Vanishing Point 第13章
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惑星「アカシア」
そこで暗殺者として裏社会で生きる「グリム・リーパー」の三人は
ある日、
依頼を受けては完遂していく三人。しかし
警戒はしつつも、雪啼と
その後に受けた依頼で辰弥が
まずいところに喧嘩を売ったと思うもののそれでも依頼を断ることもできず、三人は「サイバボーン・テクノロジー」からの要人護衛の依頼を受けることになる。
しかし、その要人とは
最終日に襲撃に遭い鏡介が撃たれるものの護衛対象を守り切った三人は鏡介が内臓を義体化していたことから彼の過去を知ることになる。
帰宅してから反省会を行い、辰弥が武器を持ち込んだことについて言及されたタイミングで、御神楽
「それは貴方が
確保するという久遠に対し、逃走する辰弥。
それでも圧倒的な彼女の戦闘能力を上回ることができず、辰弥は拘束されてしまう。
拘束された辰弥を「ノイン」として調べる
連絡を受けた久遠は改めて辰弥を調べる。
その結果、判明したのは辰弥は「
「一般人に戻る道もある」と提示する久遠。しかし、日翔たちの元に戻りたい辰弥にはその選択を選ぶことはできなかった。
辰弥が造り出された生物兵器と知った日翔と鏡介。しかし二人は辰弥をトクヨンの手から取り戻すことを決意する。
鏡介はトクヨンの兵器「コマンドギア」を強奪し、追撃を迎撃するが久遠の攻撃とリミッター解除の負荷により右腕と左脚を失ったものの、桜花への帰還を果たす。
しかし帰国早々聞かされたのた失踪していた雪啼が吸血殺人を繰り返していることとそれを「ワタナベ」はじめとする各メガコープが狙っていることだった。
包囲網を突破し、雪啼を確保することに成功した辰弥と日翔。
義体に換装した鏡介に窮地を救われたもののトクヨンが到着、四人はなすすべもなく拘束される。
ノインが御神楽の手に落ちたことを知った「ワタナベ」傘下企業の攻撃も飛来するがそれはカグラ・コントラクター保有の宇宙戦艦「ソメイキンプ」が撃墜、拘束された四人はそのままトクヨン旗艦「ツリガネソウ」へと収容される。
拘束された三人は
答えがなかなか出せない
一般人の道もトクヨンへの道も拒むのなら立件も辞さないと言った久遠だが、
まだ迷っている辰弥に「結論を出せるのはお前しかいない」と
「……主任……」
監禁された個室の隅で、
第二研究所が襲撃され、逃げ出してから数環。
せっかく見つけた
主任が言う「完全」になるにはパパが必要なのに、と呟いてノインは自分の膝をぎゅっと抱いた。
研究所が襲撃された時も「ノインは逃げろ」と逃がしてくれた。
逃げてもどこに行けばいいか分からず、ただなんとなく「こっちだろう」と思った方向に逃げ続けた。
途中でひどい空腹を覚え、近くにあった牧場の牛を食べ、血を吸った。
行き着いた街、何かに呼ばれたような気がしてふらふらと忍び込んだ家で死体を見つけ、血を吸った。
それから、近くなった何かの気配を追ってたどり着いたマンションのエントランスでノインは力尽きた。
それを抱き起こした一人の男。
目を開けて見れば自分と同じ瞳を持った、そしてずっと感じていた気配を持つ男。
そうだ、とノインは感じた。
この男こそが、主任の言っていた「ノインを完全にするための鍵」だと。
そこで出た言葉が「パパ」だった。
本能的に感じ取ったのだ。この男が
そこで何も知らない風を装い、彼女は「雪啼」と名付けられ、生活を始めた。
それでも主任に会いたいと思っていたら永江博士が御神楽の客員研究員として登用されたというニュースを見た。
主任は御神楽にいる。自分はエルステと共にいる。
エルステを殺して、その血肉を吸収すれば。
しかし、何度試みてもエルステは自分の攻撃を躱し、その度に子供に対しての安全策をとってくる。
そんな生活を送っていたが、その生活は特殊第四部隊の乱入によって打ち破られた。
入ってきた兵士が怖くて、思わず逃げ出した。
逃げ出してからはどこに帰ることもできずにただ人を狩り続けた。
それ以前から、エルステに保護されてからも血が足りずに吸血を行い続けたが、自由になってからは誰かの目を気にする必要はない。
