つ情報を匠海に話し始めた。
to be continued……
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