Vanishing Point 第4章
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惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
そんな折、「とある企業の開発サーバを破壊してほしい」という依頼を受けた三人は辰弥の体調とサーバの置かれる環境を考慮し
潜入先で、サーバを破壊したものの幾重にも張り巡らされたトラップに引っかかり抗戦する二人。
敵は
しかし、脱出した日翔が辰弥の回収ポイントで目にしたのは、意識を失い倒れる彼の姿であった。
いつもより大量の輸血を受けて回復した辰弥に安堵する一同だったが、その裏では
依頼が終わり、いつもの生活に戻った
その結果、本来ならアライアンスが受けるはずのない
ある日、
一緒に行こうと誘う日翔だったが、
その日はとても天気が良く、行楽日和だった。
「パパー、早く早く!」
玄関で雪啼が辰弥の袖を引っ張っている。
「ちょっと待ってってば、靴が、履けない」
そう言いながらも靴紐を結び終え、辰弥が立ち上がる。
「じゃ、日翔、留守番よろしく」
「ああ、楽しんできな」
そう言って手を振ろうとした日翔がふと、何かに気づいたように辰弥を見る。
「……?」
「お前、ちょっと腕上げろ」
日翔がそう言った瞬間、辰弥が「やばっ」といった顔をする。
それには構わず、日翔は強引に辰弥の両腕を上げさせ、腕を起点として全身をくまなく
その手が腰のあたりで止まり、日翔は辰弥の上着をめくって腰に差していた
「辰弥! お前なあ!」
「げ」
見つかった、と呟く辰弥に日翔がさらに確認、ナイフなども見つけ出す。
「……言い訳は?」
「……だって、何かあった時の護身くらい」
辰弥の言い訳に、「アホかお前」と日翔は心底あきれたように言う。
「あのな、今日の行き先はESO。武器なんて見つかってみろどうなる?」
「……強制退場」
はい、よくできました、と日翔が頷く。
近年は桜花も拳銃程度は持ち歩くことが出来る。だが、私有地では武器の持ち込みが禁止されるケースもあり、ESOでは武器を持ち込んでいる事がバレれば強制的に退場させられる。強制退場だけならまだマシだが、発覚の原因がトラブルだったりした場合、出禁になったり、ESO社からの圧力で日常を生き辛くされる可能性さえある。
「だから今日は武器の持ち歩き禁止。どうせ雪啼の前で殺しなんてできないだろ」
「……ま、まぁそれは」
このあたりの会話は雪啼に聞かれないよう、小声で行われている。
そのため、雪啼が「んー?」と首をかしげながら辰弥を見上げている。
「パパー、早く行こ」
「あ、ごめんごめんすぐ行く」
雪啼に急かされ、辰弥が分かったと頷く。
「まぁ、考えすぎだよね。丸腰で行く」
そうは言ったが、実は右袖の内側に仕込んでいたバタフライナイフだけは日翔に気づかれていなかった。
心許ないがいざという時はこれだけでなんとか切り抜けるか、と辰弥は心の中で呟いた。
それに、いくらこの街の治安が悪くともこんな昼間から吸血殺人の犯人と遭遇することはないだろうし表通りを歩けばゴロツキの類に遭遇することもないだろう。
辰弥が素直に「丸腰で行く」と言った言葉を信じたのか、日翔が「偉いぞ」と子供扱いするかのように辰弥に言う。
「子供扱いしないでって」
俺、君より歳上だよ? と辰弥が抗議するもそれを意に介する日翔ではない。
「気にすんな。それよりも気を付けて行ってきな。くれぐれも騒ぎとか起こすんじゃねーぞ」
日翔がそう言って手を振ると辰弥は少々不満げな顔をしつつも雪啼に手を引かれて外に出ていった。
「……」
パタン、とドアが閉まり、日翔がふぅ、と息を吐く。
「……行ったか」
概ね、予定通りにことは進んでいる。
「よし、今日中に終わらせよう」
雪啼が来てからバタバタしてできなかった用事が色々ある。
そう考えるとESOのチケットの当選を装えと言ってきた
辰弥の性格を考えれば絶対に雪啼を連れて行けと言うことを見越してのESOチケット。
思惑通り、辰弥は雪啼を連れて行けと言ったしそれに合わせてチケットを譲る、という展開に持ち込むことができた。
CCTのホログラムディスプレイを展開し、鏡介に通信を繋げる。
《上手く行ったか?》
鏡介の言葉に日翔がああ、と頷く。
「上手く行き過ぎて逆に怖えよ」
とりあえず、辰弥に何か動きがあったら教えてくれ、と鏡介に伝え、日翔は通信を切った。
「あー……まずは山手組周りか……」
メモアプリを呼び出し、スケジュールを確認する。
「ま、夕方まで帰ってこないだろうしさっさと終わらせて昼寝でもするか」
そう呟き、日翔は肩を回し、それから少し痛そうに顔をしかめた。
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