だからという訳ではないだろうがノインは様々な兵士に目をつけられた。
逃げるために兵士を殺しては血を吸い、そして逃げ続けたがその運も尽きた。
自分を呼ぶ主任の映像と駆け寄るエルステに、一瞬の躊躇の後エルステを選んだ。
エルステを殺して、それから主任の元に戻ろうと思ったがエルステに縛られ、それから特殊第四部隊に拘束された。
その結果、この部屋での監禁である。
見た目が子供だから、で独房入りは免れたがそれでもこれでは主任に会うどころではない。
主任、とノインが小さく呟く。
「……主任、助けて」
ノインがそう呟いた時、部屋の外で何やら叫び声が聞こえ、それからドアが激しくノックされる。
『ノイン、扉から離れろ!』
その声に、扉に駆け寄ろうとしたノインが踏みとどまる。
直後、爆発音と共にロックがショートし、扉が開かれる。
「ノイン!」
そう言いながら部屋に飛び込んできたのはノインがずっと探し求めていた
「主任!」
ノインが晃に駆け寄る。晃がノインを受け止め、強く抱きしめる。
「よかった、ノイン、無事か!」
「うん、大丈夫」
ノインが頷く。
ノインを抱き上げ、晃は立ち上がった。
「よし、脱出しよう。脱出艇は確認している」
「うん!」
頷き、ノインは晃にぎゅっと抱きついた。
晃とて御神楽がLEBにも人権を与え、監視下という条件付きではあるが自由に生きる道を与えてくれるということは理解している。何せ自分の造ったノイン以外のLEB達が毎日のように自分たちの楽しい生活を報告に来るのだから。
しかし、それを考慮してもノインはあまりにも人を殺しすぎた。
聞いたところ既に数十人、いや、百人近い死者が発生している。ここまで殺戮を行ってしまえばいくら御神楽でもノインに監視付き自由を与えてくるとは思えない。
最悪の場合、危険な生命体として「処分」を決断するかもしれない。
だから晃はノインと共に逃げることを決断した。
ノインを抱き抱えたまま晃が通路を走る。
しかし、研究畑一筋の晃はすぐに息切れを起こして立ち止まってしまう。
「主任、おろして」
晃が自分を抱えていることで走ることができないと気がついたノインが晃に言う。
晃が小さく頷き、ノインを降ろす。
バタバタと通路の向こうから足音が聞こえてくる。
即座にノインは両手を足音の方に向けて突き出した。
その腕がガトリングに
特殊第四部隊の兵士の姿が見えた瞬間、ノインは発砲した。
叫び声と共にバタバタと倒れる兵士たち。
目の前の兵士が全て倒れたことを確認し、ノインは腕を元に戻した。
だが、そのタイミングで背後から近づいてきた別の兵士がこちらに銃を向けていることに気づく。
「主任、じゃま!」
咄嗟に、ノインは晃を突き飛ばした。
銃弾が飛来し、突き飛ばされる前の晃がいた位置を奔り抜ける。
「おい、何やってる! 発砲許可は出ていないぞ! 永江博士に何かあったらどうするんだ!」
そんな怒声が聞こえてくる。
「しかし、ノインが!」
「ノイン射殺を優先して永江博士まで殺す気か!」
そんなやりとりが聴こえる。
そのやりとりを聞いた晃は特殊第四部隊がノインを射殺する気だと判断した。
「ノイン、逃げろ!」
「でも、主任!」
晃の言葉にノインがいやいやとかぶりを振る。
「私のことは今はいい、後で追いかける!」
「主任……わかった」
ノインも自分が狙われている、主任と共にいれば主任も危ないということは理解していた。
それなら晃の指示通りに逃げるべきである。
「主任、あとでね」
そう言って、ノインは身を翻した。
それを追うように兵士たちが銃を構える。
だが、それを遮るように晃が兵士の前に立ちはだかる。
「永江博士、どいてください!」
「ノインは殺させない!」
晃と兵士のやりとりが展開される。
それを背に、ノインは通路の奥へと駆け出した。
兵士が晃を突き飛ばそうとするが晃は兵士に縋り付いてそれを妨害する。
晃を拘束した方が早い、と判断したのか兵士が晃の両手に手錠をかける。
「ノイン……逃げてくれ」
背後から離れていくノインの気配に、晃はそう呟いた。
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