Vanishing Point Epilogue
分冊版インデックス
EP-1 EP-2 EP-3 EP-4 EP-5 EP-6 EP-7 EP-8
惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
依頼を受けては完遂していく三人。しかし
警戒はしつつも、雪啼と
その後に受けた依頼で辰弥が
まずいところに喧嘩を売ったと思うもののそれでも依頼を断ることもできず、三人は「サイバボーン・テクノロジー」からの要人護衛の依頼を受けることになる。
しかし、その要人とは
最終日に襲撃に遭い鏡介が撃たれるものの護衛対象を守り切った三人は鏡介が内臓を義体化していたことから彼の過去を知ることになる。
帰宅してから反省会を行い、辰弥が武器を持ち込んだことについて言及されたタイミングで、御神楽
「それは貴方が
確保するという久遠に対し、逃走する辰弥。
それでも圧倒的な彼女の戦闘能力を上回ることができず、辰弥は拘束されてしまう。
拘束された辰弥を「ノイン」として調べる
連絡を受けた久遠は改めて辰弥を調べる。
その結果、判明したのは辰弥は「
「一般人に戻る道もある」と提示する久遠。しかし、日翔たちの元に戻りたい辰弥にはその選択を選ぶことはできなかった。
辰弥が造り出された生物兵器と知った日翔と鏡介。しかし二人は辰弥をトクヨンの手から取り戻すことを決意する。
鏡介はトクヨンの兵器「コマンドギア」を強奪し、追撃を迎撃するが久遠の攻撃とリミッター解除の負荷により右腕と左脚を失ったものの、桜花への帰還を果たす。
しかし帰国早々聞かされたのは失踪していた雪啼が吸血殺人を繰り返していることとそれを「ワタナベ」はじめとする各メガコープが狙っていることだった。
包囲網を突破し、雪啼を確保することに成功した辰弥と日翔。
義体に換装した鏡介に窮地を救われたもののトクヨンが到着、四人はなすすべもなく拘束される。
「ツリガネソウ」に収容された四人。改めて一般人になる道を提示されるもすぐに頷けない辰弥。
そんな折、雪啼が監禁場所から脱走、「ツリガネソウ」は混乱に陥る。
その混乱に乗じて監禁場所から逃げ出す辰弥たちだったが、久遠との取引の末一度一般人になってみる条件を飲み、雪啼の追跡に当たる。
しかし、真っ先に雪啼と遭遇した日翔が一瞬の隙を突かれて攻撃され、人質となってしまう。
日翔を救出すると言う特殊第四部隊に対し、自分で助けに行くという辰弥。
議論の末、一時間という制限時間で日翔を救出することという条件で辰弥は単身雪啼の待つ廃工場へと向かう。
激しい戦闘の末、日翔が辰弥によって生成された単分子ブレードで雪啼を両断することに成功する。
しかし、とどめを刺す前に工場が崩落、雪啼によって大ダメージを受けた辰弥を救出することができずに日翔は鏡介によって工場から連れ出される。
ナノテルミット弾によって灼かれる廃工場。戻ってこなかった辰弥のために、鏡介は小さな花束を手向けた。
自宅に戻った日翔と鏡介は様子を見に来た
辰弥に卸していた輸血パックの回収のために残った
辰弥の部屋に遺されていた写真に「幸せだったのか」と呟いた日翔に、「幸せだったよ」と返答が返ってくる。
少年の姿となって帰還した辰弥。
辰弥はノインの血を吸収することで第二世代LEBのトランス能力をコピーし、それを使って脱出したと告げる。
しかし、いくら生き延びるためとはいえ「人間」としての在り方を棄てた辰弥は日翔たちが拒絶するならそれを受け入れると告げる。
日翔と鏡介は拒絶するどころか辰弥を温かく迎え入れ、三人で
引っ越しの準備の合間に
a.n.g.e.l.が答えた名前は聞いたことのないものだったが、ただ一つだけかつてのチーム名に使われた名称があることに疑問を覚える。
マンションのエントランスからエコバッグを持った辰弥が出てくる。
「え、お腹すいた? バカじゃないの!」
GNS通話にもかかわらず思わず声を上げた辰弥がぷりぷりと怒りながら近所のスーパーへと歩いていく。
少年の背中が雑踏の中へと掻き消えていき、何事もなかったかのように人々は通り過ぎていく。
「……なるほど」
物陰から、そんなことを呟きながら一人の男が姿を現す。
GNSに着信が入ったか、男が空中をタップし辰弥が消えて行った方向を見据える。
「……はい、生存を確認しました」
そう応える男の口調は淡々としている。
「暫く警戒していましたが、御神楽はこの事実を把握していないようです。実際、姿も変えていますし御神楽が把握する可能性は低いでしょう」
どうやら
ぐるりと周囲を警戒するように歩き、それから辰弥が消えて行った方向へと足を進める。
「……ノインは入手しそびれましたからね……エルステが生存しているのなら引き込みたい。しかし、賭けはわたしの勝ちだったようですね」
実際、生きていて、のこのこと帰ってきたのですから、と男が続ける。
「よほど仲間のことが大切だったのでしょう。人間の真似事をして、本人――本LEBが満足しているのならそれでいいということですかね……」
皮肉気にそう言い、男が正面を見据える。
ちょうど買い出しを終えてスーパーから出てきた
視線を悟られないように、男はスーパーに向かって歩き出した。
総菜が詰まったエコバッグを手にした辰弥も帰路に就く。
「LEBならエルステでも構わない、まあそうなりますね。我々に必要なのはノインではなく、LEBそのものなのですから」
男と辰弥の距離が縮まる。
「『どんな手を使ってでも懐柔しろ』? 大丈夫ですよ、彼の扱いには心得がありますから」
男と辰弥がすれ違う。
すれ違う瞬間、男がちらり、と辰弥を見る。
「大丈夫ですよ。必ず、エルステを『カタストロフ』に引き込んでみましょう」
《その言葉、信じていますよ。お前の描いた青写真なんですからね。なんだったらお前の秘蔵のエージェントも使いなさい――宇都宮》
男の聴覚にその言葉が届き、通話がそこで途切れる。
立ち止まって振り返り、男――宇都宮
その口元が薄く吊り上がり、笑みを浮かべる。
「勿論、私の目的のためにはLEBだろうが『カタストロフ』だろうが利用させていただきますよ」
そう呟いた昴の姿が雑踏へと消えていく。
日常の喧騒だけが、街を満たしていく。
◆◇◆ ◆◇◆
「いいね」と思ったらtweet! そのままのツイートでもするとしないでは作者のやる気に大きな差が出ます。