Vanishing Point 第5章
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惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
そんな折、「とある企業の開発サーバを破壊してほしい」という依頼を受けた三人は巧妙に仕掛けられた罠にかかったものの依頼を完遂する。しかし
そんな折、
チケットを譲り受けた辰弥は雪啼を連れて遊びに行くが、それは日翔が仕組んだものだった。
帰宅の際に日翔が
普段の怪力はそのALSの対症療法としてひそかに導入していた
ある日、
それにより軽傷を負うものの雪啼を叱った辰弥のもとに、通信が入ってくる。
通信の主は
ESOで発生した吸血殺人の容疑者として、鏡介は辰弥に疑いの目を向ける。
辰弥は自分のことを
その依頼が届いたのは『
その時間には店員目当ての女子高生たちも既に帰宅しており、店内は閑古鳥タイムになっている。
それを見越したかのように
「あのさあ、過去の依頼のことをグチグチ言うのNGだと分かってるけどアライアンスのチェックちゃんと機能してる? 後で考えたらアレ明らかにアライアンス拒否案件だったんだけど」
チェックちゃんとしてたら
その辰弥の言葉が耳に入った鏡介が棚の裏で身を竦ませるが茜はそれに気づかず「ごめんね」と謝罪する。
「まぁ、報告受けた時は本部でも粛清案件かどうか紛糾したらしいけど元々はこっちがちゃんとチェックできてなかった依頼だったから、そこは申し訳ないと思ってるわ」
「え、辰弥お前報告したのか?」
鏡介が思わず棚から身を乗り出して辰弥に声をかける。
それはもう、と辰弥が頷いた。
「本来なら受諾した依頼、それも遂行後にクライアントを調査するのはご法度だとは分かってたけどね、あまりにも危険すぎた。それこそ
「もし違反案件じゃなかった場合は貴方たち良くてアライアンス追放、最悪粛清だったのよ? それは分かってるの?」
茜の言葉に、辰弥が「それは勿論」と頷く。
「けどその懲罰対象は間違ってるよね? 実際調査したのは俺だけだから対象になるのは俺だけのはずだ。日翔と鏡介は関係ない」
「お、おい辰弥……」
鏡介の声が上擦っている。
嘘だ、と鏡介は茜に聞かれないように呟いた。
実際気になって独断調査を行ったのは鏡介である。それを、自分の保身で辰弥と日翔に打ち明けた。
それなのに辰弥は自分の独断で調査したとアライアンスに報告したという。
ふざけんな、と鏡介は怒鳴ろうとしてその言葉を飲み込んだ。
辰弥に手柄を取られたとかそのような考えは全くない。
もしかしたら違反行為を行ったということで消されるかもしれないのに自分の罪を被ったことが許せない。
だが、今ここで下手に声を上げれば実際に調査を行ったのが鏡介だということが発覚し、辰弥が虚偽の報告を行ったことが明るみに出る。
それを辰弥が望んでいるか、と自問して鏡介は言葉を飲み込んだ。
辰弥がそんなことを望むはずがない。彼の性格を考えればこうなることは分かっていたはずだ。
結果として今回はアライアンスにも落ち度があったということでお咎めなしだったようだが、それでも危ない橋を渡ったことには違いない。
これは帰ったら一発殴らないと気が済まない、と思いつつ鏡介はそっと業務に戻った。
棚の向こうから辰弥と茜の会話が聞こえてくる。
「今回の件で今の調査方法に穴があると分かったからチェック体制も変えたわよ。あと、
「……なら、リスクは多少減るかな。だけどあまり関わりたくない案件だよね」
そんな会話をBGMに、鏡介はハンディターミナルを操作して在庫チェックを続ける。
「ちなみに、今回は中小企業案件だけどメガコープの息は掛かっていると思っているわ。抗争に直接関わらないと判断しての受諾だけどスパイル・アーマメント周りだと下請けとかは十分あり得るし」
「スパイル・アーマメント絡みなの? どうせメガコープが中小企業の特許取得妨害のために開発中のもの壊して来いとかじゃないの?」
「うわあ、よく分かったわね。試作品のスパイル・アーマメント破壊と設計図削除よ」
うわ、めんどくさ、という辰弥の声が店内に響く。
そんな物の破壊が依頼として来るとは。
「いやまぁ受けた依頼はやるけど。それ、絶対警備がやばい奴だよね」
「中小企業だからといって油断したら痛い目を見るでしょうね……気を付けてね?」
めんどくさいことになったな、と鏡介は内心呟いた。
ただ、今回の依頼は恐らくいつもの配置、自分は後方からのハッキング、辰弥と日翔で現場に侵入しての試作品破壊で済むだろう。
警備がどのようなものかは
辰弥がぼやいたようにメガコープが絡んでいた場合はその限りでもないだろうが、彼と日翔のコンビなら何とかなるだろう、と考える。
頭の中でざっくりとプランを練りながら、鏡介はそのまま在庫チェックを終わらせ閉店処理に移行した。
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