Vanishing Point Re: Birth 第8章
分冊版インデックス
8-1 8-2 8-3 8-4 8-5 8-6 8-7 8-8 8-9 8-10 8-11 8-12 8-13 8-14 8-15 8-16
そんな「グリム・リーパー」に武陽都のアライアンスは補充要員を送ると言う。
補充要員として寄こされたのは
そんな折、ALS治療薬開発成功のニュースが飛び込み、治験が開始されるという話に日翔を潜り込ませたく、辰弥と鏡介は奔走する。
その結果、どこかの
どのメガコープに取り入るかを考え、以前仕事をした実績もある「サイバボーン・テクノロジー」を選択する辰弥と鏡介。いくつかの依頼を受け、苦戦するものの辰弥のLEBとしての能力で切り抜ける四人。
不調の兆しを見せ、さらに千歳に「人間ではない」と知られてしまう辰弥。
それでも千歳はそんな辰弥を受け入れ、「カタストロフ」ならより詳しく検査できるかもしれないと誘う。
同時期、ALSが進行した日翔も限界を迎え、これ以上戦わせるわけにはいかないとインナースケルトンの出力を強制的に落とす。
そんなある日、辰弥の前に死んだと思われていたもう一体のLEB、「ノイン」が姿を現す。
「エルステが食べられてくれるなら主任に話してあきとを助けてもらえるかもしれない」と取引を持ち掛けるノインに、辰弥は答えを出すことができないでいた。
そんな邂逅から暫く、「グリム・リーパー」の拠点が何者かに襲撃される。
撃退するものの、報復の危険性を鑑み、千歳に泊まっていけと指示した鏡介だが、辰弥が買い出しに行っている間に襲撃者を調査していると「エルステ観察レポート」なるものを発見。こんなものを書けるのは千歳しかいないと彼女を詰める。
帰宅し、二人の口論を目撃し狼狽える辰弥に、鏡介は辰弥の逆鱗に触れる言葉を吐いてしまい、辰弥は千歳を連れて家を飛び出してしまう。
行く当てもない辰弥に、千歳は「カタストロフに行こう」と誘い、辰弥はそれに応じる。
「カタストロフ」に加入し、検査を受ける辰弥。
その結果、テロメアが異常消耗していることが判明、寿命の限界に来ていると言われる。
自分に残された時間は僅か、せめて日翔が快復した姿は見たいと辰弥は願う。
そのタイミングで、「カタストロフ」は第二世代LEBを開発した
晃を拉致した結果、日翔と辰弥に希望の光が見える。
昴がノイン捕獲作戦を実施すると辰弥に宣言する。
捕獲作戦開始。昴の読み通り、晃を餌にしたことでノインがその姿を現す。
ノインの戦闘能力はすさまじく、「カタストロフ」のノイン捕獲チームは殲滅されてしまう。
ノインによって晃が拉致され、辰弥と日翔を救うという話は白紙に戻ってしまう。
自分を囮にしてノインをおびき寄せろと昴に詰め寄る辰弥。だが、昴はそれを否認する。
昴に待てと言われた辰弥は不安を千歳に打ち明ける。
ノインを捜索する傍ら、「カタストロフ」に「榎田製薬」から依頼が入る。
「榎田製薬」本社の防衛という任務に赴いた辰弥。発見した敵を攻撃する。
辰弥の前に現れたのは鏡介だった。
互いを敵と認識した二人は、本気で互いに銃を向ける。
辰弥の攻撃で右眼を失いつつも反撃する鏡介。
だが、ふと違和感に気付く。
a.n.g.e.l.の行動予測を上回る辰弥の動きに、鏡介は追い詰められる。
一瞬の隙を突き、形勢逆転するものの、鏡介は辰弥を殺せない。
それは辰弥も同じだった。
鏡介が辰弥を殺せないと知るや、辰弥に「鏡介を殺せ」と言う千歳。
しかし、辰弥はそんな彼女ではなく、鏡介を選ぶ。
「榎田製薬」は敵だ、と辰弥は生成とトランスを利用して可変口径レールガンを作り出し、「榎田製薬」本社を撃つ。
本来の自分の家に帰宅した辰弥。
もう限界の日翔を前に、「もう出ていかない」と約束する。
薄暗い室内。
粘ついた水音の中に乾いた殴打音が時折響く。
「ノインに逃げられただけでなく、エルステまで去らせただと?」
ぱしん、と乾いた音が響く。
目の前の女の白い肌は何度も殴打され、紅く染まっていた。
殴打された女は目の前の男を情欲に満ちた目で眺め、それからその視線を横に投げる。
無造作に投げ捨てられた四肢はまるで切断したかのように見えるが、その断面に見えるのは筋肉ではなく金属でできた人工的なもの。表面部分をシリコンと人工皮膚で生身に近い見た目にした、義体。
両手両足を義体にしていた女はそれを取り外されたことで、自分の意志で動くことはできなくなっていた。ただ、男にされるがままになっている。
「おまけにエルステは戦場でこちらを裏切って依頼主を殺しただと!?!?」
男が再び手を上げ、振り下ろす。
女はそれを躱すこともできず、受け止める。
あの時、エルステは「カタストロフ」を裏切った。
誰よりも大切だと言っていたはずの相手を「ついてこないなら殺すしかない」とまで言い、それを拒否したら一人で去っていってしまった。
なぜだ、と男は思う。
あれだけ与えたのに、何が足りなかったのだ、と。
ぱしん、と再び男の手が女を打つ。
「どれだけ『カタストロフ』の信用を失墜させたと思っている、私が上からなんと言われるか!」
同時に抉られ、女が思わず声を上げる。
「お仕置きが足りないようだな」
熱のこもった男の声に、女がもっと、と要求した。
男の両手が女の細い首にかけられる。
その首を締めあげ、男は荒い息を吐いた。
女を締め上げているのに自分も締め上げられ、脳が灼かれそうになる。
「く――」
男が自分の内にある欲望を女に叩きつける。
「この――役立たずが」
辛うじてそう絞り出し、男は手を放し、馬乗りになっていた女から降りた。
女が何度も咳き込み、呼吸を整えようとする。
「こうなってはなんとしてもノインだけは確保せねば。追跡を急がせろ!」
男がジャケットの袖に腕を通し、足音荒く部屋を出ていく。
「……」
取り残された女は身じろぎし、体勢を整えようとする。
そこへ、後始末を任された数人の男が入ってきた。
「マジか、この状態でかよ」
「それがたまらないんだとよ」
口々にそう言って女を見る男たちの目は下卑たものだった。
「あ――」
「まだ足りないんだろ? たっぷり可愛がってやるよ」
そう言い、男たちは女に手を伸ばした。
to be continued……
おまけ
ばにしんぐ☆ぽいんと り:ばーす 第8章
「ぽかぽか☆り:ばーす」
辰弥との帰宅途中に眼帯付けた鏡介
「Vanishing Point Re: Birth 第8章」のあとがきを
以下で楽しむ(有料)ことができます。
FANBOX
OFUSE
クロスフォリオ
「いいね」と思ったらtweet! そのままのツイートでもするとしないでは作者のやる気に大きな差が出ます。