Vanishing Point 第9章
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惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
依頼を受けては完遂していく三人。しかし
警戒はしつつも、雪啼と
その後に受けた依頼で辰弥が
まずいところに喧嘩を売ったと思うもののそれでも依頼を断ることもできず、三人は「サイバボーン・テクノロジー」からの要人護衛の依頼を受けることになる。
しかし、その要人とは
最終日に襲撃に遭い鏡介が撃たれるものの護衛対象を守り切った三人は鏡介が内臓を義体化していたことから彼の過去を知ることになる。
帰宅してから反省会を行い、辰弥が武器を持ち込んだことについて言及されたタイミングで、御神楽
「それは貴方が
確保するという久遠に対し、逃走する辰弥。
しかし、逃げ切れないと知り彼は抵抗することを選択する。
それでも圧倒的な彼女の戦闘能力を上回ることができず、辰弥は拘束されてしまう。
捕えられた
一人は
独房に訪れた
そんな折、何かしらの連絡が入り、久遠は辰弥の上着を脱がせる。
そこで判明したのが辰弥が
場所は変わり、日翔の家では馴染みの
辰弥がLEBだという事実に愕然としつつも、
雪啼が行方不明という話から彼女もLEBではないのかという話が持ち上がる。
状況から考えて、雪啼こそが御神楽が、そして「ワタナベ」が探しているノインなのではないかと考え始める。
辰弥=エルステと判明し、久遠は彼に一般人として生きるか、
それでも
再び辰弥の前に現れるゼクス。
彼と話しをしているうちに、辰弥も雪啼がノインであるということに気づかされる。
雪啼が辰弥を「パパ」と呼んだことに関してやはり遺伝子上のつながりはあったのかと確認する日翔と鏡介。
どのような生まれであってもやはり辰弥を取り戻したいと考えた二人はしばらく前に御神楽に保護されたかつての護衛対象、
真奈美のGNSに着信が入る。
「カグラ・コントラクター」の施設に軟禁状態ではあったが通信が遮断されているわけでもなく、室内に見張りがいるわけでもなかった彼女は念のため周りを見てから手にしていたコーヒーカップをテーブルに置き、発信者を確認する。
発信者の名前欄には
誰、と思いつつも、何故か通話に出なければいけないような気がして真奈美は回線を開いた。
《ああ、真奈美さんか。俺だ、Rainだ》
回線を開くと、数日前まで自分を護衛してくれていた
(あら鏡介君。久しぶりと言うにはそんなに日が経ってないわね)
室内が盗聴されている可能性を考慮し、言葉は口に出さずそう応答する。
《ったく、日翔が口を滑らせたせいで……まぁそんなことはどうでもいい、あんた今どこにいる?》
鏡介の質問に、真奈美は特に疑問を持つことなく答える。
(カグラ・コントラクターの施設にいるわ。外には出られないけど割と自由にさせてもらってる)
《その様子だと、『サイバボーン・テクノロジー』には戻れていないようだな》
(私の
通話の向こうで鏡介がなるほど、と呟く。
しかし、発信者を偽装しているということは何かカグラ・コントラクターに察知されたくない事情があるのかと考える。
通常の通信は恐らく傍受されている。しかし、弟からハッキングの手ほどきをほんの少しだけ受けていた真奈美は知っていた。
ハッカーにはハッカーが用意した、通常回線に割り込み偽装して傍受を回避するための通信手段があるということを。
鏡介が発信者を偽造している時点でそれは想定できる。
つまり、自分の力を借りなければいけないような何かがあった、ということ。
興味は惹かれるが深入りしてカグラ・コントラクターに察知されるわけにもいかないので情報は収集しすぎない程度に協力しよう、と真奈美は考えた。
(でも、わざわざ回線を偽装して連絡してくるって、何かあったの?)
《まあ……な。真奈美さん、カグコンの施設にいるということは何か周りで騒ぎがあったりしなかったか? 何かを確保したとかそんな情報》
鏡介も情報は出しすぎないようにしたいのだろう、少々ぼかしながら訊いてくるがこれだけで十分な質問となっている。
そうね、と真奈美は返した。
(まぁ、軟禁されてるけど部屋の外の様子はほんの少しだけ分かるから。特殊第四部隊が『ノイン』を確保したから近々ツリガネソウに移送するけど何されるか分からないから怖いとか言う話し声は聞いたわ)
《『ノイン』、か……》
そういえば「ワタナベ」が探してた何かだったな、と話しながら真奈美は思い出す。
「グリム・リーパー」の面々も「ノイン」を探し始めたのかと思いつつ真奈美は続ける。
(『グリム・リーパー』も『ノイン』を探し始めたの? あ、ゴメンね、言いたくなければ言わなくていいから)
《まあ、そうだな。下手にあんたに話してあんたの身に何かあったら申し訳ない。だが大体分かった、協力助かる》
今の会話で必要な情報が全て集まったというのか。
流石鏡介君、ハッカーってすごいわねと思いつつ、真奈美は小さく頷いた。
(軟禁が解ければまた実際に会ってお茶したいものね、鏡介君)
《……俺はあんまりあんたには会いたくないが》
鏡介の返答に「つれないなあ」と思う真奈美。
(その気が変わってくれるといいんだけどね、
《な――》
「その名前」を呼ばれた瞬間、通話の向こうの鏡介が面白いように硬直する。
《なに、を》
(ごめんごめん、冗談よ鏡介君。そりゃあ……貴方が正義だったらいいなとか思ったのはちょっとあるけど)
実際のところ、鏡介が真奈美が追い求める息子の正義であるかどうかは分からない。
鏡介ほどのイケメンだと一度は「女として」相手をしてみたいとは思うが、実際に息子だった場合それは許されないこととなる。
だから「そうでなければいい」という期待も含めた、冗談で呼んでみたのだが鏡介の反応は一体どちらだったのか。
《冗談はよしてくれ。あんたと話してると寿命がいくらあっても足りない》
(あら、言ってくれるわね。とにかく無茶なことはしないでよ。お茶したいんだから)
《だから断る。とりあえず、長話して探知されたくないから、ここで》
そう言って、鏡介が回線を閉じる。
相変わらず女性には免疫がないのね、とぼやきつつ、鏡介と会話できたことにいささかの安堵を覚えて真奈美はぬるくなったコーヒーを手に取った。
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