Vanishing Point 第5章
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惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
そんな折、「とある企業の開発サーバを破壊してほしい」という依頼を受けた三人は巧妙に仕掛けられた罠にかかったものの依頼を完遂する。しかし
そんな折、
チケットを譲り受けた辰弥は雪啼を連れて遊びに行くが、それは日翔が仕組んだものだった。
帰宅の際に日翔が
普段の怪力はそのALSの対症療法としてひそかに導入していた
ある日、
それにより軽傷を負うものの雪啼を叱った辰弥のもとに、通信が入ってくる。
通信の主は
ESOで発生した吸血殺人の容疑者として、鏡介は辰弥に疑いの目を向ける。
辰弥は自分のことを
前回の依頼で
夜、打ち合わせを開始する三人。
今回の依頼は「
今回の依頼はGene(
侵入し、
そこで一人の全身義体の女が乱入、フェアリュクターを圧倒する。その身に着けたエンブレムから彼女が「カグラ・コントラクター」
「な――」
研究室内で次々に爆発するS4。
爆発は研究室だけにとどまらず、工場のガスなどにも引火、誘爆していく。
「ふー……お前、派手に仕掛けたな」
爆発、炎上する工場を見ながら、日翔が呆れたように呟いた。
ぎりぎりまでは久遠の戦闘を観察していたが、終わる前にはタイマーの都合もあり二人は工場から離脱していた。
車に戻り、運転席に座った日翔が助手席の辰弥の全身を軽く観察する。
「怪我は特に……なさそうだな」
「ん、一番やばいのは首だけどあざとかない?」
そう言いながら辰弥がジャケットを脱ぎ日翔に首を見せる。
「あー、ちょっと痕とひっかき傷残ってるな。これは数日残るかも」
派手にやられたな、お前がここまでやられるとは珍しい、と日翔がぼやくと辰弥が「まぁ俺だって」と小さく呟く。
「帰ったら一応『イヴ』に診てもらいな」
そう言いながら日翔は車を発進、だが辰弥からの返事がなく不審に思い横目で彼を見る。
「……って!」
一瞬、寝ているのかと思った辰弥だが明らかに様子がおかしい。
どう見ても「気絶してます」な辰弥に、日翔は慌ててブレーキを踏み彼を揺さぶる。
「おい、またかよ!」
「ん……」
低く呻き、辰弥が目を開ける。
「お前、気絶すんならするって言えよ!」
「んな無茶な」
気絶してた? と確認する辰弥の顔色は悪く、日翔はああ、と頷いた。
「絞められたダメージが思ったよりでかかったようだな。お前は休んでろ」
そう言われて辰弥が小さく頷き、シートに身をうずめる。
実際のところは首を絞められたダメージではなく貧血が原因だと分かっている。
意識を失ったレベルなら戻った時に輸血も必要だろう。
あの時、久遠が乱入した時に意識を失わなくてよかったと辰弥は心底そう思った。
もしあの時倒れていたら日翔が自分を抱えて離脱する際に時間がかかり、脱出が間に合わなかったかもしれない。
そこまで考えてから、辰弥は「そういえば」と体を起こした。
「あの……御神楽 久遠はどうなったんだろう」
バックミラーに映る炎に辰弥が呟く。
「さぁな。お前が思ってたより派手に仕掛けたせいで工場自体崩落してるからな……っても『トクヨンの狂気』は全身義体のバケモノだろ? ちゃっかり逃げてんじゃねーか?」
車が角を曲がり、バックミラーに映る炎が消える。
「……『トクヨンの狂気』……相手にしたくないな」
辰弥の呟きに日翔もそうだな、と同意する。
「そもそもカグコン自体敵に回したくないが――アイツだけは絶対にやりあいたくないな」
そんな会話を繰り広げながら、二人が現場から離れていく。
燃え盛る「荒巻製作所」だった工場。
そのがれきががらり、と崩れ、ゆらりと人影が立ち上がる。
「……派手にやってくれたわね……情報統制する側にもなれってものよ」
そう呟きながら人影――久遠が跳躍、火の手が回っていない場所に着地する。
全身を包むボディスーツはところどころ破れ、義体の素体がむき出しになっている。
「……やっぱりバイオウェポン開発の痕跡はあったわ。でも先客がいてね――ウォーラス、先客に心当たりはない?」
燃え盛る工場を背に、久遠が通信をつなぐ。
ややあって、久遠のGNSに返答が届いた。
《派手にやられたようだな久遠。奴らは恐らく手を切られた事に腹を立てた『サイバボーン』から依頼を受けた
通信の相手――特殊第四部隊のナンバーツーにして久遠の相棒として動いているウォーラス・ブラウンが冷静に判断する。
「……ええ、顔を見る前に隠れた上にさっさと撤退したようだから。ここに仕掛けたS4も恐らく彼らが仕掛けたのでしょうね。余計なことをしてくれるわ」
そう、ため息交じりに久遠がぼやく。
「
《落ち着け久遠。情報は……何一つ手に入れられなかったようだな》
憤る久遠をウォーラスがなだめる。
分かってるけど、と言いつつも久遠は振り返り、工場に視線を投げた。
「それにしてもアライアンスのネズミは逃げ足だけは早いわね。ったく、吸血殺人事件の調査もあるってのにこんなところで邪魔されるわけにはいかないのよ」
カグラ・コントラクターも治安維持にあたっているためこうも立て続けに同一地域で吸血殺人事件が起きると自分たちの沽券にもかかわってくる。
久遠、いや、特殊第四部隊としては他にも対応しなければいけない事態も数多い。
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